銭湯『杜の湯』～雪乃先生２時間足止め大作戦｜リアクション

銭湯『杜の湯』～雪乃先生２時間足止め大作戦

●２時間足止め大作戦開始

　旧市街。
　島岡雪乃先生がおっとりほんわかぽわ～んとした雰囲気で銭湯『杜の湯』へ入っていった。ミラ・ペプロメーノから伝えられた未来によると、先生がこのまま銭湯を満喫して、ふたたび外を歩くと車に轢かれて死んでしまうという。その未来を回避するためには、ここで２時間足止めすればいいとミラは言う。そして、話を聞いた面々がそれぞれの行動を起こそうとしていた。

　　＊　＊　＊

　新田樹はミラから事情を聞き、銭湯へとやってきた。

（来たのはいいけど、私はお姉さんと接点ないから、話すきっかけ作らないと）

　島岡先生の姿を見つけたものの、面識のない自分がいきなり声を掛けるのは不自然だし警戒されるかもしれない。
　そこで樹は自動販売機へ向かうと財布を取りだす。そして島岡先生に聞こえるようにわざと小銭を落とした。
　ジュースを買おうとして偶然落としたかのように。
　島岡先生はチャリンチャリンという音に気づいて樹のほうを見た。そして転がってくる小銭を見て事態を把握すると、屈んでそれを拾い集める。

「ごめんなさい」
「いえいえ、大丈夫ですよ」

　落ちた小銭を２人で拾い集めると樹はその額を確認する。

「ひーふーみー。全額あります！　拾ってくれてありがとうございました」
「全部見つかってよかったですね」
「私ドジだから、しょっちゅうこんな失敗しちゃうんですよね。でも今回は狭い隙間とかに落ちなくて良かったです」

　自動販売機の下に転がっていくと困りますよねー、と島岡先生も話す。
　そんな会話を交わしながら樹は心のなかで作戦成功のガッツポーズを決めた。２人は他愛ないことを話しながら脱衣室へ向かった。

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