銭湯『杜の湯』～雪乃先生２時間足止め大作戦｜リアクション

銭湯『杜の湯』～雪乃先生２時間足止め大作戦

●先生が興味を持つもの

　ミラから話を聞いた八神修は協力することを快く引き受けた。早速『杜の湯』に入ると休憩所の片隅にゲーム機が置いてあるのが目に入った。
　店主に稼動を依頼するが、なかなか起動しない。どうやら故障らしい。
　これは時々こうなるらしく、どうにか直すから待っててくれと言われてしまった。
　先生は実はバイク好きで、レースゲームも好きということを修は知っていた。だからゲームで時間稼ぎができれば、と考えたのだが、今はどうにもならない。
　修理の間は風呂に入ることにした。ここで修理が終わるのを待っていても不自然に思われてしまう。そう考え、修は男湯へ向かった。

●これは致し方ないこと

　「なんだよ、また神魂か！　時の特異点か！」

　ミラから事情を聞いた御剣刀は思わず叫んでしまった。このままでは島岡先生が事故に遭って死んでしまう。その知らせはあまりに衝撃だった。

（まぁ島岡先生のおっぱいなら仕方ないよね、目がいっちゃうよ）

　刀は足止めする方法を考える。場所は銭湯。となれば自然と浮かぶ発想があった。
　ずばり、覗きである。
　そこから刀はその行動から想定される展開を予想する。物理的には半殺しだろうし、警察を呼ばれたら社会的に絶対死ぬ。さらに杜の湯の評判に関わるかもしれない。

「それでもあの人が死ぬよりはマシか」

　先生は1年のときの担任だし、素人なのに剣道部の顧問を引き受けてくれたりと、刀は色々と恩を感じている。
　先生からの説教とかあれば、それだけでも時間が稼げるはず。そこから会話を繋げれば、少しでも長く足止めできる。

「何がなんでもこの杜の湯で足止めしてみせる！」

　刀は意を決して男湯のなかへと入っていった。
　そこには修の姿があった。体を軽く洗って湯船で手足を伸ばしていた。刀も体を簡単に流すと、女湯のほうに視線を向けた。女性たちの会話がそれとなく聞こえてくるが、内容までは正確には分からない。そしてそこにはタイル張りの仕切りが立ちはだかる。

「……よし！」

　刀がこれから取るであろう行動を察した修は、頑張れよと見送りつつ、さりげなく壁の下に移動して受け止められるように準備する。

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