銭湯『杜の湯』～雪乃先生２時間足止め大作戦｜リアクション

銭湯『杜の湯』～雪乃先生２時間足止め大作戦

●２度目の風呂

　脱衣室を出ると、島岡先生は牛乳を買おうと自動販売機の前にやってきた。

「こんにちは」

　すると声をかけられ、そのほうを見ると虚栄心が立っていた。彼女も銭湯にきたのかなと思い、何気ない会話をしながら牛乳を買った。
　心は先生のあとにコーヒー牛乳を買った。心はそれを飲みながら先生と軽く立ち話を始めた。
　何気ない会話が続くなか、心はあるタイミングを計っていた。そしてそれを実行に移す。

「そういえば質問があるんですけど、いいですか？」
「なんですか？」
「『お前はただの人間だ』って英語でなんていうんですか？」

　先生は少し考える素振りを見せる。すると次の瞬間、体が急に重くなったように感じた。心のろっこん『人間惨禍』によって筋力が低下したからだ。
　その直後、心はコーヒー牛乳をできるだけ口に含み、おおげさにむせた振りをして先生の服に吐きかける。
　さらに偶然を装って手に残った分も先生に向けてこぼした。

「すみません！　私が着替えを買ってきますから、もう一度お風呂に入って待っていてください」

　戸惑う先生を軽く押しながら風呂場へと誘導する。
　先生もこのまま過ごすわけにもいかないので、もう一度女湯へ向かう。先生が脱衣室で服を脱ぐと、心はそれを回収した。

「お詫びにクリーニングに出しておきます」

　そう言い残してその場を後にした。
　自分の服が手元にないのは不安だったが、自分の学校の生徒ということもあり大丈夫だろうと判断してふたたび浴場へ足を踏み入れた。

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