【星幽塔】第一階層　コボルトの真実｜リアクション

【星幽塔】第一階層　コボルトの真実

【南北合流（岩の上）】

　一方、岩の上では……。
　岩の上は、岩石が所々削り取られ、それなりの大きさのフィールドとなっていた。
　外に対して遮蔽物もあり、簡易的な砦の壁のように機能していた。
　そこに4体のコボルトが陣取っていた。
「行きます！」
　リリエルが岩の上を見つつ、手袋をかざす。手袋に星の力が宿り、風が巻き起こる。
　コボルトたちはとっさに岩にへばりつき、身を伏せて守った。
「合わせて攻撃をお願いします！」
「ひっさつのあたしの爪が唸るっ！！　それっ、……ええっと、コトボル！！　覚悟しとけーっ！」
　自らの俊敏性を活かし、そこにメリィが乗り込む。
　が、それを見ていたコボルトが、身をかがめながらもスリングを放つ。
「生意気！　でも、これくらいリリエルがいたら何だって出来る気がする！」
「二人だけの戦いになってるし」
　メリィが上に登ったりしていると、サキリすぐに空間を切り裂き現れ、一体のコボルトを仕留める。
　当初の隠密計画は無駄になったが、まだまだやれることはある。
【蛇腹剣】　は、コボルトの血に染まりうれしそうに血を吸った。
　そして、それと同時に亮が現れる。
　美咲紀の土煙によって計画をだいぶ前倒しして、樹のろっこん【箱庭（リトルガーデン）】で瞬間移動をしてきたのだ。
　そのまま近くの別のコボルトに亮は肉薄する。
「それっ！」
　ふっと軽く息を吐きながら、そのまま渾身のストレートを叩き込む。
　ごっ、という骨と肉がぶつかり合う音が聞こえ、そのままコボルトはノックダウンした。
　その間、樹はできるだけ岩の近くまで来てリリエルを見つけてそちらへと走っていた。
リリエルを岩の上に送り込むためだ。そして、リリエルは同意し、彼女も岩の上に転移した。
　なお、上のコボルト残り、二体。
「ありがとうございます！　そしてそしてっ！　やっちゃえっ！」
　数で勝った時点で勝負は明白だった。
　樹によって突如現れたリリエルの魔法が炸裂し、コボルトの武器を吹き飛ばす。
「さ、これでおしまいだ」
　サキリが最後のコボルトを始末し、岩の上での戦いは終わった。