【星幽塔】第一階層　コボルトの真実｜リアクション

【星幽塔】第一階層　コボルトの真実

【北入口の戦い】

　シツとビゾンが北口に到着したのと同時に、中から影が飛び出してきた。
　視認する前に、左右に分かれて反射的によける。
　ゴッという音がして落ちる、どうやら石のようだ。
　入口から入る光に影が差した時、コボルトは攻撃をしてきたようだ。
　みれば、ちょうどくぼみのところに3体のコボルトがいる。
「そんじゃま、一仕事と行こうか！」
　シツは野太刀を大上段から勢いよく振り下ろす。
【魔風の光/野太刀】が発動し、直線の旋風が巻き起こりコボルトたちを切り裂く。
　しかし、左右の岩にコボルトは散り、身をかがめやり過ごす。
　が、小さな針のようなものがばらばらと舞い、地面から吹き飛ばされる。
「これで直線の罠は切れたはずだ！」
　次の瞬間、ナックルとハードレザーを装備した巨体が飛び込んでくる。
　飛んでくるスリングのつぶては、【星の光：魔土の光】で岩を浮かせガードする。
　やがて、薄暗い中くぼみが見える距離までくると、手前の岩を利用し左右のくぼみをつぶそうとするが、左右のコボルトが瞬発的に前に出てくる。
　そして、そのままこん棒でゴルフのスイングのようにビゾンの足を振り払う。
　そのままバランスを崩し、両膝をついてしまう。
「ちょこまかと！」
　ビゾンがコボルトを相手にするには、身長の差がありすぎる。
　しかし、それでもつかもうと前傾姿勢になりコボルトに手を伸ばす。
　自分の身長の半分以下の相手なのだ、子供につかみかかってするする抜けられる、そんな印象だ。
　そして、瞬間を待っていたかのように、その上をスリングの弾が飛超えていく。
「おいおいおいおい、勘弁してくれ」
　とっさに野太刀を構えてはじくシツ。
　コボルトがビゾンの巨体を利用してちらちらとうっとおしい。
　そして、相手の攻撃が届くようになった。
　ビゾンの上を越えて行こうにも、うまくいく保証はない。
　そして、ビゾンは自分の体が利用されていることに気付いたが、狭いのもあって歯噛みする。
「様子見決定」
「やむなし、か」
　少し遅れて洞窟の入り口にたどり着いた円と刀は、岩の上を見た。
「あっちも派手だねぇ」
　しんみりと、円はつぶやいたのであった。