【爆誕、V・MewTuber！】


　『ホビーショップ【Ze Pet】』を知っていますか？　ご存じ？　そうそう！　あの優しそうなおじいさんの看板でお馴染みの。
　シーサイドタウンに店を構え、訪れるお客さんへ楽しい遊びと素敵な思い出を提供し続けてきた、みんなのオモチャ屋さん。そんなZe Petさんに、今、新たな伝説が刻まれようとしておりました……！



　……なんていうとまあ、ちょっぴり大げさではありますけれど。とにかく、楽しいことが始まろうとしているのは確かです。
「ハーイ♪　良い子のみんな、こんにちはーっ！」
　あなたのスマホやパソコン、それに簡易端末でも見られるカプセルギアの動画配信チャンネルに、元気な声が響きました。
　ぴょこん！　と飛び出すように画面へ登場したのは、可愛らしい女の子のキャラクターです。頭には鷲のような帽子をかぶっていて、背中にはちょこんと小さな翼が生えています。
「私の名前は、『グリフィージス』！　こう見えてカプセルギアなの。今日はここ、ホビーショップ【Ze Pet】さんから、楽しいカプギア番組をお届けしちゃうよー！」
　テンション高めの愛嬌たっぷり、昨今ハヤリのヴァーチャル・MewTuber！　それがグリフィージスちゃん！
　そして彼女を裏で演じておりますのが、Ze Petさんのアルバイト店員兼常連客こと、八重崎 五郎八というわけ……あ、分かってましたか？
　キャラ作りもバッチリの媚び媚びきゃるるーん☆って感じで（？）、まあなんとも楽しそうな五郎八さんなのでした。
（動画配信なんて初めてだけど。せっかくだから楽しまないとねー、ちょっとはっちゃけてみようっと。ふふふ♪）
　そんなわけで番組進行役であるグリフィージスちゃんのアバターを画面上でぴこぴこ動かしつつ、番組のメインとなる作業を進めていきます。その名も題して、
「『カプギアで、どこかで見たロボ再現してみた』のコーナー！　これはね、カプセルギアの豊富なパーツの組み合わせと、塗装やドレスアップシールなどの加工……いわゆる『ミキシングビルド』によって、版権モノの有名ロボを再現しちゃおう！　ってコーナーだよ。それじゃさっそく、いってみよ～！」
　Ze Petさんのスペースをお借りして、作業開始！
　にゅ、と画面に現れたのは五郎八自身の両手です。もちろんお顔は映りません。デスクの上にはカプギアのパーツがたくさん入ったボックスや、ドレスアップ用のデカールとそれをキレイに張り付けるための工具類、その他の道具もずらーりと並んでいて、これだけでもなにやら壮観です。
「作業工程も余さず見せちゃうから、興味があったら試してみてね。さてさて、まずはベースとなるカプギアを組み立てまーす！　どのパーツを使おっかな～？」
　なんて言いながら、言葉どおりに指先でちょっと迷うそぶりなんかを演出しつつ、かちゃかちゃかちゃり。なんとなーく、アニメかなにかで見たようなロボットのシルエットが出来上がります。
　続いて取り出したのは、カプギアマーカーセット！　お手軽カンタンにカプギアの塗装ができる上、ニャンプラなどカプギア以外のプラモデルやおもちゃにも使えてしまうという人気商品です。
「塗装なんて難しいーって思っちゃうかもしれないけど、このマーカーを使えば……ほらね、かーんたん！」
　配色がてんでバラバラだったカプギアも、マーカーでちょいちょいちょいっと塗ってあげるだけで、あっという間に統一感が出てしまいました。
　あとはニャンプラ用のドレスアップデカールをいくつか、ぺたぺたり。スマホでA.I.C.O.を起ち上げて操縦し、ポーズをつけたら完成！
「じゃーん、でっきあがり～♪」
　ばばん！　それはまぎれもなく、誰もが知ってるあのロボット……そう、『希望戦士ニャンダム』の主役メカこと、ニャンダム！　とはいえ分かる人にニヤリとしてもらいたい、という演出効果の狙いもあって、あえて作品名を口に出すような野暮はしません。
「さてさて、ここまでは単なるミキシングビルド。普通のオモチャやプラモデルならここで終わりなんだけどねー。カプギアはここからが本番だよね！」
　配信も佳境を迎え、五郎八の演技もグリフィージスちゃんのテンションもヒートアップ！
　そう。カプセルギアなら、自分で組み立てたものを、自由に動かすことができるのです。凝り性な五郎八は事前に用意しておいたジオラマへとニャンダムもどきなカプギアを移動させ、アニメでお馴染みのあんなシーンやこんなシーンを、まさに完全再現！
「ふふり。なんのシーンか、みんなには分かったかなー？　カプギアってこんな遊びまでできちゃうんだよ、すごいよね！　みんなもぜひ、好きなロボットアニメの名シーンを、カプギアで再現してみてね！　きっと楽しいよ～☆」
　最後に五郎八は、グリフィージスちゃんの口をとおして、こんなことを言い置いて番組を締めました。
「今回はミキシングで再現、って形だったんだけど。そのうちメーカーさんとのコラボで、版権のロボやメカなんかがカプギア化！　なんてこともあるかもね～？　バンザイニャムコゲームスさん、検討よろしく！　それじゃみんな、今回の動画はここまで。グリフィージスちゃんでした、ご視聴ありがとうございました☆」



　そんなこんなで、初めての動画配信は視聴者からの大好評を受けながらに終了！
　手を振るグリフィージスちゃんの姿を眺めて、五郎八はほうっとひとつ息を吐きました。
「ふ～！　これで少しはアピールになったかな？」
　パーツブランドにはあまりこだわりのない五郎八でしたけれど、今回は動画の都合上多用することとなった、潮見原重工を支持。
　動画を通じて潮見原だけでなくほかのブランドも、ひいてはカプギアがもっともっと盛り上がればいいなと考える、オモチャとカプギア愛あふれる五郎八お姉さんなのでした。