【星幽塔】キングオブザ星幽塔～あの星を掴め！｜リアクション

【星幽塔】キングオブザ星幽塔～あの星を掴め！

「あっ、木の実みーっけっ！　あいた！」
　上を見ていたメリィは、毛むくじゃらの壁にぶつかった。
「ヴー……」
　その巨体にも関わらず落ちずにここまで登ってきた星組の熊の獣人ヒグ。
　ヒグはメリィを見て、鋭い視線を向けてきた。
　なかなか見つけられらなかった木の実をようやく発見したところへ、メリィがぶつかってきたようだ。
　木陰でそれを見ていたティオレは素早くヒグの背後に回る。
（最後の難敵だね。こいつについてはまともにやり合っても勝ち目はないから、スピード勝負だ）
　メリィはひるむどころか、キラキラと瞳を輝かせる。
「強そう！　よーし、負けないよ！　勝負だ熊さんっ！！」
　ヒグの目がギラリと光る。
　そこへ、登ってきてこの光景に出くわしたバナーテイルが参戦する。
「あっ、木登り熊がこんなところまでっ！！　こうなったら、ちょこまかしてやるー！！」
「グオッ！」
　バナーテールの体と同じくらい大きな手で、ヒグは攻撃してくるが。
　バナーテールは小さな身体で、熊の攻撃を上手に避ける。
（もらっていくよ）
　その間にティオレはさっきヒグの頭上にあった木の実を掠め取り、退散していく。
「あんたの相手はあたしだよ！　トラパーンチ！」
　メリィはヒグの攻撃をひきつけてかわし、ヒグの鼻面に闘士の光を込めた重い一撃を叩き込んだ。
「ヴ……」
　ヒグは足をすべらせ、涙目になりながら落ちていく。
「よっし、青い木の実を取ったんだよー！！」
　バナーテイルはその間に別の木の実を手に入れていた。
「勝った！　……あ、星の実取るんだっけ」
　あやうく本来の目的を忘れそうなメリィだった。

「さて、木の実は……」
　青い実を探そうとした亮は、背後に気配を感じ飛びのいた。
（星組の襲撃か！）
　スピードの競争は頑張れば取り返せるが、青い木の実には限りがある。邪魔者を消そうとするのも無理はない。
「雷を食らえ！」
　雷神の腕輪で攻撃し、
「うわっ」
　相手がひるんだところを魔風で吹き飛ばした。
「やれやれ、早く見つけなきゃな」
　そうしているうちに、ついに青い星の実を発見した。
　だがかなり高い位置にある。
　亮は糸で体を巻き上げる際、足元から突風を起こして素早く移動した。
（よし、射程内だ）
　剛糸輪のロープを投げて、青い星の実を絡めとる。

「ヒグさんと出会わないように動きます。争いたくないし」
　美咲紀は周囲に警戒しつつ青い実を捜していた。
　梢の隙間から差して来る日差しを手で防ぎながら、枝を観察する。
「あんな感じの枝に木の実がつくこと、多いです……あった！」
　植物好きの目線は、目立たぬ梢の葉っぱに隠れるようになっている実を見つけ出した。
「よし、戻るぞ」
　青い星の実は腰袋に仕舞い、修は安全に気をつけ降下していく。
　その近くを、水色の髪の少女が真っ逆さまに落ちていった。
「ひゃう！　大丈夫なのですか？」
　はらはらして見送る美咲紀に、アリスの声が飛んできた。
「地上前で飛ぶから大丈夫！」
　アリスは地上近くで羽を広げ、ふわりと降り立った。
　青い実はちゃんと確保済だ。

「飛び降りるほうが楽そうだな」
　そう言うと亮も木から飛び降りた。
　枝にひっかけてある剛糸輪の糸をつかみ、素早く降下していく。

「おかえりなさい、メリィちゃん！」
　世界樹を降りてきたメリィを、リリエルが笑顔で迎えた。
「リリエルの応援があったから１００万倍力が出たよ！」　
　星の実を見せながら、メリィも答えるのだった。

「結果はどうなったなの？　気になるなの！」
　皆が降りてくるのを見ながら、ステラは瞳を輝かせる。
　