【星幽塔】キングオブザ星幽塔～あの星を掴め！｜リアクション

【星幽塔】キングオブザ星幽塔～あの星を掴め！

　先へ進むメリィは、頭上に差した影にとっさに身をかわした。
　さっきまでいた場所に、自分の頭ほどの木の実が落ちていった。
「わー！！　すご、おっきーい！」
　しかも、それは一つではなく、次々と落ちてくる。
「むむ。こうなったら……必殺！　トラパーンチ！！」
　落ちないように気をつけながら、闘士の光が宿った拳を放つ。
　しかし、樹の実は割れなかった。
「うおぉ、すごい硬いね！」
　闘士の光のおかげでケガをすることはなかったが。

「危険な場所は慣れてるよ！」
　アリスは木の実を横移動で避ける。
　ティオレも落ちてきた木の実を身軽にかわす。
　盗賊稼業でこんな罠には慣れている。

　落実に気づいた修は、枝の下になっている幹の窪みに隠れる。
「フルーツ！」
　と声をかけ、下に知らせた。
「っと、危ないのです」
　美咲紀は魔風の光で木の実のコースを変える。
「剛糸輪の盾だ！」
　亮は鋼のように固い剛糸輪を巻いたものを、盾として使い木の実をはじいた。

　美咲紀は真っ先に樹脂の匂いに気づいた。
「これは……ヤニの匂いなのです」
「近くに大量のヤニがあるということか」　
　修があたりを見回す。
「わわわわ！　なんだこれ、すごいベトベト！」
　上からメリィの声が聞こえてきた。

　樹皮がはがれたツルツルの幹が、滴るヤニでベトベトになっているところでメリィは苦戦していた。
（これも、止まったらずるずる落ちちゃうやつだ……手に力を込めて、確実に登っていこう……！）
　闘士の光で、メリィは拳に力を込めた。
「このための軍手だよ」
　ティオレは慎重に幹を登っていく。

「ヤニかー……ここは、汚れるしか無いかなー。ぼくの爪で、何とかするしか無いかなー……」
　はぁ、とため息をつくバナーテイル。
　だが、次の瞬間バナーテイルの目はいい枝を見つけていた。
「うん、ここは回り道して行くしか無いなー……」
　下の枝と上の枝が近接していた場所を、ジャンプ！
　やや回り道ではあるが、汚れずに通ることができた。

「ヤニはこうすれば滑り止めになるよ」
　アリスはヤニをペタペタ手と足につけて、つるつる滑る幹を登っていく。　
「幹を登るには、これを利用するのです」
　美咲紀は周りに沢山ある樹の蔓を引っ張って、強度を確かめる。
「いけるのです」
　十分な強度があると見定めると、ロープ代わりにつかまって進んでいく。

「梢が近づいてきたの。いよいよ木登り競争も大詰めなの」
　ステラが実況する。
　　
　
　