【星幽塔】キングオブザ星幽塔～あの星を掴め！｜リアクション

【星幽塔】キングオブザ星幽塔～あの星を掴め！

　世界樹を大分登ると、幹の近くの枝が動きだした。
「うわーっ！！　ぐにゃぐにゃしてるー！」
　暴れる枝に苦戦するメリィ。
　けれど、次の瞬間には黄色い瞳を輝かせる。
「ふふー、難しいもの程燃えるってヤツだよ！　ビビったら逆に落ちちゃうし、落ちる前に早く登っちゃえばへーきっ！！」
　素早さを活かし、枝をすり抜けるメリィ。　
「さすがメリィちゃん！」
　見守っていたリリエルが歓声を上げる。

「おいでなすったね」
　ティオレもタイミングを見て、盗賊稼業で磨いた目でしなる枝の動きを見極め。
　身に着けた身軽さで一気に駆け抜ける。
　着飾るのが好きなティオレは、普段は無駄にアクセサリーの類をじゃらじゃらつけているが、冒険に出る際は流石に邪魔になるのでほとんどを取り外している。
　それでも耳とへそのピアスだけは外さないのがこだわりだ。

「暴れる枝……うひゃあっ！！」
　バナーテイルも、暴れる枝には気後れする。
　小さい身体は枝に跳ね飛ばされたらひとたまりもない。
「でも、あ、ピンときたー！！」
　何かを思いついたらしいバナーテイルは頭の上に来た枝に飛びついた。
「枝を振り子に、上に飛ぶんだよー！！」
　枝の激しいしなりに、吹っ飛ばされそうになるがしっかりつかまり、上の幹の様子を見る。
「あわわ……よしっ、今だー！！」
　タイミングよく近づいた時に手を放し、無事上の幹に飛び移った。

「あれは真似できないな」
　バナーテイルの技を見てつぶやいた修は枝を観察し、安全なコースを考える。
「自分で外敵を排除する様子がとてもアグレッシブ！」
　鞭状の枝が動く様子を、美咲紀はとても喜んで眺めていた。
（よく観察して、音でも危険を察知するのです）
　跳ね飛ばされないよう、手を触れないようにする。
　そこへアリスがやってきて、暴れる枝をじっと眺めた。
「避けるために上に登るだけじゃなく横に進んでみよう」
「いい考えなのです！」
　アリスのアイディアに美咲紀も乗ることにする。
　それは修の計算したコースとも一致していた。
　うまく避けて横に進んだアリスは、さらにその枝につながる幹に近づいて、くすぐってみた。
　……一瞬止まった枝が、笑うようにざわざわと大きく動きだした。
「あわわっ、くすぐりに反応してるです？」
　樹の不思議に興味津々の美咲紀は、襲ってくる枝を魔風の光を使い吹き飛ばす。
「この樹は、触覚があるのか？」
　興味があるのは修も同じだったが、考えつつも枝が飛ばされた隙に先へ進む。
「やっぱり止まってはくれないね」
　アリスもくすぐりは諦めて先へ行くことにする。
「今は実験してる暇はない」
　先を急ぐ修に、残念そうに美咲紀が続く。
「うーん、いろいろ試してみたいけど急がなきゃなのです」
　けっこう負けず嫌いな美咲紀であった。

　亮は、暴れる枝に向かって剛糸輪を放った。
「暴れるなら切ってやる！」
　剛糸輪を枝に巻きつけ、引っ張って切断。
　他の枝が動きを止めたところを駆け抜けた。

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