全力疾走！　寝子島横断三人四脚駅伝！（第二区間）｜リアクション

全力疾走！　寝子島横断三人四脚駅伝！（第二区間）

【バトン（紐）タッチは鹿から】

　寝子島横断三人四脚駅伝もついに第二区間に差し掛かろうとしていた。
　戦闘を走る【鹿】チームが、次の【鹿】チームに「紐」を渡す。
　これは、足を縛るもので、次の選手へのタスキの代わりとして機能している。

　さて、早速紐を受けとりそうなのは【鹿チーム】である。
　第二区間では、八神修を中央にして、進行方向に対して右側に遠野まほろ。左側に恵御納夏朝となる。
「怪我がないように走ろう。もちろん、相手にもね。楽しんでやれたらいい」
　そう言った修は、額に鹿の刺繍入りハチマキを意識する。
　チームで練習しているときに用意したお揃いのハチマキだ。
　そして、背に猫のぬいぐるみを背負っている。
　そして左右にも、同じハチマキを付けた仲間がいる。
　ちらりと目が合ったまほろは小さく修に「頑張るよ…」と緊張しながらも言った。
　彼女は同じく猫のぬいぐるみを背負い、猫耳カチューシャとリストバンド、そして猫のしっぽをつけている。
　150㎝という身長と愛くるしい容姿と相まってかわいさアップである。
　右側にかわいいどころがいれば、左側にもかわいいどころがいる。
　左側の夏朝も似たような猫耳としっぽがあった。
　左手に橙色布製猫パペット『ハルくん』を掲げ準備は万端だ。
「ふぁんた爺ズ達に負けないから！」
　ブルーのファンクミュージックにかき消されないように力を込めて断言する。
　だが、力を込めたとしてもかわいいのだ。
　なぜなら、橙白の猫をイメージしたカラーに、それに合わせるように軍服を着ている。
　魔法少女カーサ、参上！　といったところだろうか。
　
　それぞれに「よろしく」と言い合えば、紐を受け取ってすぐ走り出した。
　すぐに差し掛かったのは爺アース（イエロー）が仕掛けた凹凸の妨害である。
　猫又川の橋の上一帯に広がって、今か今かと参加者を待ち受けている。
「これぞ、アースの力だ！　変幻自在の大地よ、隆起せよ！　レッツファンク！」
　遠くで爺アースの声が聞こえる。
　中央を走る修は、凹凸コーナーを見ながら言う。
「膝の屈伸を使って、さっさと抜けよう。俺は中央でバランスを保つから」
　そして、同時に夏朝も言った。
「ここは、慎重に進もう？　安全重視で…」
　まほろが、あれと首をかしげる。
　そのままどうするの？と言いたげな顔をして、2人を見た。
　修と朝夏の目が合う。
「よし、わかった。安全を優先して橋の端を行こう。まだ余裕はある。遠野は欄干を掴んで安定感を出せるし、俺もがんばって中央を支えるよ」
「八神君、ありがとう」
　こうして、やや時間を使いつつも進む。
　この3人、この日のための練習をしていたのだが、掛け声も注意し考えた。
　その真価は爺ウィンド（グリーン）のスモークのところで発揮する。
「決めてあった掛け声を使おうよ」
　まほろがそう言って、腹筋に力を入れる。
　爺ウィンドの妨害は映画用の巨大扇風機を使ったスモークで視界不良を起こし、スタッフがその煙にまぎれて靴ひもをほどきに来る、というものだ。
　3人は修が持ってきたゴーグルとマスクをつけ、万全の態勢で入ったはずだった。
　さて、そんなこんなで妨害者が来た時の掛け声を合わせたのだが……。
「「「せーの！」」」
「ね、ねこよろずー！」（夏朝）
「いち、にい、しか、にゃん」（修）
「ねこよろず！」（まほろ）
　夏朝が何かをしていたのか数舜遅れたものの、まほろとほぼ同時に走る。
　しかし修、ジャンプのタイミングが遅れリズムがばらばらに。
　だが、幸運なことにこっそり夏朝が使っていた【重く軽く】が若干修のウェイトを軽くしており、女子二人に引っ張られる形で、修もジャンプ。
　ほんの少しの効果だったが、結果的にうまく作用し、スモークなんて吹き飛ばせ！というくらい元気なまほろを中心になんとか二つ目の妨害も突破したのであった。
　しかし、この二つのロスが後続との距離を大きく縮めてしまう。

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