全力疾走！　寝子島横断三人四脚駅伝！（第二区間）｜リアクション

全力疾走！　寝子島横断三人四脚駅伝！（第二区間）

【蝶は羽ばたくのか？】

【蝶チーム】の一行がＭＡＰのＨ１０から、シーサイド交番までの道に差し掛かった時だった。
　目の前には【鹿チーム】がおり、うまくいけば抜けそうだ。
　アケーチのテンションも静かに上がっていく。
「ふふ、むしろ足の速度をこのアゲアゲな曲のテンポに合わせましょう」
　そんな彼らに爺ファイア（レッド）の仕掛けたフラッシュと爺ブルーの音楽が合体して襲い掛かる！
　しかし、アケーチのフリルメイド（猫）も負けていない。
「そのままの姿は仕掛ける側がびびってるから！」
　タルトがにやにやしながらいう。語尾に草が生えてそうである。
　ついでに鏡でフラッシュを反射させて、周囲にいたずら中である。
　周囲の一般チームは目がくらんで脱落していく。
（これならなんとかなりそうね）
　そんなタルトとアケーチを見ながら、ふっと絢が前に意識を集中しようとした時だった。
「１人だけ名前が仲間外れなんでしょうかー！　爺アクアさんとかー！」　爺ウォーターさんとかー！　どうでしょうかー！」
　前方方向から聞こえてきた【鹿チーム】の夏朝の声。
　そう、後続の【鹿チーム】が、なんと偶然見えた爺ブルーに自らの疑問を投げかけたのだ！
　たとえ本人がただの疑問でも、その音楽に誇りがある爺ブルーはブルーになった！
　傷ついたそのハートは、音楽をかき乱す……！
　そう、その結果ファンクなミュージックがただの不協和音に……！
「あぁ、なんて美しくない。ふふ、これもこれで、いやしかし」
　その結果、アケーチのリズムが崩れる。
　職業は自称「アーティスト」のアケーチにはきつかったか？
「あぶない！」
　なぜか無事な。
（――理由は、きっと普段の素行と自身の歌が関係しているであろう）
タルトが慌ててフォローに入るも、周りの慎重さゆえかさらに崩れる。
「あらら……」
　絢も気づいてはいたが、2人分の体重には勝てずにそのまま一度こけてしまう。
「あ、もう、仕方ないわね……落ち着いてゆっくり立ち上がりましょう」
　息を吐いて、落ち着きつつ絢は2人に声をかける。
　そのまま横を【猪チーム】が抜き去っていく。
「やられました！　しかし、まだあきらめませんよ。ふふ」
　アケーチもすぐに立ちなおり、タルトに手を貸し起き上がらせる。
　そのまま猛スピードで追い上げ【猪チーム】に限りなく近く追いつくも、3チームの中では、最後のゴールとなった。