全力疾走！　寝子島横断三人四脚駅伝！（第一区間）｜リアクション

全力疾走！　寝子島横断三人四脚駅伝！（第一区間）

＜蝶＞

　志波武道と高梨煉は、去年の区間賞を獲得した実力者だ。
「今年もやるぜ三人四脚！　れんちゃんヨロシク★」
「こちらこそ、武道。さて、今年はひとり、誰かを誘わないとだな」
　前回のメンバーは参加できず、現地調達をせねばならない。
　ふたりは境内で参加者を見付けることにした。

　ちょうどその頃、薄野五月は受け入れ先のチームを探しながら会場内をウロウロしていた。
　大好きなアルパカの着ぐるみに身を包んだ愛らしい姿は、ＳＮＳ映え確実だ。
「どなたか、哀れなアルパカに恵みの手を差し伸べてくれないでしょうかー」

「あ、あの子誘わない？　おーい五月ちゃん！　俺達と一緒にやらない？」
　ブーメランパンツを履いたコツメカワウソの着ぐるみがアルパカに接近。
「やあ、志波先輩。おはようございますー。よく似合ってらっしゃいますなー」
「よろしくネ、五月ちゃん！」
　お互い着ぐるみで顔が見えないのに、互いに正体が分かるという寝子島マジック。
　流石に地元同士で見知った顔だからこそできる芸当であろう。
　高梨は薄野とはあまり面識がないようで、改めて挨拶を交わした。
「どうもー、参道商店街の『蕎麦屋すすきの』の娘、薄野五月ですー」
「どうも、高梨煉だ。よろしく、薄野ちゃん。アルパカ可愛いな」
「高梨先輩の猫耳なお姿も可愛らしいですなー」
　猫耳カチューシャと尻尾を付けたにゃんこ高梨は、ふたりの姿を見て苦笑する。
「それにしても、薄野ちゃんのアルパカも、武道のカワウソもインパクトがあるよな」

　さぁ、打ち解けたところで作戦会議。
「実は、店主であるお爺ちゃんに、チーム組めたら立ち寄ると伝えてあるんですー」
「お蕎麦！　イイネイイネ！　ちょうどお蕎麦食べたかった！」
　運動した後の冷たいお蕎麦！
　志波でなくとも、テンション上がる事は間違いない。
「では、すぐに出してもらえるように連絡入れておきますねー」
「頼むよ、薄野ちゃん。あともうひとつは、……で、どうかな？」
　高梨の提案に志波が一瞬考え込む。
　だが、すぐに身振りでＯＫと意思表示。
「寝子島らしいよネ！　穴場だと思うし！　で、ポジションはどうする？」
　志波の問いかけに、高梨が意見を出す。
「並び順は薄野ちゃんを真ん中にして、俺は左を担当するか」
「てことは、バランス的に……俺は右！　名物紹介は二人に任せて、俺は賑やかしと……お爺ちゃんたちの妨害対策かな？」
「私はおふたりを支えられるように頑張りますねー」
　流石、前回経験者がいると準備が盤石である。
　あとは、コース取りだけなのだが……？

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