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なんだかとっても、たのし草!
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公園のベンチに深くかがみ込んで、
深林 真瞭
は大きく息をついた。
そのまま項垂れる。
周囲が奇異の目を向けてくるが、かまいつけるよゆうはない。
どうとでもなるがいい。
ヴァイオリンだって、ケースごともっていくがいい。ほしければくれてやる。
いや、いっそ、こんなものはじめからないほうが気が紛れたかもしれない。
――。
真瞭の周囲はめまぐるしくうごいていた。
若くして頭角を現したそのヴァイオリンの天稟。
情熱的な音色にふさわしい、あでやかな美貌。
音楽業界に限らず、さまざまな分野から、彼女は注目を集めつつあった。
だが――。
(なにもかも、なくなってしまえばいい)
楽団は、政治的なやりとりが引き金となって崩壊の危機に瀕していた。
音楽は痩せ細り、集中力を欠いたものになって、真瞭に深い屈辱の思いを抱かせた。
逃れるように、真瞭は生活の中心を寝子島へと移し心にかなう日々を送ることに集中しようとしていた。
自らの心の充実と、音楽の充実のこと以外は考えないように。
しかしそれは彼女に、活動の拠点である東京と寝子島の間断ない往復を強いることになった。
多忙な日々は加速し、すさまじいスケジュールの中で、彼女は自分自身を保つのが精一杯だった。
しかし、そんなのはどうでもいいことだ。
(――!)
彼女が一番、耐えられなかったこと。
彼女の最高の友人、最高の理解者。
彼女を、傷つけてしまったこと。
彼女が、自分から離れて行ってしまったこと。
(――ちゃん・・・・・・!)
(私は――!)
(私は――)
音楽のことだけを考えていたかった。
誰かを傷つけたいとか、そんなことは考えてもみなかった。
ただ、
ただ私は、
ヴァイオリンだけあれば、それでよかったのに――。
多くの周囲の人間が、傷ついていく。
自分が愛し、大切に思っている人間が傷ついていく。
そして、自分自身も傷ついていく。
(ああ――)
(本当に、もう、どうにでもなれだ)
眠れない日々が続いたのは、何日だろうか。
心を麻痺させるような手段に頼り切るには、彼女の心はあまりにも強かった。
傷つき、疲れ果て、その苦しみはそのまま彼女の音楽に乗り移った。
あり得ないミスがつながり、自分の演奏が全く形にならない。
さきほども稽古場で、ひどい言葉で周囲に罵声をまき散らした気がする。
(覚えていない――)
(こんなこと、したくなかった――)
正午過ぎにマンションを出、そのままあてどなく彷徨した。
靴擦れの痛みに耐えられず、公園のベンチに座りこんだ。
どこへ行こうとも、彼女の懊悩は彼女を離してはくれない。
(どうすれば――)
(どうすればいい、私――)
「足下を見て」
小さなささやきが、彼女の耳朶を打った。
(・・・・・・?)
顔を上げると、そこには一本の草。
いや、ただの草ではない。眼と口のついた、かわいらしい妖精のような姿。
ぺこりとお辞儀をする草に、思わず体をのけぞらせる真瞭。
「ヤキが回ったかしら。私も。草の幻覚が見えるなんて」
「幻覚じゃないよ。僕は『忘れ草』」
「フォゲット・ミー・ノットならぬ、フォゲット・ミーか。しゃれてるわね」
『私を忘れないで』ではなく『私を忘れて』。
言い得て妙だ。確かに、今の真瞭の気分には合ってる。
「僕は、いろいろなことを忘れる力があるんだ。貴方の助けになれると思う」
「忘れたいこと――?」
ふっとさまざまなことが頭をよぎるのを感じる。
忘れてしまいたいこと。
忘れてしまっても、かまわないようなこと。
そして・・・・・・。
「あああ、だめだめ」真瞭は笑って、草に首を振る。「つらいけど、忘れないほうがいいこともあるのよ」
そう、忘れてはいけないこと。
忘れたくないこと。
そんな真瞭の返事に、忘れ草はいかにもものをしった風に笑ってみせる。
「人間は大変だね」
「大変?」
「自分じゃ抱えきれないものを、いちいちしっかり覚えて数え上げたりして・・・・・・それが強さ、ってことかもしれないけど」
「・・・・・・あなた、哲学者みたい」
「いいから。忘れるなんて言っても一時だけだから。それでも、貴方にとっては必要なんだ」
「はいはい」妙に真面目な調子の草に、思わず笑ってしまう。
「ここは、草の僕を信じてよ」
「わかったわ、可愛い哲学者さん。ちょうど暇だし、おつきあいしてあげるわよ」
「それじゃ、ゆっくり息を吸って、いーち、にーい・・・・・・」
「――あれ?」
不意に真瞭が意識を取り戻すと、そこは夕暮れの公園。
ずいぶん長い時間眠り込んだ――いや、忘却の海にたゆたっていたようだ。
「どうだい、調子は?」
「ああ・・・・・・ええと」頭を振り、真瞭は答える。「別に、何も忘れていないけど・・・・・・ええと、いや、違うわね」
違う。
所属楽団のことも。
ライフサイクルの不順のことも。
友人のことも。
何一つ、忘れてはいない。
いないけれど・・・・・・。
「なんというか・・・・・・ひどく落ち着いて見える。他人事っていうか・・・・・・」
「そう。僕は、出来事を忘れるんじゃない。出来事にまつわる『苦しみ』を忘れてもらったのさ」
そう。感情に支配されると、物事のありのままの姿がつかめなくなる。
感情で物事を把握し、なにもかもを背負ってしまう彼女ならなおさら。
深い忘却の時間によって、彼女は一時的に感情の毒素が抜けた状態になっていた。
もちろん、明日からも憂鬱な日々は待っている。
それでも、多少気楽に、希望を持って構えることができるのかもしれなかった。
「足下を見ろ、自分の畑を耕せ、ってことさ」
「ありがとう、草の哲学者さん」
えへんと胸をはる草に、真瞭は笑いかけた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
ぱーすぺ
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
コメディ
動物・自然
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年04月14日
参加申し込みの期限
2018年04月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年04月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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