寝子高雑巾がけレース、出会い系？｜リアクション

寝子高雑巾がけレース、出会い系？

○ペアの相手は？

　『第二回　寝子島高校雑巾がけレース』はペアを組んで参加するレースとなった。
　神魂の影響で無性に掃除がしたくなったり、優勝賞品が星ヶ丘のホテルのビュッフェ券だという噂が流れたり。
　羽生碧南も神魂に影響された参加者の一人だった。
「ペアで参加しなきゃならないわけだけど……くじを引けばいいのね」
　くじ引きの結果、碧南の名前が黒板に書かれる。
　隣にある名前は……
「えっ!?　私とペアを組むのは鷹取先輩……？」　
「やあ、羽生くん、よろしく頼むよ」　
　その声を聞くなり「えっ！？」という表情から途端に顔が赤くなり、しどろもどろになる。
　そこには碧南が片思いしている鷹取洋二先輩が立っていた。
「よ、よろしくお願いします……」
（先輩、私とペアでいいのかな）
　ドキドキする碧南だが、洋二はくじ引きに不満がある様子はない。
　
　八神修は、自らのくじ運に、あるいは運命の女神に感謝した。
「あおいとペアで嬉しいよ」
　大好きな七夜あおいと一緒でやる気爆上げである。
「あおいは部屋の掃除とかどうしてる？」
「部屋の掃除は、去年ののこちゃんと一緒のときはちょっと大変だったかな。今年は大丈夫だよ。修くんは？」
「俺？　清掃は好きな方かな」
　そう言いながら修は、ジャージ姿のあおいにドキリとする。
　雑巾を絞る姿に超ときめく。
（母性……っ　圧倒的母性！）
「どうかした？」
　眩しく見とれながら表面はクールさを保つけれど心はぽかぽかしている。
「なんか凄く良いなって……」
「えー、ジャージで雑巾絞ってるのに」
　その笑顔が、また修をときめかせるのだった。

　昨年の優勝者シダ美穂戸が引き当てたパートナーは。
「シダ先生！　先生と組めるなら俺の力をセーブする必要はないな。狙うは優勝だな」
　ボビナム道場の生徒である野球少年、高杉かようだった。
　かようはベトナム雑貨店に行った際、ベトナム格闘技ボビナムと出会い、体力づくりの為、部活の邪魔にならない程度に始めてみたのだった。
「シダ先生、去年優勝してるんだろ、コツある？」
　かようは聞いた。
「ヴァン（うん）　好きな物　ゴールにあると思う」
　シダはベトナム語まじりのカタコトの日本語で答える。
「なるほど。じゃあ優勝商品をイメージすりゃいいわけか。ペア券……本場のメジャー観戦へアメリカペア旅行とかどう？」
「メジャー？　巻尺か」
「いや、野球のメジャーリーグ」
「シダ　野球しらん　わからん」
「野球はあんまり？　じゃ、高級ホテルでの食い放題つきにしとこうぜ。いや、俺が決めるんじゃないけどさ」
　笑いながらそう言うかように、シダが目の色を変える。
「食べ放題つく　つき合おう　つきあう　アメリカ　肉　肉　肉　ハンバーガー　ホットドック　肉　ンゴーン（おいしい）」
「行こうぜ、メジャー、いや、食い放題へ」
　がしい！　と二人は拳を突き合わせた。
（気を抜くと逆に置いていかれちまう）
　気合い入れていこう、とかようは思った。

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