寝子高雑巾がけレース、出会い系？｜リアクション

寝子高雑巾がけレース、出会い系？

○賞品贈呈！

「さて、賞品のペア券は何かな」
　かようは、レース前の会話を思いだしていた。
　シダはこう言ったのだ。
「まわり　あまり強くなさそう　真剣やるいいが　賞品　ペアデートとかなら　ゆずろう　機会」
「えっ」
「シダ　かよう　道場で会える　戦える　蹴れる　一緒汗ながせる　安いものなら　はらいっぱい　たべられる
　だから　そういうのなら　ゆずろう　な」
　少し考えて、かようは頷いたのだった。
「そうだな、シダ先生の言う通りだ。メジャーペア券ならゆずらないけどな」

「参加者の皆さん、おつかれさま。おかげで綺麗になったわ」
　理事長のコメント後、表彰式が始まった。
「美穂戸さん高杉くん、優勝おめでとう！　賞品は……」
　皆の視線が理事長に集まる。
「寝子野家の食べ放題ペア券よ！　おめでとう！　ちなみに二位の鷹取くんと羽生さんにはペアで理事長室掃除券、雑巾つき。
　そして三位の八神くんと七夜さんには久保田先生宅のペア掃除券をプレゼントするわ。仲良くし過ぎると久保田先生がすねるから気をつけてね」
　ドヤ顔の理事長に、皆は苦笑を浮かべた。
「デートじゃなく食べ放題……どうする、シダ先生？」
「ヴァン　掃除券より　食べ放題　いいな」
　
「理事長室掃除券……」
（それって、賞品なの？）　
　目が点になる碧南に洋二が言う。
「それじゃ、また掃除を頑張るとしよう」　
「は、はい！」

「久保田先生のおうちかあ。楽しみだね」
　驚いた顔の後、笑顔になったあおいを修は見つめる。
「ああ」
（あおいとならどこでも楽しい）
　修は微笑む。

「……なんか、食べ放題でなくてもみんな楽しそうだな」
　様子を見ていたかようが言った。
「ヴァン　そういうことなら　もらおう　食べ放題　星が丘　違う」
　シダも食べ放題の魅力には勝てなかったようだ。
「ところで、ゴミ拾いの勝負は……」
「ああ。モッハイバーボン……」
　二人は拾ったゴミの数を数える。
「……あれ、引き分け？」　
「ヴァン　引き分けだな」
「どうする？」
「かようも　シダも　勝ち　いつもの蜂蜜　ずっと安くしてやる　ずっと」
「やったー！」
「かよう　道場終わってから　一時間マッサージしろ」　
「オーケー、修行だな」

　綺麗になった廊下を見ながら、皆の胸は満足感に満ちていた。
　

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