やきゅうしようぜ！！｜リアクション

やきゅうしようぜ！！

＜８回裏＞

　桜庭・白バッテリーの投球は、謎の気迫に満ちていた。
　ヒットはののこ以外完全に抑えるという本気っぷり。
　この回も桜庭の魔球が光る！
「ムゥン！　黄金投法！　ヒデェェェオ！」
　トルネード投法からなる剛速球カーブ！
　相手の打撃、振りを計算！
　バットに掠り、打者の金のクルミをスピンしたファールボールが直撃するのだ！
　なんて合法！
「で、なんで俺に！？」
　御剣の股間にボールが直撃。
　これに御剣は頭にきた！
「桜庭！　お前、いい加減にしろよ！」
「刀君、ちょっと落ち着こうか！？」
「まじめにやれー！」
　マウンドで説教を始める刀の周りに選手が集まる。
　あわや乱闘か！？
　サキリは隠し持っていた鉛筆削りを握り締める。
　小さいがこれも立派な刃物。
　ろっこん発動のトリガーになりえる。
　だが桜庭が土下座をしたので事態は収束。
　いったん仕切り直して打席に立った御剣だが、股間の違和感は拭えず打ち上げてしまう。
「任せて。取って見せるわ」
　ショートの椎井が見事にキャッチ。三塁へ向かう走者のブリジットにろっこん『スタンハンド』で電気ショックを浴びせて足を止める。
「ごめんなさい。でも、ろっこんは使いたい放題よね？」
　タッチ、ダブルプレー。
　ツーアウト。
　打者、いまだホームランなし、ののこ！
「あ、そだののこちゃん！ひとつ気分が盛り上がるおまじない教えてあげる！　バットをこう掲げて、場外を指し示すとグッと気分でるぜぃ！」
　志波の仕草にののこが目を輝かせて答える。
「予告ホームランだね！　わかった！」
　八神は願った。
「神（ののこ）が『打てる』と思い込めば、打てない球なんて、無い！」
　対して、桜庭は白に対ののこ用の球をサインで指示。
（円ちゃん、此処に投げるんだ！）
　頷く桜庭。
　そして、何故か、その場でユニフォームのミニスカからパンツを脱いだ。
　ざわつく球場！
　だがこれは桜庭のろっこん『ブレイブハート』の効果を引き出す行為！
　その効果は、『幸運』！
「ボクのすべてを丸出してでも！　負けられない勝負があるんだ！」
　外野ではレインボー仮面と花椿が大変なことになっているけど、もういいよね！
　満を持して、桜庭が投げた白球は……！

　見事な放物線を描き、フェンスぎりぎりで落ちて……。

「落ちるなぁ！」
　持ち込んでいた竹刀を振り、ろっこん『風の籠手』で突風を繰り出す優木！
　風にあおられて打球が伸びるが、僅かに届かず……！
「やれやれ、やっと出番か」
　なんと、外野席の旅鴉月詠のグローブへ不自然に吸い込まれていった。
「ふむ、これは立派なホームランだな。スタンドから支援するのは卑怯とか、そういうのは野暮だ。勝てば官軍。これでサンマ化は阻止された」
　説明しよう！
　桜庭の幸運によって、旅鴉が仕掛けていた『適当なものを封印した状態の、バットやボールの絵』のシールをはった外野席へ打球を飛ばし、旅鴉のろっこん『絵空事』の進化能力で打球を引き寄せたのだ！
「苦労の割には、活躍は一瞬だったな。だが、それでいい。私は観戦しながら絵を描いていたにすぎないからね」
　彼女は、マウンドで挙がる大勢の歓声に耳を傾けながら、野球を楽しむののこたちの絵を描き上げていた。

【全人類、サンマ化を阻止！】

※更に９回裏まで進むよ

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