やきゅうしようぜ！！｜リアクション

やきゅうしようぜ！！

※ここからは特段目立ったイベントがない場合、結果を簡略化してお送りいたします。

＜１回表：美しき虹色のパッションの攻撃＞

　１番の北里、運動音痴とはいえスイングは意外と鋭い！
「えぇい！　こうなったらヤケクソだ！」
　躊躇いがない全力スイングは、一発当たれば長打の予感！
　だが、『のののナイン』の先発、亮の立ち上がりはすこぶる良好！
　変化球よりもスピードと制球力で勝負する投手。
　北里、ファールで粘るも最後はキャッチャーフライ！
　これでワンアウト。
「こうなる事は薄々分かってたけど、なんか悔しいな……」

　２番の樹、早くも兄妹対決の実現だ！
「う～ん、いまはまだ、かな？」
　意味深な言葉をつぶやき、樹、バッターボックスへ。
「……手加減はなしだ、樹」
　優木のサインに力強く頷いた亮、振りかぶって、投げた！
　豪速球のド真ん中ストレート！
　樹、全く動けず！
　その後も２球、見逃し三振！
　早くもツーアウト！
「なるほどね。兄さんの球筋は読めた。次は打つよ！」
　まさか、此処でも樹は縛りプレイを敢行していたというのか！？
　敢えて出塁をせず、一方的な試合展開を陰ながら抑止するなんて、恐ろしい子！！
　ニヤニヤする妹の姿に、亮は背筋が冷たくなっていた。
「だが、次の打席も、打たせるわけにはいかない」
　戦いはまだ、始まったばかりだ。

　３番、恵御納はベンチのメンバーに挨拶をしてから打席に立つ。
「みんな、よろしくね……？」
　既に変態やらキャラの濃い面々に気圧されている恵御納だが、それを面に出さぬように心掛ける。
（ののこちゃん……）
　向かい側のベンチで試合を見守るののこを見遣る。
（もう二度と……、ののこちゃんや皆に、変態や悪意の魔の手は及ばせたくない）
　自軍のメンツが一番危険なのだが、当然、ののこのチームメンバーにも目を光らせている。
（信じたい。みんな、本当は良い人だって信じたい）
　迷っている間にも、亮の投げた球が鋭くミットに刺さる。
（寝子島の皆は、僕よりずっと良い人達だし心配いらないと思う。キャサリンさんや名倉さん達も信じたい）
　バスンッ！
　破裂音めいた捕球の音で我に返る。
（そうだった、打たなきゃ！）
　気付けばツーストライク。
　亮の制球力は抜群で、ここまでボールを全く出していない！
　恵御納がバットを構え、迫りくる外角の弾へ全力で当てようとするが、完全に振り遅れてしまった。
　これでスリーアウト、三者凡退。
　亮は全員を三振に打ち取ったのだった。
（無粋な輩が混ざったり成り代わってなければ、きっと大丈夫……）
　無邪気にバットを振って打席に備えるののこを見守り、恵御納は一旦ベンチへ戻っていった。

「解説の円ちゃん！　今の新田（兄）の投球、如何でしたか？」
「そーですねぇ、まるでスパッツを素肌で着用したかのようなピッチリとした投球でしたねぇ」
　白と桜庭が実況と解説者ごっこをしながら、のののチームの戦力分析をしていた。
「さぁ、次は我がチームが誇る東南アジアの魔球の遣い手が登場だよ！　楽しみだね！」
「そーですねぇ、タマの扱いは一番慣れているでしょうし、ののこ打線をどう封じるか期待できますねぇ」
　……あれ？　もしかしてこいつらだけ、サンマの件を知らないのでは？
　地の文＝サンは訝しんだ。