ねこじま麺紀行・猫島軒｜リアクション

ねこじま麺紀行・猫島軒

【７】

　すっかり日が暮れた頃、シーサイドタウンの陶芸工房にて。
　志波甲斐斗は暗くなった外を見て、もうこんな時間ですか、とひとり呟いた。
　根を詰めて作業をしていたら、お昼を食べ損ねて、もはや夕食の時間だった。
　作業をしている時は特に気にならなかったが、気がつくと急激におなかが空いてくる。
「とはいえ、買いに行くのも少し億劫ですね。ああ、そういえば猫島軒は出前をしていたような……夕飯はそれにしましょう」
　そうと決まれば、さっそく電話だ。
「もしもし？　すみません出前をお願いします。猫島ラーメンと餃子２人前、それから炒飯をください。あ、あと……ラーメンは大盛りにできましたらそれでお願いします」
　電話を終えて、出前を待つ。こうして料理に思いを馳せて待つ時間も出前の醍醐味だ。
　しばらくしてラーメンがやってくると、甲斐斗のディナーの時間が始まった。
「ラーメンは熱いうちにですね。美味しいものは美味しいうちにと言いますから……いただきます」
　両手を合わせ、深々とラーメンに感謝。
（ラーメンといえばトンコツ一択だと思っていましたが、ここのラーメンを食べてから魚介醤油もいいものだと思うようになりましたね）
　荒々しいこってりトンコツも最高だが、猫島軒の魚介醤油もまた最高のひとつだ。トンコツほどの派手さはないが、いぶし銀な良さがある。
（そういえばコラボメニューなるものもあるとお客様がおっしゃってましたが、どんなものか気になりますね）
　そんなことを思いながら、箸を進めていると気がつけば料理がなくなっていた。
　綺麗に片付いた皿を見つめ、甲斐斗は顔をしかめた。
「……これは困りましたね。デザートを頼み損ねました」
　塩気と油が強めの料理を食べたせいか、今無性に甘いものが食べたい気分だった。
　というか、なんならまだ食べられるぐらいの余裕があった。
「替え玉もできません、これは大問題です。出前だと追加注文ができないのが歯がゆいところですね……」
　ため息をつき、気持ちを切り替える。ラーメンは大満足の味だったし、腹八分目ともいうし、今日はここで抑えておこう、と。
「今度からは、疲れていてもお店のほうに向かうことにしましょう。ごちそうさまでした」
　再び手を合わせ、深々とお辞儀をする。
　おなかも心も満たされて、夜の仕事ももう少し頑張れそうだ。
「……でも、やはりデザートは欲しかったですね。明日のお昼はお店に……おっと、いけません。集中しなくては……」

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あとがき

担当マスター：梅村象山
ファンレターはマスターページから！

マスターの梅村です。
シナリオにご参加いただいた皆様、ありがとうございました！

皆さんが思い思いのラーメンタイムを楽しんでいただけたなら何よりです。
しかし、こうラーメンのお話を書いてると無性にラーメンが食べたくなりますね；；
ちなみにラーメンは醤油トンコツが梅村のイチオシですが、最近は担々麺にもひかれがちです。
バシッと山椒のきいた担々麺がたまりません。餃子はマストです。

それでは、また別のシナリオでお会いできればうれしいです。
梅村でした。

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