シーサイドタウンで遊ぼう！｜リアクション

シーサイドタウンで遊ぼう！

　深林真瞭はホワイトデーの日以来、モヤモヤとしたものを心に抱えていた。
　あの日、嘘をついた事で真瞭の心に落とした影は彼女が考えているよりもずっと影響が強かった。

　それはある意味、当然とも言えるかもしれない。
　何せ、真瞭は本来ならば一番嘘をつきたくない相手に嘘をついてしまったのだから。

　ホワイトデーからそれなりの時間が経った現在でさえも、それはまだ晴れる事はない。
　桜の季節は過ぎていまは初夏に差し掛かろうとしている。

　真瞭はあれから後ろめたさを感じながらも、寝子島と東京の往復生活を続けていたが、先日、ソロコンサートで大阪と京都に滞在した後、昨日寝子島へと戻ってきていた。
　今日一日はオフとなっているので、午前中は星ヶ丘のマンションの一室でヴォイオリンの練習をしていたのだが、どうにも興が乗らずに練習が捗らない。

　コンサートの時は、流石に切り替えて演奏が出来ていたのだが、それ以外ではふとした事で嘘をついた時の出来事をどうにも思い出してしまっていた。
　だが、今日はそれが一番酷いと真瞭は感じた。
　こんな状態で練習をしても仕方がない。それ故に、昼下がりで練習は打ち切る事にしたのである。

「……はぁ。だめね、全然集中できない。こんな状態で練習しても仕方がないわ……。気分転換に出かけようかな」

　そう呟くと、真瞭は適当にラフな動き易そうな服装に着替えると、外へと出かける。
　行き先は、何となくではあるがシーサイドタウンにする事に。

「さて。シーサイドタウンに来たのは良いけれど、どうしましょうか……」

　練習が捗らないからとシーサイドタウンに来たのは良いが、どこで何をしたら良いのか真瞭にはすっかり解らなくなっていたのだ。
　悩みながらも歩いていたら、目の前にゲームセンター『BooM』があるのが目に入った。

「ゲームセンターか……。あまり、入った事はないけど……。でも、だからこそ気分転換になるかもしれないわね」

　そう考えた真瞭は目の前のゲームセンターへ入ってみる事にしたのだった。

「私でも見た事のあるようなものから、全然解らないものまで沢山あるわね……」

　ゲームセンターに入った事があったかどうか記憶が定かではない真瞭だが、それでも見覚えのあるゲームもあった。
　折角こうして中に入ったのだから、何かをしようと思うが今時のゲームは流石に難しいかな？　と、考えていると、ダーツコーナーがあるのが見える。

「あら。ダーツなんて物まであるのね」

　手で矢を投げるダーツ。それならば少しは気分転換になるかもしれない。
　そう考えた真瞭はダーツをしてみる事にした。

　ダーツをやった経験はなかった為、最初は上手く的に当たらなかったがそれなりに器用な真瞭は何度か繰り返す内に段々と当たるようになってきた。
　それがまた少し楽しくて、彼女は自分が思っているよりも思いの外、ダーツに集中していく。
　結局、真瞭は時刻が夕方に差し掛かろうと言う時間まで、ダーツを続けるのであった。

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