フード・プレゼン・バトル　〜語れ！　好きな食べ物！〜｜リアクション

フード・プレゼン・バトル　〜語れ！　好きな食べ物！〜

１　始動

現在、午後３時半を少し過ぎた頃。
午後５時からのイベントに先駆けて、カフェバー『nora tora』の店内では、店主の時田が、二人の女性スタッフ・夏海と咲雪から責め立てられていた。
「だいたい、今日のイベントって何人来るの！　ってゆーか、どんな料理を作るの！」
「だから知らないってば〜。これから参加者が集まるから、その時に聞けばいいでしょ？」
「それでどうやって準備するっていうの!?　ありえない！」
「大丈夫だって！　ほら、咲雪ちゃんも何とか言ってあげてよ～」
「いやぁ、さすがに店長が悪いよぉ」
時田に苛烈に迫る、茶髪で活発な方が夏海で、おとなしそうな黒髪ロングの子が咲雪だ。本来はもう一人のスタッフがいるが、この日は予定があって不在だ。
「ただでさえ、料理がうまいミヤコ先輩が彼氏とデートでいないっていうのに！　店長のアホー！」
夏海が募らせた苛立ちを爆発させたその時、そこに二人の来訪者がやってきた。
黒髪を三つ編みにまとめたおっとり系少女の御巫時子と、魔女のようなクールな魅力を放つ旅鴉月詠だ。
「調理を手伝いに来たぞ」
月詠は白い髪を揺らして、妖しげな赤い瞳を邪悪に細めた。小柄な体躯以上の存在感があった。
「同じくです」
時子は柔和に頷いた。
店主の時田と、スタッフの夏海、咲雪の三人は口論をやめて一瞬固まり——数秒後、一様に安堵の表情を浮かべた。
「力不足かもしれませんが、お任せください」
「完全なる料理を見せてやろう」
時子と月詠はまったく異なる言い回しで、『フード・プレゼン・バトル』の調理を請け負った。

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