MY LITTLE LADY｜リアクション

MY LITTLE LADY

■深林真瞭さまへ宛てたお手紙

　ごきげんよう。
　まだ見ぬお姉様。それともお兄様かしら。
　あなたが素敵なお姉様であることを信じて、このお手紙を書いています。
　あっ、でも、もしお兄様でも、おじさまでも、あたまがごましおでも、きっと素敵な方だと思います。
　だってあなたは、私に未来をくれましたもの。
　これから、お姉様にあててお手紙を送ります。
　もし気に入らなかったら、丸めてゴミ箱にぽいってしてくださいましね。

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　お姉様。私、本当はお勉強は好きではないのです。
　こうして学校や寮に入れていただいてとっても失礼なのですけれど……お勉強が好きな子って、本当にいるのかしら？　なぜ、そんなことをするのかしら。
　学校の先生に聞いてみれば、将来なりたいものになるためなのだそうです。
　なりたいものって、なにかしら。
　ルームメイトの子は、将来パティシエになりたいと言っていました。
　そのためにはやっぱり、お勉強は必要なのだとか。
　私は、何になりたいのかしら……？

　ＰＳ
　お姉様は子供の頃、なにになりたかったのかしら？

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　ごきげんよう、お姉様。
　私、クラスメイトの中では上から三番目くらいに足が速いのです。
　昔からかけっこは得意で、身体も丈夫だったからですわね。
　私は将来、徒競走の陸上選手やスポーツ選手になるのかしら？

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　ごきげんよう、お姉様。
　ルームメイトが風邪をひいてしまって、お薬をあげたり口に合う食べ物を買ってきたりで大忙しでした。
　けれどお友達が元気になってくれたら嬉しいので、私とっても頑張りました。
　もしかしたら私は将来、看護婦さんやお医者さんになるのかしら？

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　ごきげんよう、お姉様。
　お友達に、毎日こうしてお手紙を書いてることを教えたら、とっても不思議そうにしていましたの。
　普通はこんなに沢山お手紙を書かないそうです。私は紙にペンを走らせている間はとっても楽しいのですけれど……。
　将来の私は小説家や新聞記者になっているなのかしら？

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　聞いて、お姉様。学校の先生が将来の夢を書きなさいという宿題を出しましたの。
　けれど私、将来どうなるかなんて想像がつきません。
　陸上選手も看護婦も小説家も、それはなんだか素敵だけれど……。

　ＰＳ
　お姉様は、私が将来どんなふうになっていたら嬉しいかしら。

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　将来のこと、まだぜんぜん分かりません。
　けれど少しだけ、分かったこともありましたの。
　もし学校に入らなければ、私は陸上選手にも看護婦にも小説家にもなれなかった。今は、なれる可能性がある、ってことなのね。
　もしかしたら、これが『将来の夢』というものなのかしら。
　ねえ、お姉様。
　こう書いたら学校の先生に怒られてしまいますから、お姉様だけに教えますね。

　私は将来、お姉様のような大人になりたいわ。
　そうして、未来のもうひとりの私に、将来の夢を教えてあげるのよ。

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