動物園へ行こう！｜リアクション

動物園へ行こう！

○お昼ごはんとサル山

「可愛かったねー」
「そろそろお昼だし、混まないうちに何か食べようか」
「フードコート行こうよ」
　結華はクラスメイトと共にフードコートに向かいました。
　特に目を引くメニューもありませんが、値段はお手ごろです。
「何にするー？　ラーメンって気分じゃないかなー」
「ありきたりだけど、ハンバーガーが無難かな？　ポテトとフライドチキン、どうするー？　みんなで分けようか」
　結華はつぶやきます。
「ホットドッグにしようかな」
（食べ終わったらどこを回ろうか）
　クールな表情のまま、楽しみにしている結華でした。

（何だかお腹が空いてきたわね）
　絢もフードコートへやって来ました。ちょっと考えて、注文します。
「ええと、ハンバーガーとアイスコーヒーをください」
「それならセットがお得ですよ」
　売店の人に勧められ、
「それじゃ、それでお願いします」
　それを聞いていた結華の友達が、
「あたしたちもセットにしようよ」
　と言い、結華も飲み物を選ぶことにしました。

　絢はセットメニューを食べ始めました。
（味は……可も不可もなくね）
「ポテトもらうねー」
「どうぞー、結華も食べなよ」
「それじゃ、もらうね」
　結華たちは、ポテトとフライドチキンをシェアしながら和やかにランチを楽しみました。
　
　リリエルとメリィは。
「こっちじゃお酒飲めないんだよね、残念」
　とつぶやきながら、にぎやかに楽しく食事をしたのでした。

　智瑜はサル山にやってきました。
「人が少ないエリアは寂しいです。ボス猿のパンチが元気無さそう？」
　理由が分からないので、智瑜は隅の方でろっこんを使ってみることにしました。
　智瑜のろっこん『想い見る』は、心の中で対象を思い浮かべると対象の求める物、願いなどが頭に浮かぶという能力です。
（何で元気がないのか知りたいです）
　パンチの姿を思い浮かべると、たくさんのお客さんに囲まれて声をかけられる様子が浮かびました。
　イメージの中で、パンチはとてもご機嫌です。
（怪我とか病気じゃなくて良かった）
　ちょっと安心した智瑜ですが。
「やっぱり人が居ないと寂しいのかな？」

　なんとかしてあげたくて、智瑜は考えました。
「ジェスチャーで会話してみよう」
　パンチに手を振って、こっちへ注意を向けます。
（元気出して）
（ホワイトタイガーの赤ちゃんが生まれたの）
（ホワイトタイガーの赤ちゃん見終わったらこっちにも来てくれると思うから）
　パンフレットも見せながら、ジェスチャーで表現します。
（大振りになると恥ずかしいけど。伝わってるかな？）
　子ザルのモン吉が興味を示して、智瑜のジェスチャーのマネを始めました。
　が、うまくできないので明らかに違うものになっています。
　それを見ていたつまらなそうだったパンチの表情に変化が生まれました。
　ケケケッ。
　笑いだしたパンチに、群れの他のサルたちも生気を取り戻し、元気に動きだしました。
　一生懸命ジェスチャーをしてくれた智瑜とモン吉の姿に癒されたようです。
（元気出た？）
　嬉しくて、智瑜も元気になりました。

　昼食を済ませた結華たちは、気ままに園内を回っていました。
　サル山にやってくると。
「あれ？　あそこにいるのうちのクラスの子じゃない？」
「本当だ。宮祀さん、何やってるんだろ？」
　人が来たことに気づいた智瑜は、ジェスチャーを止めました。
　手を振って離れます。
「またね」
　そこへ、結華が声をかけました。
「こんにちは、宮祀さん」
「こんにちは……」
「猿って見てて飽きないわね」
　結華は猿たちに興味津々です。
　智瑜に元気付けられたサルたちは、女子高生が３人も来てくれたのを見てサービス精神が湧いたようです。
　結華はサルたちの面白い動きにニヤニヤしてしまいました。
「結華、他の動物みようよー」
　他の友達にせかされてしまいましたが。
「じゃあ、またね宮祀さん」
（パンチが元気になってくれてよかった）
　智瑜は、ほっとしてサル山を後にしました。

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