【三寮祭】星ヶ丘、マスカレード☆｜リアクション

【三寮祭】星ヶ丘、マスカレード☆

■二人は！恋人！
　寝子島高校　芸術科。
　３年６組の初瀬川理緒と佐和崎紗月は恋人同士である。
　理緒はグラビアアイドルとして活動中な、ナイスバディかつ洋服やアクセサリーにお金をかけ美しさを磨く妖艶系美女であり。
　かたや紗月はピアノ演奏を愛し、どちらかと言えば内向的で人見知りをする、大人しく愛らしいタイプと言えよう。
　どちらかと言えば真逆の性格にも思えそうなものだが、だからこそピッタリと噛み合うのだろう。
　今日、理緒と紗月の二人は星ヶ丘の祭りに遊びに来ている。
「わぁ……理緒ちゃんの話で聞いていた以上だね……」
　紗月がエントランスの時点で既に、寮の豪華絢爛さに驚きの表情を見せていた。
　理緒は先日、星ヶ丘寮のお泊り会に参加した。その際の話を聞いていたが、それでも実際にお城のような寮を見れば、足を踏み込んでよいのかと悩んでしまう程。
「お泊り会の時はここまで人はいなかったし……確かに今日は凄いかも」
　理緒が紗月の表情を見れば、やはり不安そうで。
「大丈夫、せっかくだから楽しもうよ、紗月！」
　紗月の腕を取り、理緒が笑みを見せれば。紗月もまた笑みを浮かべるのだった。
「それじゃあ、せっかくだし着替えよう」

　そして。　
　「理緒ちゃん、綺麗……！」
　着替えの終わった理緒の姿を見れば、紗月の目は潤みうっとりとした表情。
　お洒落好きな理緒はドレスとマスクを己のセンスで選んだ。
　数多くのドレスに胸を躍らせ、ドレス選びだけで時間があっという間に過ぎそうになる程。
　その中から理緒は鮮やかな赤のドレスをチョイスした。華やかでボリュームのあるドレスは胸元がしっかり開き、理緒の美しい胸元を更に美しく見せていた。
　髪型やメイクは星ヶ丘寮の凄腕スタッフ達に任せれば、いつものグラビア撮影とはまた違う雰囲気に仕上がるもので。
「ありがとう、でも紗月だってとっても似合ってるわよ」
　紗月の愛らしさに眩しさを感じる理緒。
　柔らかなピンクのカーネーションを思わせる、レース使いの美しい柔らかな素材のドレスは紗月にとても似合っている、と思う。
　星ヶ丘寮のスタッフが用意しただろうアクセサリー使いもセンスが良い。
　お互いのドレス姿に新鮮さを感じながら、理緒は色気ある黒のマスクを。紗月は純白のマスクを着用した。

　そして二人が寮内へ足を踏み入れれば
「まるで映画の世界みたい……！」
　思わず呟く紗月に理緒も頷き。
「うん、こないだ来た時と全然違う」
　本当にヴェネツィアにいるのかと錯覚させる程の装飾と、寮内を闊歩するドレス＆マスク姿の人々。
　顔を全て覆うマスクの人物は妖しさも満載で。
（うぅ……ちょっと怖い、かも）
　紗月はそっと理緒に寄り添い、その腕に己の腕を絡ませた。
（紗月、怖いのかしら？）
　小動物のように縮こまり、きょろきょろと周りを見回す紗月の姿は愛らしい小動物のよう。
（もう、可愛いんだからっ）
　理緒は紗月の掌をそっと握り、自然に指を絡ませ。
「大丈夫だよっ」
　安心させるように、紗月の瞳を笑顔で見つめる。
（理緒ちゃんは物怖じしないで堂々として凄いな……。少しだけでも、理緒ちゃんのような度胸があれば）
　安心感と尊敬の念を抱く紗月。
「ね、紗月。あっちに噴水広場があるみたいよ。行ってみない？」
　少しでも明るい雰囲気がある場所へ誘ってくれているのだろう。
　そんな理緒の心遣いに感謝する紗月だった。