【三寮祭】星ヶ丘、マスカレード☆｜リアクション

【三寮祭】星ヶ丘、マスカレード☆

■解けない魔法をあなたへ
　星ヶ丘寮からの帰り道。
　桜花寮に戻る前に、白草朱乃を彼女の家へと送り届ける呉井陽太。
「あぁ、魔法が解けちゃったみたいです」
　ドレス姿からいつもの服装に戻った朱乃は、名残惜しそうな表情を見せている。
「そうだねぃ。仮面じゃない姿も久しぶりに見る気がするねぃ」
「確かに、です。……あ、呉井先輩」
　ふと立ち止まる朱乃。
「ん？どぅした～？」
「ちょっと、目を瞑ってくれませんか？」
「ん？もしかして、なんかついちゃってる～？」
　陽太の肩に乗せられる、朱乃の手。
　少しだけ陽太が屈めば……額に、柔らかで暖かな感触。
「え？え？え？」
　瞳を開けば、悪戯に微笑む朱乃。
　呆然とし、何度もパチパチとまばたきする陽太に。
「魔法が解けないおまじない、です」
　そう言うと、朱乃は頬を染めたまま、自宅の方向へと全速で走って行った。
「あ、朱乃ちゃん！？」
　背中に声をかけると、彼女は少しだけ振り返り「おやすみなさい」と手を振った。
　とり残された陽太は、まだ熱を帯びた額にそっと触れ
（まさか、おでこにキスされるなんて）
　芽生え始めた感情が、更に暖かで柔らかな熱を帯びるのを感じていた。

「野々さん！」
　すっかり元の姿に戻った佐藤英二。桜花寮への帰り道、先程まで共に楽しく踊った野々ののこの姿を見つけ、声をかけた。
「あれ？英二くん！今帰り？」
　英二の声に振り返り、屈託のない笑みを見せるののこ。
　ののこもまたドレス姿ではなく、カジュアルな私服に戻り。またメイクもすっかり落ちている。
「うん。野々さんも星ヶ丘寮、楽しめた？」
「もっちろん！あ、でもマスクをつけた私はののこじゃなくて、ノココでね……」
　ドレスを選んでもらい、髪に花飾りをし。
　友人や知らない人とたっくさん交流出来た、とののこは嬉しそうに話す。
　その楽しそうな姿に目を細める英二。
「僕も……仮面をつけていたので正体はわからないけど、明るく素敵な女の子と踊ったんだよね」
「え、そうなの？私だって、素敵なタキシードの紳士とも踊れたしっ」
　英二に張り合うような、しかしどこか悪戯な眼差しでののこは英二を見る。
「あ、あれ……？気づいてた？」
　勿論！とばりに胸を張るののこ。
「だって、英二くんも私のこと気づいてたでしょ？一緒だよ！」
　キシシ！と笑うののこの笑みはとても愛らしく。
　バレていたことに少し恥ずかしさを感じつつ、でも気づいてくれたことは嬉しくて……なんだかくすぐったい感覚を覚える英二だった。
「仮面舞踏会も、新鮮でいいね！」
　また猫の仮面かぶりたいなぁ、と嬉しそうなののこ。
（ドレス姿も新鮮で、とってもとっても可愛かったけれど）
　隣のを歩くののこの横顔をそっと見。
（やっぱり、いつもの野々さんも十分魅力的だな）
　そう思いながら、英二とののこは桜花寮へと帰るのだった。

　――こうして、星ヶ丘寮の祭は様々な想いと共に幕を閉じたのだった。

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あとがき

担当マスター：金原りく
ファンレターはマスターページから！

この度はご参加いただきまして、誠にありがとうございました！
金原りくです。

星ヶ丘寮のお祭り、ＰＣの皆様の企画したイベントということで
緊張しながらも楽しく書かせていただきましたっ。

優雅なダンスに恋模様、ハードボイルドなオオカミ探し、と
色んなシチュエーションを丸っと詰め込めたのは新鮮で！
刺激ビシビシでしたっ。
今回のお話で縁が深まったり、また新たな縁が紡がれたら
嬉しいな、と思います。

ご希望、ご期待に添えているかとてもとてもとてもとても心配ですがっっ。
少しでもお気に召していただける点がありましたら幸いです。

この度はご参加いただき誠にありがとうございました！
またのご縁を、心より楽しみにしております。

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