【三寮祭】星ヶ丘、マスカレード☆｜リアクション

【三寮祭】星ヶ丘、マスカレード☆

■ノココと遊ぼう！
（……おや）
　恵御納夏朝――の別人格、夏夜は目の前を歩く、明るい雰囲気の少女に心を奪われた。
　レモンイエローのドレスで楽し気に歩く少女――野々ののこ。
　猫を模した仮面を着けるののこの姿に、夏夜は初めて会うにも関わらず既視感を覚え。
　思わず近づき、声をかけた。
「お嬢さん。私はノーテと申します。失礼ですが……貴方の今宵のお名前は？」
「ノーテさん！えっと、私はののこ……じゃ、なくて……えーっとえーっと」
　懸命に己の今宵の名を考える姿を見れば、微笑ましい、と夏夜は思い。
「えっと、じゃあ、私の名前はノココだよ！」
「ノココさん。もしお一人ならば、共に星ヶ丘寮内を散策しませんか？」
「楽しそう！」
　満面の笑みを浮かべるののこに、夏夜も微かに笑む。

　夏夜とののこが二人で星ヶ丘寮を探索する。
　薔薇園に立ち寄り、魔女の部屋でお茶を楽しんだり。明るいののこと過ごす時間はあっという間に感じられた。
　夕刻を過ぎれば、不意に寮内に放送が流れ始めた。
　それはオオカミ探しの始まりの合図。
「悪いオオカミ、ね……」
　口元に手をあて、考え込む夏夜。
「僕は少し、オオカミ探しを楽しんでこよう。君はどうする」
「私は……う～ん、せっかくだから噴水広場に行ってみようかなぁ」
「そうか、じゃあここで一先ずお別れだね。楽しかったよ……ありがとう」
　優雅に礼をする夏夜にののこもペコリとお辞儀をし。
「ありがとう、ノーテさん！」
「そうだ。明日、桜花寮にも来てほしい。……夏朝もきっと喜ぶから」
　ののこは夏夜の口から知っている名前が飛び出したことに驚きを見せながらも、満面の笑みを浮かべ
「勿論！」
　頷きながら、ののこは噴水広場へと向かっていくのを、夏夜はそっと見守った。

（……あれは）
　本場のカーニバル衣装に身を包んだ八神修は噴水広場で一人の少女の姿を見つけた。
　いつもと雰囲気はだいぶ変わっているけれど。
　マスクをつけながらも、興味津々で周りを見る小柄な少女の姿に直ぐにピンと来た。
（野々、だな）
　噴水広場では優雅な舞踏曲が流れ、周りの人々はそれぞれに手を取り合っている。
　修もそっとののこへと近付き。
「野々」
　声をかければ、ののこはビクッ！と驚きに弾んだ。
「今日の私はノココだよ！」
　慌てるののこに修はクスリと笑う。
（声と話し方で野々だとわかるけれど……）
「それじゃあ……ノココさん、俺と踊らないか？」
　礼儀正しくお辞儀をする修の姿に、ののこは満足そうな笑みを見せ
「喜んで！」
　修の手を取り、曲に合わせてステップを踏むのだった。
「野々はオオカミをやりたいんじゃないか、って思ってたんだけど」
「確かに気になったんだけど……って、今日は野々じゃなくてノココだから！」
　だから、淑女のように振る舞うの！と大人っぽいメイクをしていても笑顔は天真爛漫なののこの姿に、修は穏やかな笑みを浮かべるのだった。

（……あれは……野々さん？）
　初瀬川理緒とダンスを楽しんだ後、佐藤英二は楽しそうにダンスを舞う少女に目を奪われた。
（あのイエローのドレスの子……）
　雰囲気はいつもと違うようにも思えるけれど、周りを明るくさせる楽しそうな動きはののこに間違いない、と英二は確信する。
　何曲か踊り、余裕も出て来た英二。理緒と別れると、修と踊り終わったののこへと近づいていく。
　お互いに、いつもの学校生活とは違う服装。
　ののこは自分のことをわかるだろうか。
　彼女に近づきながら、鼓動が早まっていくことに気付き、英二は大きく深呼吸してから。黄色いドレスに包まれた彼女の前へと進み出た。
　柔らかな黄色のドレスはののこにとても良く似合う。
　また、大胆に露出した肩や胸元を飾るアクセサリー、潤いがあり赤みがかった唇など、学校で会う彼女とはまた違う魅力に、英二は再度胸の鼓動の早まりを自覚した。
「素敵なお嬢さん……僕と踊っていただけませんか？」
　声が上ずりそうになるのを堪えながら、平静を演じののこへと声をかける英二。
　目の前に現れた仮面の紳士の登場に、一瞬キョトンとした表情を見せるののこ。
　しかし、すぐにニパッと笑い
「勿論！」
　笑みと共にちょこんとお辞儀をするののこの姿は、大人びた衣装でもやっぱりののこらしくって。
　少しだけ安堵しながら、英二はののこの手を取った。
　ののこの手から伝わる体温、そして間近で見るいつもとは違う雰囲気のののこの姿に。
（……やっぱり、ドキドキが止まらないや）
　少しだけ緊張を見せつつ、ダンスを楽しむ英二だった。

このページにイラストを設定する

【三寮祭】星ヶ丘、マスカレード☆

シナリオ

シナリオデータ

シナリオスケジュール

参加キャラクター一覧