【三寮祭】星ヶ丘、マスカレード☆｜リアクション

【三寮祭】星ヶ丘、マスカレード☆

■ラストダンスを私と
　初瀬川理緒と佐和崎紗月が噴水広場に着くと、想像以上の人の多さに二人は更に圧倒され。
　軽やかな音楽に身を委ね、仮面をつけた男女がくるくると舞う。
（わ、わ……！）
　ドキドキしながら理緒の後ろを進んでいた紗月だったが、キョロキョロとしている内に
（あ、あれ？理緒ちゃんはどこ……！？）
　人波に流され、いつの間にか紗月は理緒の背中を見失ってしまい。
（うぅ……心細いよぉ）
　早速涙目となる紗月に、陽気な声が降りかかった。
「可愛いお嬢さん、良かったら俺と踊らないか？」
　仮面とタキシードに身を包んだ龍目豪が紗月へと声をかけた。
　彼女持ちの豪ではあるが、星ヶ丘寮生としておもてなしをしつつ、せっかくだから可愛い女の子と踊りたい！
　そう思っていた所に、どこか不安気な紗月を見つけたものだから、声をかけずにはいられなかったわけで。
「え、えっと……」
「どうした、何かあったのか？」
　そっと手を伸ばす豪。いつもだったら戸惑ってしまいそうな紗月ではあるが、仮面を被っているせいか、心地良い音楽のせいか。
　紗月も豪の手に触れる。
　そしてそのまま、二人はステップを踏み。
「あの、実は、一緒に来た人とはぐれてしまって……」
「なんだ、そうだったのか。じゃあ踊りながら探そう！俺も手伝うぜ」
　ニカッと笑う豪の眼差しに、どこか安心感を覚える紗月だった。

　一方、理緒の方も。
「あれ？紗月？」
　キョロキョロとあたりを見回す理緒。さっきまで後ろに着いてきていた紗月の姿が見えない、が。
「……あれ？踊ってる？」
　直ぐに見つけ出した紗月は男性とダンスを踊っている所。
（楽しめてそう……かな？）
　意外な彼女の姿に少しだけ驚きつつ、それじゃあ！と理緒も側にいた少年へと声をかけた。
「ね、一緒に踊らない？」
　目の前にいたのは佐藤英二の姿。
「僕、ですか？ ……えぇ、喜んで」
　恭しく英二はお辞儀をし、そっと理緒の手を取る。
　理緒は横目で紗月の姿を気にしつつも、ダンスを楽しむのだった。

「あ、理緒ちゃん！」
「お、いたのか？」
　曲が終わりかけた所で、紗月は理緒の姿を発見した。
　楽しそうに男性と踊る理緒の姿にやはりまた、ふみゅう～、と涙目となり。
「お、おい、どうしたんだ？泣いたら可愛い顔が台無しだぜ？ほら、行ってきな」
　豪に後押しされ、紗月は理緒の元へと駆ける。
　そして曲が終わり、英二と離れた理緒は紗月に気付いた。
「理緒ちゃぁぁん……」
　今にも涙が溢れそうな紗月の姿に、理緒は驚きつつも笑みを見せ
「心細くさせちゃってごめんね、紗月。あたし、紗月が泣くのは見たくないよー」
　落ち着かせるように紗月の髪を撫でてやれば。そっと理緒に抱き付き。
　理緒は愛し気な眼差しと共に、紗月へと声をかけた。
「……一緒に、踊ってくれる？あたしのお姫様」