【三寮祭】星ヶ丘、マスカレード☆｜リアクション

【三寮祭】星ヶ丘、マスカレード☆

■華麗に！優雅に！おもてなし！
　星ヶ丘寮の名に恥じぬよう、最高級のおもてなしを。
　星ヶ丘寮生は勿論のこと、寮で働くメイドや執事、スタッフ達が祭りの日に向けて準備を進める。

　加瀬礼二は祭の間に行われるイベント『サバイバルゲーム』のため、玩具の銃を手配し。
「皆さんに刺激的で楽しい時間を過ごして頂きたいですねぇ」
　ね、センパイ、と弥逢遊琳へと優美な笑みを向ければ
「あぁ、そうだね」
　どこか女型を思わせる小柄な遊琳は礼二の言葉にゆるりと頷いた。
　甘味処を経営する家の息子である遊琳、雅な雰囲気を持ち合わせ。また、袖で口元を隠す仕草には色気が漂う程。
　そんな礼二と遊琳の二人に気付き、近づいてきたのは八神修だった。
「これがサバイバルゲームの銃か……」
　礼二の用意した銃を興味深そうに眺める修。
「他の準備も順調のようですねぇ」
　礼二の言葉に修は大きく頷いた。
「あぁ。皆、気合が入っているよ。それにネットのアクセス数も凄いものだ」
　祭のために、許可を得て簡易マップやイベント表をネットにアップした修のサイトのアクセス数から、寝子島内外から大きく注目を集めたイベントとなっていることがわかる。
「きっと、素晴らしい一日になることでしょうねぇ」
　礼二の左目から覗く鮮やかな青色の瞳が、細まった。

　はちみつ色の瞳をキラッキラに輝かせて。
　懸命に装飾を手伝うのは、メイド服姿の春姫いちご。寮生でありながらも、いちごにとってメイド服は制服のようなものであり。
　この春、星ヶ丘寮へと入寮したいちごにとって、初体験となる寮のお祭り。
　否が応でもその期待は高まってしまう。……いちごのその大きな胸のように。
（みなさんが素敵な気持ちになれるよう、頑張りますっ！）
　そんないちごの姿を微笑ましく見守るのは、檜扇唱華。
　星ヶ丘寮の専属メイドである唱華、寮生の手の届かない範囲のサポートをテキパキとこなしながら
（舞華ちゃんとはまた違ったタイプの愛らしい女の子ですわね）
　愛らしい女の子チェック……もとい、お手伝いが出来ないか、にっこりとした目を光らせている。
「姉さん、椅子やパラソルの搬入は終わりましたーよー」
　唱華の妹であり、唱華同じく星ヶ丘寮のメイドを務める舞華が唱華へと声をかけた。
　寝子島アニメーション学院声優科に通う専門学校生でありながら、メイド業務もバッチリとこなす舞華。
「それじゃあ、次は動線の確認をしましょう」
　現れた愛妹、舞華の姿に更に更に目を細め、唱華と舞華は準備を続ける。
　
　さて、当日のイベントの目玉となるのが仮面舞踏会。
　星ヶ丘寮に住む生徒にとっては、煌びやかなドレスや華麗なマスクを用意することなど造作もないだろう。
　だが、通常の家庭のクローゼットには豪華な貴族風衣装なんてまずない。舞踏会用のゴージャスなマスクはほぼ使わない。
　そんな方々のために、衣装やマスクは関しては星ヶ丘寮が積極的に用意することとなった。
　エントランスには今から沢山のドレス、また仮面舞踏会用のマスクが集まっている。
　市販品は勿論のこと、この三寮祭のために桜月は新作のドレスをいくつもデザインしていた。
（実際に形にしたのは業者ではあるが……まぁ悪くはないな）
　エントランスに並ぶドレス達はどれも圧巻だが、月のデザインしたドレスも負けず劣らず完成度の高いものだった。
　来訪者がこのドレスに袖を通すことを考えると、月の表情に少しだけ笑みが零れる。

　仲秋薫はマスクの手配を担当していた。
　勿論、薫が日頃から着用している風邪予防風の白マスクではなく、目元や口元を隠すゴージャスで煌びやかな美しいマスクを作成、手配する。
　己の美しさを軽々しく見せるものではない、この美しい素顔を見せるのは愛する者にだけ……！
　そう思い、眼鏡やマフラー、ゆったりとした服装で美しき素顔、整いまくったボディラインを隠し続ける薫であり、己の身体を隠すこと、また美に対するこだわりには並々ならぬ情熱を持っている。
（せっかくですもの、仮面だって美しく作りたいですね。ただ顔を隠すのではなく、その人を飾るように！）
　眼鏡の奥で黒い瞳がキラリと光り、より一層薫のマスク作りへの情熱が高まるのだった。

　仮面舞踏会に欠かせないものの一つ、それは音楽であり。
　噴水広場から、音楽団の優雅な響きが流れてくる。
　獅子目悠月が声を上げ
「じゃあ、これが今回の演奏リスト、そして演奏するメンツのローテーションだ。皆よろしく頼む」
　悠月の言葉に演奏を担当する者たちは頷き、曲順を確認し合うのだった。

　設営を担当する鎌八まもるや龍目豪は、手分けしてお部屋開放する家に目印となる吊り看板を下げて行く。
「当日はよろしく頼むな！」
　豪は小動物のような少女、緋紅朱赫乃にニカッと笑みを見せた。
「は……い、あの、頑張り、ます……」
　今回、赫乃は所有し育てる薔薇園をせっかくだから、と公開することに決めた。
　豪が去った後も、飾り付け用の薔薇を剪定する赫乃。
　緊張はするだろうが、それ以上にワクワクした気持ちを胸に秘めた赫乃だった。

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【三寮祭】星ヶ丘、マスカレード☆

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