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●夕の雪、島に降りけり
午後も半ばの寝子島駅前。
壬生 由貴奈
は雪を見ていた。
ただぼんやりと雪を見ていた。
間も無く道の向こうに待ち人は、厚着をし、大きなマフラーを巻いていて、顔が鼻まで埋まっていた。
「……あっ、うーちゃんだ」
由貴奈は恋人の名を呼ぶ。
彼氏な
卯木 衛
は、由貴奈を見つけるなり、母親を見つけた子どもみたいににっぱと笑って駆けてきた。
「由貴奈さん、すいません! 待ちました?」
「ううん、うちも今来たとこだよ。それにしても……季節外れの雪、だねぇ。もう5月だよぉ?」
手のひらを上に向け、雪を受け止める。手のひらで水に変わるそれは、確かに雪だった。
「今日は雪の中のデートだよぉふっふっふー。まさかこの時期に雪を見れるとは思わなかったよねぇ」
「俺も、雪の日デートはもっと先だと思ってました」
衛は屈託なく笑った。
だからちょっと得した気分です、と言って、手を繋ぐ。
年上の恋人が寒くないように、あっためてあげるナイトみたいな気持ちで。
「じゃあ早速、展望台まで行っちゃおうか」
旧市街の参道商店街を抜け、寝子島神社の前を通り、登山道入り口からロープウェーに乗る。
小さな箱の中でかたんかたんと揺られながら、寝子温泉のあたりも真っ白になっているのを見る。
砂掛谷で乗り換えて、九夜山頂上の展望台に着くころには、すっかり夕方といっていい時刻になっていた。
「うわーすっげーキレー!」
手すりから身を乗り出すようにして、衛は言った。
「一人じゃ展望台行くことなんて滅多にないよね。空は見えないけど、島が一望できていいねぇ」
由貴奈も手すりに寄り掛かる。
真上は鈍色の厚い雪雲がかかっているのだが、それは寝子島の上だけことで、島の四方、本土の方や太平洋の海の上は雲の無い空が広がっている。そのため、海に沈みゆこうとする太陽の真っ赤な光が海と雲の間から差し込んで、白い雪で化粧された山肌や街並みをキラキラと照らしているのだ。
ふたりが何よりもうっとりしたのは三夜湖だった。
地図上で見ると猫の目の位置にある三日月型した湖は、夕日を反射して、最高の職人にカットされた宝石のように複雑な煌めきを宿しているのだ。あの煌めきをそのままに、そっと掬って、宝石箱に仕舞うことができたら、どんなに素敵なことだろう。もしそれが出来たなら、きっと毎晩、寝る前にこっそり箱を開けて、眺めてしまうに違いない。
「来て良かったね」と由貴奈は言った。
「三夜湖も夕暮れで綺麗だし、雪のおかげで幻想的な気がする」
「そうっすね……三夜湖の向こう側にも雪降ってたりするんですかね」
衛はそう言って、身体ごと由貴奈に向き直り、息を呑んだ。
夕日と雪に照らされた由貴奈の横顔が、まるで三夜湖を守護する女神のように美しかったからだ。
そんな人の隣にいることが嬉しくなって、衛は笑いながら低い声でそっと耳打ちする。
「……こんなかでも由貴奈さんが一番キレー」
「なっ……、もぅ。不意打ち禁止だよお」
由貴奈は僅かに照れたように頬を染めた。
そして照れたことを隠すように、いそいそと鞄の中から保温ポットとカップを取り出す。
「……そうだ、うーちゃん、ここでひとつ、どう? 寒くなるだろうと思って、家で淹れてきたんだよぉ」
注がれたのは温かい紅茶。白い湯気とふくよかな香りが広がるカップを衛に渡す。
「お茶だー! 由貴奈さんすげえ準備がいい! さっすがー!」
「急だったから夕飯になるものは持ってこれなかったけど、いつも通りクッキーはあるから、これもうーちゃんにお裾分け。どーぞぉ」
小瓶に入っていたのは、ハート型や、ナッツ入りや、白と黒の格子状のアイスボックスクッキー。
「えへへ、俺由貴奈さんのクッキー大好きだから嬉しいです!」
衛はハート形のをひとつ摘まんで温かい紅茶といっしょに齧り、由貴奈もそうした。
太陽が沈んでゆく。弧を描く水平線の向こうへ。
朱から金へ、金からインディゴへ色を変える海。
黄金色に輝いていた街並みもゆっくりと夜に包まれ、ひとつふたつ、三つ四つと、白い灯が増えてゆく。
大げさだけれど、地球の営みの偉大さを感じる。
大きな地球に住むちっぽけな人間がふたり。
ここにいる。
雪のせいでもともと人が少なかった展望台は、残るはふたりきりになっていた。
ロープウェイも早仕舞い。次の便が最終だという放送がかかっている。
ふたりの時間が楽しすぎて、まだまだ一緒に居たくて喋っていたら、思ったより時間が過ぎていたようだ。
衛は時計を見た。
「もうこんな時間か」
「ん、結構暗くなっちゃったね。もう日も沈み切っちゃった。他に展望台に来てた人も帰っちゃったみたい」
衛は人気のなくなった展望台をぐるっと見渡す。
ぽつんとロープウェイ駅の灯り。
山は、青みを帯びた闇に包まれ、しんとしていた。
「雪の日ってなんでこんなに静かなんだろうな。街の明かりも雪でぼやけて遠いし」
「そうだね……でもさ。寒いけど、季節外れの雪も悪くないね」
由貴奈は微笑み、普段だったら照れて言えないようなことをさらりと言った。
「うーちゃんと一緒にこうしていられるから猶更かなぁ」
「俺も」
衛もちらりと由貴奈を見上げる。そして、出来るだけさりげなくなるように、小声で伝える。
「俺も、由貴奈さんと一緒だから余計にこういうのもいいなって思います」
言って……幸せがこみあげてきた。
「えへへ、なんか……世界中に二人だけみたいですね」
「……ねぇうーちゃん、ちゅーしよっか?」
唐突に、由貴奈が言った。
ねぇちょっとお茶しようか、くらいのトーンで。
衛は驚いて由貴奈を見た。
由貴奈はいつものすこし眠たそうな調子のまま続ける。
「外じゃ恥ずかしいからいやだけど、今は誰もいないし、ねぇ? 雪でロマンチックだし、ちょっとそんな気分になっちゃった」
すこしの間沈黙があった。
衛が見つめ続けているので、由貴奈はとうとう照れくさそうに視線を逸らす。
「これまでもちょっとしかちゅーしたことなかったから、今日はじっくり。うーちゃんが満足するまで、ね?」
「……そんなこと言ったら、帰りだいぶ遅くなっちゃいますからね」
衛は巻いていた大きなマフラーを解いて広げ、由貴奈にぐっと近寄ると、彼女と自分をひと巻きに包んだ。
ふだんより大人びた声で、耳元に低く囁く。
「俺、これでも意外と狼なんですよ」
つま先立ちで、由貴奈の頬に両手を当てる。
由貴奈は少し屈むようにして瞼を閉じる。
唇が触れる。
ふたりとも、寒さで冷たくなっている。
求めたのは熱。
わずかに唇を開き、口づけを深くする。
お互いに、熱を灯す様に何回も、何回も。
最終のロープウェイ。
発車までまだ時間はある。
衛と由貴奈は雪明りの中、長い長いキスをした。
――雪は降り続けている。
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担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年12月10日
参加申し込みの期限
2017年12月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年12月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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