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本音?嘘?風邪引いちゃいました
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けほ、と、ベッドの上の
メーベル・コルテージュ
が口元を押さえる。
その姿を目に、メーベルの様子を見る為3階まで上がってきた
ヴェルト・レトランジェ
は、
「おやおや。まさか、君が風邪を引くとはね」
と、軽く肩を竦めてみせた。
メーベルのエメラルドグリーンの眼差しが、ヴェルトへと向けられる。
「全く同感で……申し訳、ありません。少々迂闊でしたね」
「まあ、そういうこともあるさ。今は養生することだ」
「はい……今日は一日、大人しくしています」
メーベルの言葉を耳に、「それがいいよ」とヴェルトは身を翻さんとした。
途端、その小さな背中へと「先生」と声がかけられる。
そのどこか縋るような響きに、ヴェルトは顔だけでメーベルの方を振り返った。
「何だい、メーベル」
「その……どこへ行かれるのですか?」
「どこって、こうなってしまっては仕事にならないだろう?」
今日は店じまいにしてくるよ、と、ヴェルト。
メーベルが、ほう、と息を吐いた。
その反応に、ヴェルトは身体ごとメーベルの方に向き直って、ことりと首を傾ける。
「そのため息は、どういう意味かな?」
「いえ……店じまいということは、すぐに戻ってきてくださるんですよね?」
「そのつもりだけれど、何か問題が? 仕方がないから、看病をと思っているんだがね」
「そう……そう、ですか。問題なんて、ありません。……嬉しいです」
ヴェルトの立場に並の人間が立ったならば、くるりと目を丸くしていたに違いなかった。
メーベルは、常は気持ちを表に出さない。
なのに、心を隠すポーカーフェイスすら、今にもすっかり崩れてしまいそうではないか。
内心では、ヴェルトも大いに驚いていた。まずいな、とさえ思ったほどだ。
(これは、だいぶ重症のようだ……ここまで弱気になるとは、珍しいね)
ただ、メーベルのことは、ずっと傍にいるヴェルトが、風邪等とは無縁の男だと思っていたくらいである。
そのことを考えれば、気持ちの方にも変調があるのも、仕方がないことのような気もした。
(この間寝子島に行った時に貰ってしまったかな。これじゃ、やはり放っておくのは可哀想だね)
たまには父親らしくしようかと、ヴェルトは胸中だけに頷く。
「先生?」
「いや、何でもないよ。すぐに店を閉めてこよう」
はい、と応じたメーベルの声が心なしか弾んでいるように感じられて、ヴェルトの胸を不思議にくすぐった。
約束の通り、ヴェルトはじきにメーベルのいる3階へと戻った。
「早く治したまえよ」
声をかけてやりながら、身体や額を濡らしたタオルで拭いてやる。
その間、メーベルはずっと大人しくしていたが、
「……なんだい?」
ヴェルトがその仕事をやり終えると、不意に手を伸ばして、『先生』の小さな手を掴んだ。
「……離れてほしくない、と思ったもので」
問いへの答えは、何とも言えず真っ直ぐなものだった。
手に手が触れる温度に、ヴェルトは、メーベルに出会った頃のことを思い出す。
(全く……こんなに素直なメーベルを見るのは、いつぶりだろうね)
10年ほど前、記憶を失い、どこから来たかもわからない状態で自分に拾われたメーベル。
育っていくにつれ失われていった可愛げが突然ひょこりと帰ってきたのに、
(からかい甲斐はないが、このくらい素直な方が助かるよ)
と、ヴェルトはごく僅かに口の端を上げた。
メーベルが、その仄かな変化に気付いて、瞳を瞬かせる。
「何か、おかしいでしょうか……?」
「大したことじゃない。いつもこう素直だといいんだがねと思っただけだよ」
少し笑って、ヴェルトはメーベルの手を握り返すと、簡単に付け足した。
ちゃんとここにいるから安心していい、と。
「……そうですか」
メーベルのかんばせに、幼子のそれのような、屈託のない笑みが咲く。
それもまた、ヴェルトを静かに驚かせた。
「君が笑うのなんて久々に見たよ」
「そう、でしょうか……そのようなつもりはないのですが」
暫く手を握っておいてやって、そのうちに、ヴェルトは再び口を開いた。
「腹が寂しくはないかい? 食べたいものがあれば言うといい」
「食べたいもの……そうですね、温かいスープが飲みたいです」
「わかった。スープだね」
気付けば長らく繋がれていた手を、ようやっと離す。
メーベルが、心細げな顔になってヴェルトを見つめた。
「……行って、しまうんですか」
「大袈裟だね。スープを持ってすぐ戻るよ」
「そう、ですが……」
「その時は、僕が手ずから食べさせてあげよう。それならどうだい?」
メーベルがやっと、こくと頷く。
ヴェルトは再びベッドを離れ――今度は、熱々のスープを連れて戻った。
スープは、ざく切りにした野菜を適当に煮て味を付けたものだ。
かなり大味だが、不味くはない。
「おや? 少しでも横になっていれば良かったのに」
「すみません、落ち着かなくて……」
「まあ、これを食べてから眠ればいいか。ほら、口を開けてご覧」
ヴェルトが口元に差し出した一匙を、メーベルは『あーん』と躊躇いなく口に運ぶ。
「食欲はあるみたいだね。他に、何かしてほしいことはあるかい?」
「して欲しいこと……そうですね」
最後の一口を食べ終えて、メーベルは考え考え音を紡いだ。
「強いて言うならば……『一緒に寝てほしい』でしょうか」
変な意味ではない、ですよ? と付け足された言葉に、嘘はないようだった。
添い寝をしてほしい、という意味だ。それこそ、親が子供にしてやるように。
「……仕方がないね」
スープの器を脇に置いて、メーベルの温度を宿した布団の中へと、ヴェルトは身を滑り込ませた。
あたたかい、と、メーベルが小さく零す。
ヴェルトも、同じことを思っていた。温もりが、確かさを伴って傍らにある。
(しかし、添い寝か……もしうつったら、僕もこうなるのだろうか)
それは面白くないな、と思う。けれど、
(まあ、今日ぐらいはしてやろう)
ヴェルトがそう胸の内に呟くその隣で、メーベルは瞼を閉じた。
触れる温度が、くっきりとした気配が心地良い。
(……こういう時も、先生は俺を置いてどこかへ行ってしまうと思っていましたが)
そうはならなかった。店は休みになり、掴んだ手は握り返され、スープは温かく、美味しかった。
そして今、同じ布団の中に、メーベルはヴェルトの温度も纏っている。
(……存外大事にされている、という事でしょうか)
その考えは、メーベルにとろとろと優しい眠気を運んだ。
(俺は、先生と共に生きる事は出来ないから)
――どうか今だけでも、貴方の御傍に……。
願いを胸に抱いて、メーベルは、夢の世界へと深く深く潜っていった。
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あとがき
担当マスター:
巴めろ
ファンレターはマスターページから!
お世話になっております、ゲームマスターの巴めろです。
まずは、ご参加くださった皆様、本当にありがとうございました!
此度は、《誰かと一緒》な風邪に纏わる時間ばかりをお預かりすることとなりました。
素直な気持ちを伝えたり、伝えられたり。
気持ちと裏腹な言葉に困惑したり、翻弄されたり。
《誰かと一緒》だからこそ生まれた時間、それぞれの気持ちに寄り添えるようにと執筆に当たりましたので、
リアクションが、ご参加くださった皆様のお心に添えておりましたら幸いでございます。
重ねてになりますが、ご参加くださった皆様に心からの感謝を。
この度も、本当にありがとうございました!
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担当ゲームマスター
巴めろ
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年01月29日
参加申し込みの期限
2018年02月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年02月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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