ネコジマ　ゴーファイト！｜リアクション

ネコジマ　ゴーファイト！

■魚塚源三ＶＳ八神修
　寝子島高校の屋上。
　太陽は傾き、鮮やかなオレンジ色が校舎を照らす。
　集まる生徒たち……いや、生徒たちだけではない。
　賭けを愉しむ大人までもがバトルの噂を聞きつけ、屋上へと集っている。皆、緊張した面持ちで、一人の男子生徒を取り囲んでいた。　
　中心に佇むのは、柔道着姿の魚塚源三。
　対戦相手が来るのを今か今かと待ちわびるその姿は、誰も声をかけられない程に気合と殺気に満ちていた。
　源三が対戦相手として指定したのは――八神修。
　修の家は寝子島でも有名なヤクザ一家だった。
　先日、源三の知人がその一家の下っ端と争いになったこともあり、修が源三の対戦相手として指名された経緯がある。

「お待たせしたかな」
　軽やかな声が屋上に響き渡った。
　修の登場に、人垣はスッと道を開け。修が中心へと歩めば、源三と対峙した。
「組の者が迷惑をかけたようだね」
「俺には関係ねぇ。どうやら手打ちになったようだしな。……ただ」
　源三の険しい眼差しが修へと刺さる。
　言葉の先を促すように、修は目を細めた。
「俺は強いヤツと闘いたいだけだ、あんたの首を取ったら、更に強いヤツと闘えると思うと……燃えてくるぜ」
　好戦的な源三の眼差しに、修は肩を竦めた。
「そうか、仕方ないな。そこまで言われて受けないのは、男がすたる」
　穏やかな表情をキリリと引き締め、修は持っていた鞄を置き、上着を脱ぐ。
　すると、人ごみに紛れていた胴元が声を張り上げ、二人の闘いの賭け金を集うのだった。
（いつまでも、こんなことしてる場合じゃないのはわかっている）
　だが。
（挑まれたら勝たなきゃ仕方なくなるのは……あの親の血が流れているから、仕方ないのかもしれない）
　賭けに興じる人間達を冷静に見据えながら。修は身体を温めるためにその拳を宙へ向かって振るうのだった。

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