H･A･G･E～スキンヘッドの逆襲～｜リアクション

H･A･G･E～スキンヘッドの逆襲～

「H・A・G・E！」
「H・A・G・E！！」

　九夜山のスキンヘッド団本部、そこでは神々しいまでの禿頭を持った男を中心に、団員が皆こう叫んでいた。明はその中にろっこんを使って潜入した……が、日が暮れるにつれ、今までスイッチの切られていた照明がぽつりぽつりと点いていくと、それに団員のスキンヘッドが反射し、とても眩しい。明はそれに目が眩み、咥えていたリードを落としてしまった。

「H・A・……誰だ貴様！？」
「まずいっ」

　突如姿を現した侵入者の姿。団員の視線が明に集まる。絶体絶命の頭髪のピンチの中、明は叫んだ。

「父さーん！　ハゲを馬鹿にして悪かった！！」

　その言葉に、団員の動きが止まる。明は叫び続けた。

「髪が無くたって大事な家族だよ！　だから戻ってきてくれ！」

　明の言葉を聞いた団員は警戒を解き、散り散りになる。

「なんだあの髪、ピンクかよ」
「さすがにピンクはないわー」

　そう囁き合う者の中、明は見慣れたカッパ頭を探したが、その場にはいなかった――。

「ただいま」

　明が帰宅して居間に入ると、そこには見慣れた背中があった。

「父さん……なんだ、帰ってきてたのか……」

　彼の手には、いつもの漫画雑誌。明は安堵の笑みを浮かべながら、こう言った。

「……新聞……読めよ」

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