カプセルギア・アーケード　ベースガードマッチ！｜リアクション

カプセルギア・アーケード　ベースガードマッチ！

■きっと素敵な世界がある
　『携帯戦記カプセルギア・アーケード大会』の幕がかかった競技場を前に、カプセルギアを握りしめて立つ小学生たち。
　陽光に照り出されるプラスチックの光沢。
　それは例えばイチゴショートケーキのようなドレスを纏った少女型のロボット。
　それは例えばスクラップを組み合わせた骨組みむき出しのロボット。
　それは例えば陶磁器のような白さとクリスマスプレゼントのようなリボンの金髪を備えたロボット。
　それは例えば中国三国志の武将を模したような厳めしいロボット。
　それを握りしめた少年少女は、己の戦場をしかと目に焼き付けていた。
「オーホッホッㇹッ！　ついに来てしまいましたわ。来てしまいました、わね！」
　『プリンセスダンサー』のギアマスター城ヶ崎梨々子。手の甲を口元に当ててぐんと背筋を伸ばしてみせる。
「敵も味方も、楽しい戦いになるといいね！」
　『スクラップトレジャー九三式』のギアマスター鈴島クミも、にっこりと笑って横の少年を小突いた。
　『カオスダイバー』のギアマスター陸堂源次はほんのりとだけ笑って頷いた。
「うん……そうだね。クミはよく分かってる」
「楽しむこと、か。悪くないな。だがその上で私は『勝つ』ぞ！」
　『サンゴクナイト』のギアマスター煌白燕が拳法の構えできりりと目尻を引き締める。
　それに応じるように、皆も端末を翳して構えた。
「勿論勝つよ。全力だから、楽しいんだからね！」
「そうそう。油断してると中高生組が勝利をかっさらっちゃうよー」
　『ネージュリェーツ』のギアマスター白真白がにやりと笑って横に並ぶ。
「ギアマスターに年齢も性別も関係ない」
「カプセルギアとの信頼と情熱が勝負を決めるのです！」
　『星壱號＆星弐號』のギアマスター椿美咲紀＆八神修。
　修は眼鏡を中指で押し上げ、美咲紀はビッと指を立てて見せる。
　年齢も性別も離れた彼らが今、カプセルギアというひとつの存在によってひとつになっていた。
　ひとつになって、花火のように強く激しく輝こうとしていた。

「ふふん、ゲーム大会と聞いて私が現われないワケがない！　よね」
　ガードレールに寄りかかって携帯ゲームをしていた――『ナイトヘッド・ブルース』のギアマスター仙藤蒼がゲーム機を下ろした。
　代わりにカプセルギア端末を取り出し、くるりと手の中で回す。
「それに今回は、初見っぽく見えて手強そうなのもいるみたいだし……」
　ちらりと視線をやると、『悟空』のギアマスター新田樹が腕組みをして会場を見つめている。
　目には情熱。手にはカプセルギア。彼女のまっすぐな目は、勝利に向かって突き進む一本の矢のようだった。
　そしてまた別の方向を見れば、薄めのサングラスをしたスピカ・フォーツがチャッとサングラスを外していた。
　蒼のゲーム機には『YOU LOSE』の文字が表示され、相手プレイヤーの名前は……エクリプス。

　視点を変えて、スピカ主観。
　スピカの手の中には携帯ゲーム。Ａ０１というプレイヤーネームを相手に、『YOU WIN』の文字が表示されている。
　自らのプレイヤーネームは、エクリプス。
　スピカはガラス細工のように美しい目を、会場へと向けていた。
「試させてもらう……まだ、構想段階だけど……」
　携帯ゲームの電源をきり会場へと歩き出す。
　勝利と敗北。そしてなによりも輝かしい情熱のあふれる、カプセルギアの戦場へ。
　そこには。
　きっと。

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