夜食の誘惑｜リアクション

夜食の誘惑

ある日のこと。
プニ・ポヨは保護者と一緒に珍しく町に泊まっていた。
眠りについてしばらく経った頃、プニはお腹が空いて目が覚めてしまった。
しかしまだ夜中だし、寝ている保護者を起こしたくはない。

「……！（はっとする仕草）」

そんなプニの頭の中に、あるお店の存在が浮かんだ。
そこへ向かおうとお小遣いを持って１人でこっそりと町へ出た。

　＊　＊　＊

「お客さんの波が落ち着いたようですね」

リリエル・エーテライトは『Barアストラル』で働いていた。
ピークの時間帯が過ぎ、客の流れも穏やかになった。

「夕ご飯を食べる余裕もありませんでしたし、今のうちに賄いを作って食べましょう！」

そう思ってバックヤードに入ろうとしたところで、ふと視線を感じた。
そちらを向くとプニが何かを伝えようとしているのが見えた。

「あ、プニくんいらっしゃいです！」
「～～！（ご飯の絵とお腹を押さえる動き）」
「ふむふむ……このジェスチャーはお腹が空いてるっていう事ですね！」
「！！（その通りだと頷く）」
「ちょうど私も賄いを作って食べるところだったので一緒に食べましょう♪」
「～～♪（喜びを伝える為に、ぽよぽよ飛び跳ねる）」
「さて、何を作りましょうか。プニくんは食べれない物とかありますか？」
「～～！（首を横に振る）」
「……大丈夫そうですね！」

リリエルは何を作ろうかと思案する。
調理時間が短く済んで、お手軽に作れそうなもの……。
すると、リリエルのなかである料理がひらめいた。

「それじゃあこの前地上で覚えたメニューを作ってみます！」

そういうと、厨房のほうへ移動する。
プニは促された席に腰掛けて、わくわくしながらリリエルが戻るのを待つ。

　＊　＊　＊

「えっと、材料はお米とタマゴとネギと塩にソイソースでしたね」

必要な材料を１つずつ確認しながら、調理台の上に並べていく。
フライパンに油をひいて十分に熱してから溶いたタマゴを投入。

「これをこうして……」

そこへ炊いたお米を入れ、鍋を振りながら適度にほぐす。
続けて刻んだネギを混ぜて、全体に散るように炒める。
最後に塩を振りかけ、ソイソースをさっとかけて完成。
それを２つの器に盛り付け、トレイにスプーンと一緒に乗せてプニのもとへ持っていく。

「お待たせしました！　チャーハンっていうお料理です！　それじゃプニくん、一緒にいただきましょう♪」

リリエルは器とスプーンをプニの前に置く。
プニは手を合わせてお辞儀をすると、チャーハンを口に運ぶ。

「おいしいですか？」
「――！　――♪（こくこく頷いたり、モグモグ美味しそうに食べたりで、嬉しそう）」
「喜んでもらえて嬉しいです！」

２人は他愛ないやりとりをしながらチャーハンを食べ進める。
楽しい会話も手伝って、いつのまにか器は空になっていた。

「ごちそうさまでした！」
「――！（手を合わせてお辞儀をする）」
「またお腹が空いたら食べに来てくださいね！　腕によりをかけて作りますよ♪」
「～～！！（とても嬉しそうに跳ねる）」

食べ終わって、一息つきたくなる感覚がやってくる。
しかしプニははっと気付く。保護者を心配させない為にも早く帰らなければと。
リリエルにお辞儀をすると、お代を渡して帰ろうとする。
しかしリリエルは先ほどの料理はあくまで賄いなので、お代は受け取れないという。

それを聞いてプニはそわそわと少し迷う素振りを見せた。
そして何か思いついたように、ポケットから木の実を取り出すとリリエルに渡す。
メモ帳と身振り手振りで、料理が美味しくて嬉しかったことを精一杯伝えようとする。
その意を理解すると、リリエルは嬉しそうに木の実を受け取った。

プニを見送った後、リリエルは再び仕事に戻る。
嬉しそうな表情を浮かべて。

「それじゃあ、またお仕事がんばリリエルです！」

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