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- 00月00日生 00歳
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【星幽塔】第二階層 廃墟に哭く声
（今回の敵は……死者。アンデッド……）
屋根から屋根へと跳躍しつつ、恵御納 夏朝は考える。
どのような都市が当時栄えていたのか、屋根部も丸屋根、尖塔、玉葱型など入り乱れて、統一性がない。
足場とするには難しいものもある。気を付けないと。
慣れ親しんだ盗賊姿に手甲を忘れず、機動力と防御力を維持し、戦いに備えた。
同じく屋根ルートを選んだ皆の様子を確認しつつ、時計塔へと歩を進める。
（第二階層でほろんだ存在が転じた？）
依頼を耳にしたときから、夏朝に閃くものがあった。
かつてお使いを頼まれた折、夕暮れの海に見た、巨大な都市の遺構。
それを見つめる、階層の守護者の瞳。
（水路橋が壊れたら、アヴィケンナ、悲しむかも――）
少年のアステリズムは、今回の探索でも、とくに古代都市の保全には興味のないようだった。
だが、あの年頃の子供が、意気がって心中と裏腹なことを口にするのはよくあることだ。
おせっかい焼きでも、なるべく良いようにしてあげたい。
（もし死者が第二階層の住人だったなら――なるべく成仏してもらいたい）
甘いのかも知れないが、なるべく穏当に解決できるものは、穏当に……。
様々な予断を振り払うように跳躍し、傍らを見ると、黒装束に身を包んだ少年の姿が目に入った。
（自分が曲者かどうかはわからないけど――面白そうな仕事だね）
軽やかに進んでいくのは、サキリ・デイジーカッター。
手にした蛇腹剣の武骨ななりは、サキリの痩身には似合わない。
剣にも鞭にも変じ、星の力の応用により千変万化の力をもつ刀は、並の技量では扱えないものだ。
今回の戦いでその難しい獲物を選んだのは、当然戦略あってのこと。
まずはスムーズに進むこと。
ろっこんを発動し、音もなく瞬間移動を繰り返す。時に優美に、時に強引に、サキリは進む。
その傍らには、壬生 由貴奈、アリス・ミーティア、新田 亮が続く。
油断なく周囲を見回し、由貴奈は宙を見据えると、ほぼ垂直に跳ね上がる。
その姿が一瞬虚空に消え、常人ではありえない高度に彼女の姿はある。
月を背に、長い髪を優美に靡かせる。
一際高い尖塔の先に、彼女の影は音もなく降り立つ。
目を眇めて、彼方に見えるのは水路橋。
「うん、綺麗な水路橋だねぇ……。洪水さえなければ、最高なんだけど」
かつて決戦の舞台となった水路橋。ほぼ全体が水没している第二階層において、原形をとどめて、なお機構を働かせている貴重な遺跡だ。
今回のターゲット、泣き女――バンシー。泣くことで洪水を引き起こし、水路橋を水底に沈めようとしている。
由貴奈はさらに首を巡らし、一際高い塔の頂点を見据える。
――あれかなぁ。
ぼんやりとクッキーを取り出し、一齧りする。
彼女謹製の特殊なクッキー、アストラル・クッキー。
星の力のこもった原料を配合した特殊なクッキーを齧ることで、身体能力を何倍にも高めることができる。
此方のルートは敵の襲撃が予想される。
可能な限り有利なポジションを維持し続ける。
再び矢のように由貴奈は自らを射出。
夜の闇に、矩形が描かれた。
「どんどんいっくよ～」
まるで踊るように、ふわふわと移動するミーティア。
暗い夜でも彼女の明朗さは変わらない。
まるで何かを楽しむように歩を進める。
対照的なのは亮だ。
まるで映画に登場する考古学者さながら、十全な準備に身を包んだ彼。
それでも生暖かい風を頬に感じ、胴震いが起こるのを止められない。
（幽霊か……得意じゃないな）
生理的な嫌悪感を振り払い、亮は進む。
「大丈夫だよ、お兄さん～」
ミーティアの笑顔に、亮は精一杯の笑顔を返し、強がる。
Ｂａｒアストラルの看板娘の一人、ミーティア。
冒険者求むの掲示を目にして、そのままふわふわと参加してしまったという。
悲壮なくらいの決意を背負った亮と、お気楽で幸せなミーティア。
奇妙な取り合わせである。
――そんな彼らの眼前で、急に白く濁った靄が湧いた。
いや、靄ではない。
それは色濃く濁って、ぽかりと口を開けた。
眼窩がくりぬかれ、虚空の口腔が笑う。
苦悶する人々の顔が、まるで亮とミーティアを笑うようにひらめく。
幽霊は、それを恐れる者をターゲットにするという。
亮、幽霊と初エンカウントを果たすことになった。
まるで気泡のように、周囲に無数に現れる人魂。
それらが顔を形どって、不気味な声を上げる。
周囲のあちこちで、同じような声が上がる。
「始まったみたいだね？」
どうしてもすくみ上るのを抑えきれない亮の傍らで、ミーティアが悪戯っぽく笑う。
「それじゃ、始めようか。ショータイム！」
屋根から屋根へと跳躍しつつ、恵御納 夏朝は考える。
どのような都市が当時栄えていたのか、屋根部も丸屋根、尖塔、玉葱型など入り乱れて、統一性がない。
足場とするには難しいものもある。気を付けないと。
慣れ親しんだ盗賊姿に手甲を忘れず、機動力と防御力を維持し、戦いに備えた。
同じく屋根ルートを選んだ皆の様子を確認しつつ、時計塔へと歩を進める。
（第二階層でほろんだ存在が転じた？）
依頼を耳にしたときから、夏朝に閃くものがあった。
かつてお使いを頼まれた折、夕暮れの海に見た、巨大な都市の遺構。
それを見つめる、階層の守護者の瞳。
（水路橋が壊れたら、アヴィケンナ、悲しむかも――）
少年のアステリズムは、今回の探索でも、とくに古代都市の保全には興味のないようだった。
だが、あの年頃の子供が、意気がって心中と裏腹なことを口にするのはよくあることだ。
おせっかい焼きでも、なるべく良いようにしてあげたい。
（もし死者が第二階層の住人だったなら――なるべく成仏してもらいたい）
甘いのかも知れないが、なるべく穏当に解決できるものは、穏当に……。
様々な予断を振り払うように跳躍し、傍らを見ると、黒装束に身を包んだ少年の姿が目に入った。
（自分が曲者かどうかはわからないけど――面白そうな仕事だね）
軽やかに進んでいくのは、サキリ・デイジーカッター。
手にした蛇腹剣の武骨ななりは、サキリの痩身には似合わない。
剣にも鞭にも変じ、星の力の応用により千変万化の力をもつ刀は、並の技量では扱えないものだ。
今回の戦いでその難しい獲物を選んだのは、当然戦略あってのこと。
まずはスムーズに進むこと。
ろっこんを発動し、音もなく瞬間移動を繰り返す。時に優美に、時に強引に、サキリは進む。
その傍らには、壬生 由貴奈、アリス・ミーティア、新田 亮が続く。
油断なく周囲を見回し、由貴奈は宙を見据えると、ほぼ垂直に跳ね上がる。
その姿が一瞬虚空に消え、常人ではありえない高度に彼女の姿はある。
月を背に、長い髪を優美に靡かせる。
一際高い尖塔の先に、彼女の影は音もなく降り立つ。
目を眇めて、彼方に見えるのは水路橋。
「うん、綺麗な水路橋だねぇ……。洪水さえなければ、最高なんだけど」
かつて決戦の舞台となった水路橋。ほぼ全体が水没している第二階層において、原形をとどめて、なお機構を働かせている貴重な遺跡だ。
今回のターゲット、泣き女――バンシー。泣くことで洪水を引き起こし、水路橋を水底に沈めようとしている。
由貴奈はさらに首を巡らし、一際高い塔の頂点を見据える。
――あれかなぁ。
ぼんやりとクッキーを取り出し、一齧りする。
彼女謹製の特殊なクッキー、アストラル・クッキー。
星の力のこもった原料を配合した特殊なクッキーを齧ることで、身体能力を何倍にも高めることができる。
此方のルートは敵の襲撃が予想される。
可能な限り有利なポジションを維持し続ける。
再び矢のように由貴奈は自らを射出。
夜の闇に、矩形が描かれた。
「どんどんいっくよ～」
まるで踊るように、ふわふわと移動するミーティア。
暗い夜でも彼女の明朗さは変わらない。
まるで何かを楽しむように歩を進める。
対照的なのは亮だ。
まるで映画に登場する考古学者さながら、十全な準備に身を包んだ彼。
それでも生暖かい風を頬に感じ、胴震いが起こるのを止められない。
（幽霊か……得意じゃないな）
生理的な嫌悪感を振り払い、亮は進む。
「大丈夫だよ、お兄さん～」
ミーティアの笑顔に、亮は精一杯の笑顔を返し、強がる。
Ｂａｒアストラルの看板娘の一人、ミーティア。
冒険者求むの掲示を目にして、そのままふわふわと参加してしまったという。
悲壮なくらいの決意を背負った亮と、お気楽で幸せなミーティア。
奇妙な取り合わせである。
――そんな彼らの眼前で、急に白く濁った靄が湧いた。
いや、靄ではない。
それは色濃く濁って、ぽかりと口を開けた。
眼窩がくりぬかれ、虚空の口腔が笑う。
苦悶する人々の顔が、まるで亮とミーティアを笑うようにひらめく。
幽霊は、それを恐れる者をターゲットにするという。
亮、幽霊と初エンカウントを果たすことになった。
まるで気泡のように、周囲に無数に現れる人魂。
それらが顔を形どって、不気味な声を上げる。
周囲のあちこちで、同じような声が上がる。
「始まったみたいだね？」
どうしてもすくみ上るのを抑えきれない亮の傍らで、ミーティアが悪戯っぽく笑う。
「それじゃ、始めようか。ショータイム！」
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2017年10月14日
- 参加申し込みの期限
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- 2017年10月21日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2017年10月21日 11時00分
