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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
装飾譚：アクセサリー「Anne + Mary」
新しいピアスを探しにやってきた獅子目 悠月は高い位置で結ばれた髪が特徴的な美少年だ。女性と見まごう容姿のせいで二度見する者が後を絶たない。
（海モチーフか）
新作コーナーに並べられていた青いピアスを手に取る。よく知る人の瞳の色に似たそれ。手に取ると白い貝殻が浮かべられている。
青なんて珍しい色じゃない。
けれども、花より空より鮮やかな景色を見てからは……特別で掛け替えのない色だった。手元に置きたい気持ちと悟られたくない気持ちがせめぎあい、ためいきと一緒に元の場所にピアスを戻す。
（からかわれたら殴り飛ばしてしまうかもな……。服の下に隠せるやつにしよう）
海賊船をモチーフにした店内は青色であふれている。
青なんて珍しい色じゃない。
でも、彼に似た色は特別な色。探さなくても色の方から目に飛び込んでくる。
「……なんだこれ。ガラスペン？」
先のとがったガラスのモチーフ。
見たことのないデザインだ。ペン先？を下にして持とうとすると優しく肩に手を置かれる。振り向くとゆるく髪を編んだ少年・恩が「あら」と言いながら置いた手をどけ、口元に手を添えて微笑んだ。
「いきなりごめんなさい。つい。
それ、エジプトの香水瓶よ。とがった方を下にしたら蓋が落ちちゃうかも」
「ああ、そうなのか……。礼を言うよ」
わずかに頭を下げる。
人差し指と親指でねじると確かに蓋が回った。
「へえ。こんなに小さいのにちゃんと中身が入るのか。これ、よくあるタイプのやつなのか？」
「最近流行りだしたやつね。ネックレスになるものは初めて見たわ」
「そうなのか……なあ、あっちにいる赤いの。連れじゃないか？ こちらを見ている」
「あら！ ありがとう」
三つ編みの少年はにこりと微笑み、買うか悩んでいたらしい海モチーフのついたバッグチャームを元の場所に戻す。優雅に三つ編みを揺らして赤毛の少女の元へ向かった。
残された悠月は深い青の香水瓶をてのひらに乗せる。くすんだ金色で優美な曲線が描かれている。
（中身が空でも問題ないよな）
鎖の長さを確認して購入を決める。
（……別にカモフラって訳じゃないが）
碇モチーフのスタッドピアスも欲しくなる。何色にしようか耳にあてながら考えた。
「ごめんなさいね。セレッソちゃん。お待たせしちゃったかしら」
目線を合わせるように腰をかがめてほほ笑む。恩が心を寄せている小柄な女の子は「素敵なアクセサリーが選べたノ！」とくったくなく微笑んだ。
「センパイは決まったノ？」
「ええ。気に入ってくれるといいのだけど」
「楽しみ！ せーので見せまショ！」
「いいわ。せーの……」
まるでじゃんけんのようだと考えつつ、恩はトレイに乗せたネックレスを差し出す。温かみのあるピンクゴールドの花びらが可愛らしいシンプルなネックレス。
「かわいいノ……！ 綺麗な石が付いてるワ！」
セレッソの大きな瞳が宝石のように輝く。
「セレッソちゃんが選んでくれたブレスレットも素敵ね。ありがとう」
恩はセレッソの小さな手から白と青のビーズチャームが使われたブレスレットを受け取る。金色のヒトデや貝の飾りが夏らしい。
「えへへー。これを着けた恩センパイと一緒に歩いたら、夏がとっても楽しみになったノ！」
（ヒトデのモチーフ……。さっき気になったバッグのチャームと同じモチーフだわ）
心を読み取られたかのようでくすぐったい。
おそらく、恩はセレッソが選んだ物なら何でも喜んだだろう。が、自分のことをわかってくれている気がして言葉にできない感情がこみあげてきた。
「私もこれを着けてセレッソちゃんとおでかけしたいわ」
白い歯を見せて笑う。
いつもと同じように綺麗で優しいが、それだけではない笑顔にセレッソの心臓が跳ねた。繋ぐ手の温かさを思い出す。
（ワタシの「好き」は、恩センパイの「好き」と並べているのカシラ……）
動揺を笑顔で隠しながらセレッソは考える。
会計を済ませて店を出る。身長差があるにも関わらず、セレッソはいつもと同じ速さで恩の隣を歩いている。
（ワタシ、お返事をしてないワ！ あの時は混乱してて……でも、今日はとっても楽しかったワ！）
大きな風が吹いてセレッソのワンピースのすそが膨らむ。セレッソは先ほど買ったネックレスを取り出した。
「恩センパイ！ これ、どうかし……アラ？」
「私が着けてあげるわ。後ろを向いてね」
セレッソの細い首に恩の指がぶつかる。ショーウィンドウの姿に自分たちの姿を見つけ鼓動が更に忙しくなる。
花びらを飾る石が誇らしげに陽の光を跳ね返した。
「センパイ！ ワタシ、このネックレスとっても好きヨ！」
（海モチーフか）
新作コーナーに並べられていた青いピアスを手に取る。よく知る人の瞳の色に似たそれ。手に取ると白い貝殻が浮かべられている。
青なんて珍しい色じゃない。
けれども、花より空より鮮やかな景色を見てからは……特別で掛け替えのない色だった。手元に置きたい気持ちと悟られたくない気持ちがせめぎあい、ためいきと一緒に元の場所にピアスを戻す。
（からかわれたら殴り飛ばしてしまうかもな……。服の下に隠せるやつにしよう）
海賊船をモチーフにした店内は青色であふれている。
青なんて珍しい色じゃない。
でも、彼に似た色は特別な色。探さなくても色の方から目に飛び込んでくる。
「……なんだこれ。ガラスペン？」
先のとがったガラスのモチーフ。
見たことのないデザインだ。ペン先？を下にして持とうとすると優しく肩に手を置かれる。振り向くとゆるく髪を編んだ少年・恩が「あら」と言いながら置いた手をどけ、口元に手を添えて微笑んだ。
「いきなりごめんなさい。つい。
それ、エジプトの香水瓶よ。とがった方を下にしたら蓋が落ちちゃうかも」
「ああ、そうなのか……。礼を言うよ」
わずかに頭を下げる。
人差し指と親指でねじると確かに蓋が回った。
「へえ。こんなに小さいのにちゃんと中身が入るのか。これ、よくあるタイプのやつなのか？」
「最近流行りだしたやつね。ネックレスになるものは初めて見たわ」
「そうなのか……なあ、あっちにいる赤いの。連れじゃないか？ こちらを見ている」
「あら！ ありがとう」
三つ編みの少年はにこりと微笑み、買うか悩んでいたらしい海モチーフのついたバッグチャームを元の場所に戻す。優雅に三つ編みを揺らして赤毛の少女の元へ向かった。
残された悠月は深い青の香水瓶をてのひらに乗せる。くすんだ金色で優美な曲線が描かれている。
（中身が空でも問題ないよな）
鎖の長さを確認して購入を決める。
（……別にカモフラって訳じゃないが）
碇モチーフのスタッドピアスも欲しくなる。何色にしようか耳にあてながら考えた。
「ごめんなさいね。セレッソちゃん。お待たせしちゃったかしら」
目線を合わせるように腰をかがめてほほ笑む。恩が心を寄せている小柄な女の子は「素敵なアクセサリーが選べたノ！」とくったくなく微笑んだ。
「センパイは決まったノ？」
「ええ。気に入ってくれるといいのだけど」
「楽しみ！ せーので見せまショ！」
「いいわ。せーの……」
まるでじゃんけんのようだと考えつつ、恩はトレイに乗せたネックレスを差し出す。温かみのあるピンクゴールドの花びらが可愛らしいシンプルなネックレス。
「かわいいノ……！ 綺麗な石が付いてるワ！」
セレッソの大きな瞳が宝石のように輝く。
「セレッソちゃんが選んでくれたブレスレットも素敵ね。ありがとう」
恩はセレッソの小さな手から白と青のビーズチャームが使われたブレスレットを受け取る。金色のヒトデや貝の飾りが夏らしい。
「えへへー。これを着けた恩センパイと一緒に歩いたら、夏がとっても楽しみになったノ！」
（ヒトデのモチーフ……。さっき気になったバッグのチャームと同じモチーフだわ）
心を読み取られたかのようでくすぐったい。
おそらく、恩はセレッソが選んだ物なら何でも喜んだだろう。が、自分のことをわかってくれている気がして言葉にできない感情がこみあげてきた。
「私もこれを着けてセレッソちゃんとおでかけしたいわ」
白い歯を見せて笑う。
いつもと同じように綺麗で優しいが、それだけではない笑顔にセレッソの心臓が跳ねた。繋ぐ手の温かさを思い出す。
（ワタシの「好き」は、恩センパイの「好き」と並べているのカシラ……）
動揺を笑顔で隠しながらセレッソは考える。
会計を済ませて店を出る。身長差があるにも関わらず、セレッソはいつもと同じ速さで恩の隣を歩いている。
（ワタシ、お返事をしてないワ！ あの時は混乱してて……でも、今日はとっても楽しかったワ！）
大きな風が吹いてセレッソのワンピースのすそが膨らむ。セレッソは先ほど買ったネックレスを取り出した。
「恩センパイ！ これ、どうかし……アラ？」
「私が着けてあげるわ。後ろを向いてね」
セレッソの細い首に恩の指がぶつかる。ショーウィンドウの姿に自分たちの姿を見つけ鼓動が更に忙しくなる。
花びらを飾る石が誇らしげに陽の光を跳ね返した。
「センパイ！ ワタシ、このネックレスとっても好きヨ！」
あとがき
担当マスター：
相馬 円
ファンレターはマスターページから！
お世話になっております。相馬です。
装飾譚シリーズ、ご参加いただきありがとうございました！
装飾譚シリーズでは服などのデザインをお任せしていただくことも多く、
みなさんに何が似合うのか考えるのがとても楽しかったです。
「服屋のネタを何度もやるのは手抜きっぽくないか？」と思わなくもなかったのですが、
毎回、お店の雰囲気によって遊びに来てくれる方が全然違って嬉しかったです。
今回が私の書かせていただく最後のシナリオになります。
長い間、本当にお世話になりました！
装飾譚シリーズ、ご参加いただきありがとうございました！
装飾譚シリーズでは服などのデザインをお任せしていただくことも多く、
みなさんに何が似合うのか考えるのがとても楽しかったです。
「服屋のネタを何度もやるのは手抜きっぽくないか？」と思わなくもなかったのですが、
毎回、お店の雰囲気によって遊びに来てくれる方が全然違って嬉しかったです。
今回が私の書かせていただく最後のシナリオになります。
長い間、本当にお世話になりました！
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2018年01月25日
- 参加申し込みの期限
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- 2018年02月01日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2018年02月01日 11時00分
