【身体測定】ドキドキ♂♀反転戦線、再び！｜リアクション

【身体測定】ドキドキ♂♀反転戦線、再び！

　保健委員長の添木牡丹は、はじまり同様、保健委員たちを集めて挨拶を行っていた。
「保健委員の皆さん、お疲れ様でした。今年もいろいろありましたが……」
　と、ここで、ちょっと含みを持たせ、委員たちからも苦笑が漏れたが、
「……なんとか無事に終わりましたね」
　と締めることが出来たのは何よりだろう。
「来年も頑張りましょう」
「「「はいっ」」」
　牡丹の隣に立つ鷲尾先生も、にこにこと皆を見回す。
「みんな、手伝ってくれてありがとう。とっても助かったわ。ところで、委員のみんなは測ったかしら？　もし忘れていたら測ってあげるから言ってね。それじゃ、解散」
「「「お疲れ様でした！」」」
　声を揃えて一礼し、保健委員がそれぞれ教室に戻っていく中、御巫時子は鷲尾先生に声を掛ける。
「先生……私、まだ測っていなかったので、お願いします……」
　鷲尾先生は慣れた手つきで身長や体重、胸囲などを測定してゆく。
　どこか成長してるだろうかと思ったが、結果は去年とほとんど同じ。食べ物がおいしい思春期の女子としては、体重維持できていることは良きことだが、身長についてはちょっぴり不満もある。
（尚輝先生に少しでも近づけるように身長は成長してて欲しかったのですが……）
　そういえば、先生方は健康診断をするのだろうか。
　鷲尾先生に尋ねると、先生も健康診断はある、という答えだった。
「先生は激務だしストレスも多い仕事。健康診断は大事よねー。でも、中にはさぼる先生もいて呼び出すこともあるのよ？　まったく、先生なのにね」

　この話を聞いてから、時子は想いを寄せる化学教師のことが心配になった。
　あの人はちゃんと健康に気を遣っているだろうか。
　理科室に寄ってみると、先生はいつものようにビーカーで珈琲を飲んでいた。
「……尚輝先生」
「ああ、御巫さんですか。どうしました？」
「先生は健康診断、ちゃんと受けていますか？」
　尋ねると、自分のことにあまり興味がなさそうなぼさぼさ髪のこの先生は、
「そういえば……呼び出し状みたいなのが来ていましたね」
　などとのたまう。
「ちゃんと受けてください。健康は大事です。病気は早期発見が大切ですよ……！」
　こうして尚輝先生は時子にひとしきり健康診断の大切さを説かれることになったのだった。

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