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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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百花繚乱の九夜山
渡したいものがあるのでと、少し年の離れた彼女を九夜山のフラワーイベントに誘ったのは日月 透だ。
本来であれば桜の季節に行きたかったのだが、日々を忙しく過ごす動物病院の若院長である彼が予防接種やら学会やらに追われている内に桜は散ってしまったのだ。
そんな透に誘われた恋人が寝子高に通う高校二年生の望月 神無。
花見に誘われた彼女は折角なので、義理の兄に頼んで弁当作りを手伝って貰っていた。
「綺麗っすね」
既に桜は散ってしまっているが、だからと言って見応えがないかと言うとそれは違う。何せそれを理解していて、それでも敢えての花のイベントだ。
普段はない幾つもある大きな花壇にはチューリップやアイスランドポピー等、様々な春の花が植えられていた。
恐らく専門の業者が整えたのであろうその花壇は十分に見応えがあり、綺麗だった。
そっけないように聞こえる神無のその言葉にも、本当に綺麗だと思っている心が感じられて透は口元のつい笑みを浮かべた。
年の差故に人目がある場所では手を繋ぐことも気が引ける二人だが、こうして穏やかな時間に言葉を交わしているだけで幸せを感じる事が出来る。それだけで今は十分と透は思っていた。
問題は、それが表情に出ないから伝わっているのかが解らないという事だったが。
お昼になったので、透と神無は芝生に移動してお昼ご飯を食べる事にしたようだ。
「兄貴が弁当作ってくれたんですよ、食べませんか？」
そう言って神無はお弁当を広げる。確かに義兄の監修は入っているが、ちゃんと神無の手作りではある。しかし、それを伝えるのはどこか気恥ずかしさを感じたようだ。
透がおにぎりを口に運ぶのを見て、神無は自分も食べる。義兄に監修をして貰っただけあって、ちゃんと満足いく仕上がりになっていたのか、一つ頷いていた。
「神無さんのお弁当美味しいですね」
だからこそ、その透の言葉は不意打ちだった。
思わず食べていた物がのどに詰まる。
「ごっほ、ごっほっ！！ な、何言ってんっすか。俺が作ったなんて一言もいってないっすよ」
気恥ずかしらから誤魔化したというのに、それを一瞬で無いものとする一撃必殺の言葉。
お茶を飲んで、慌ててそう透に返す。あまりに慌てすぎてあまりにも解り易過ぎる反応をしているのだが、当の本人はそこまで気が回っていない。
心の中で何で見抜いてんだよこの人、俺の恋人はエスパーだった？ と本気で自分の恋人の事を疑っている始末。
しかし、透はそこを指摘する事はせずに、違う言葉を口にした。
「また神無さんの作ったものが食べたいです」
「っ！」
「というか、何度でも食べたいです」
思わず神無は片腕で自らの顔を覆うようにして隠す。自分の顔が赤くなっているのが理解できたからだ。
神無が顔を赤くしてしまうのはその言葉が本気だと理解できるからだ。元よりこの手の事で冗談を言う人ではないと知っている。
ずるい人だと思う。また食べたいなんて言われたら、当然恋人である神無としては頑張るしかないではないか。これでは自分が作ったのではないと隠した意味はあまりないような気がすると神無は思う。
帰ったら真剣に料理を教えて貰うかと密かに心の中で決意した。
屋台で様々な物を買って、食べて。花を見て。
デートを二人なりに楽しんだその帰り道。
「進級おめでとうございます。お祝いです」
そう言って透が渡したのは進級プレゼントの細長い箱に入った腕時計。
「貰って良いんですか？ たかが進級っすよ？」
神無のその表情はたかが進級でプレゼントを貰えるとは思っていなかった事が伺える。
でも、やはり恋人からのプレゼントは嬉しくもあって。
「はい。是非受け取って頂ければ」
「……解りました。ありがとう、ございます」
プレゼントを渡した透が意味ありげに微笑んでいるような気がしたが、それがどういう事なのか神無には解らなかった。
何となく、後で気付いてくれれば嬉しい、なんて言外に示されてるような、そんな気がしてならない。
だけど、幾ら考えても神無にはその意味が解らなかった。
透と別れて、家に帰って。姉にプレゼントの事を指摘されたので、素直に透に腕時計をプレゼントされたと答えたらその意味が解ったのだが。
姉が微笑みながら男性から女性に腕時計を贈るのは同じ時を歩んでくださいって意味よ、と教えくれたのだ。
本日二度目の顔が熱くなるのが解った。熱くならないわけがない。
お陰で姉に少しからかわれてしまう神無であった。
あぁ、もう！ このやりようのない気持ちはどうすれば良いだろうか！
「ほんと、あの人はずるい人だっ」
その言葉は果たして透に届いたかどうか。
もしかしたら、その同時刻にくしゃみをしていたかもしれない。
本来であれば桜の季節に行きたかったのだが、日々を忙しく過ごす動物病院の若院長である彼が予防接種やら学会やらに追われている内に桜は散ってしまったのだ。
そんな透に誘われた恋人が寝子高に通う高校二年生の望月 神無。
花見に誘われた彼女は折角なので、義理の兄に頼んで弁当作りを手伝って貰っていた。
「綺麗っすね」
既に桜は散ってしまっているが、だからと言って見応えがないかと言うとそれは違う。何せそれを理解していて、それでも敢えての花のイベントだ。
普段はない幾つもある大きな花壇にはチューリップやアイスランドポピー等、様々な春の花が植えられていた。
恐らく専門の業者が整えたのであろうその花壇は十分に見応えがあり、綺麗だった。
そっけないように聞こえる神無のその言葉にも、本当に綺麗だと思っている心が感じられて透は口元のつい笑みを浮かべた。
年の差故に人目がある場所では手を繋ぐことも気が引ける二人だが、こうして穏やかな時間に言葉を交わしているだけで幸せを感じる事が出来る。それだけで今は十分と透は思っていた。
問題は、それが表情に出ないから伝わっているのかが解らないという事だったが。
お昼になったので、透と神無は芝生に移動してお昼ご飯を食べる事にしたようだ。
「兄貴が弁当作ってくれたんですよ、食べませんか？」
そう言って神無はお弁当を広げる。確かに義兄の監修は入っているが、ちゃんと神無の手作りではある。しかし、それを伝えるのはどこか気恥ずかしさを感じたようだ。
透がおにぎりを口に運ぶのを見て、神無は自分も食べる。義兄に監修をして貰っただけあって、ちゃんと満足いく仕上がりになっていたのか、一つ頷いていた。
「神無さんのお弁当美味しいですね」
だからこそ、その透の言葉は不意打ちだった。
思わず食べていた物がのどに詰まる。
「ごっほ、ごっほっ！！ な、何言ってんっすか。俺が作ったなんて一言もいってないっすよ」
気恥ずかしらから誤魔化したというのに、それを一瞬で無いものとする一撃必殺の言葉。
お茶を飲んで、慌ててそう透に返す。あまりに慌てすぎてあまりにも解り易過ぎる反応をしているのだが、当の本人はそこまで気が回っていない。
心の中で何で見抜いてんだよこの人、俺の恋人はエスパーだった？ と本気で自分の恋人の事を疑っている始末。
しかし、透はそこを指摘する事はせずに、違う言葉を口にした。
「また神無さんの作ったものが食べたいです」
「っ！」
「というか、何度でも食べたいです」
思わず神無は片腕で自らの顔を覆うようにして隠す。自分の顔が赤くなっているのが理解できたからだ。
神無が顔を赤くしてしまうのはその言葉が本気だと理解できるからだ。元よりこの手の事で冗談を言う人ではないと知っている。
ずるい人だと思う。また食べたいなんて言われたら、当然恋人である神無としては頑張るしかないではないか。これでは自分が作ったのではないと隠した意味はあまりないような気がすると神無は思う。
帰ったら真剣に料理を教えて貰うかと密かに心の中で決意した。
屋台で様々な物を買って、食べて。花を見て。
デートを二人なりに楽しんだその帰り道。
「進級おめでとうございます。お祝いです」
そう言って透が渡したのは進級プレゼントの細長い箱に入った腕時計。
「貰って良いんですか？ たかが進級っすよ？」
神無のその表情はたかが進級でプレゼントを貰えるとは思っていなかった事が伺える。
でも、やはり恋人からのプレゼントは嬉しくもあって。
「はい。是非受け取って頂ければ」
「……解りました。ありがとう、ございます」
プレゼントを渡した透が意味ありげに微笑んでいるような気がしたが、それがどういう事なのか神無には解らなかった。
何となく、後で気付いてくれれば嬉しい、なんて言外に示されてるような、そんな気がしてならない。
だけど、幾ら考えても神無にはその意味が解らなかった。
透と別れて、家に帰って。姉にプレゼントの事を指摘されたので、素直に透に腕時計をプレゼントされたと答えたらその意味が解ったのだが。
姉が微笑みながら男性から女性に腕時計を贈るのは同じ時を歩んでくださいって意味よ、と教えくれたのだ。
本日二度目の顔が熱くなるのが解った。熱くならないわけがない。
お陰で姉に少しからかわれてしまう神無であった。
あぁ、もう！ このやりようのない気持ちはどうすれば良いだろうか！
「ほんと、あの人はずるい人だっ」
その言葉は果たして透に届いたかどうか。
もしかしたら、その同時刻にくしゃみをしていたかもしれない。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2017年09月15日
- 参加申し込みの期限
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- 2017年09月22日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2017年09月22日 11時00分
