ろっこん上等！　エアガンバトル in ショッピングモール！｜リアクション

ろっこん上等！　エアガンバトル in ショッピングモール！

■超常サバイバルゲーム・チャプター４
　一階西側フロアにて、順調に敵のバリケードを突破していく椎井莉鳥。
　ろっこん能力のない参加者が互いをホールドしあうことで拮抗状態をつくり、無事な参加者はバリケード作りに奔走する。
　莉鳥は動く盾を仲間のフォローで的確に足止めしながら、順調にキル数を稼いでいた。
　有力な参加者が別のエリアに集中していた（というか拮抗していた）せいで、ここの守りは手薄な状態だ。
　しかし、そこで調子にのる莉鳥ではない。
「順調すぎる」
　このエリアを突破されれば、別のエリアが挟み撃ちにあう。
　どこかの部隊が拮抗状態にあったとしても、無理をして一人か二人を回してくる筈だ。ここも拮抗状態になっていないとおかしい。
　そうならないということは……。
「罠、ね」
　仕掛けられそうなトラップについて考えてみた。
　モールの著しい破壊は原則禁止されているので、まさか爆破トラップが仕掛けられてはいまい。刃物や鈍器を使ったトラップも人道的によろしくない。
　せいぜい足首に縄をひっかけて釣り上げる古典的なヤツだが、モール内にそんなものがあればすぐにわかるだろう。
「考えすぎかしら」
　抜けようとするチームを上から射撃で牽制するだけって可能性もある。だとしたら上に警戒して……。
「？」
　ふと、足下が濡れていることに気がついた。
　見たところただの水だ。警戒するようなことはないが……。
　なんということか。靴がぴったりと地面にはりついて取れないのだ。
　しまった。そういう罠か。
　物陰から飛び出してくるエレノア・エインズワース。それもご丁寧に後方からだ。
　もはや説明を繰り返すまでもないだろうが、彼女のろっこん能力によって接着剤化した水が莉鳥の足を止めたのだ。
「足を止めた敵なんて、いい的ですよねえ！」
「椎井さん危ない！」
　拳銃による発砲。飛び込んできたゴースト参加者が板を抱えて盾になるが、彼もまた足がぺったりと接着してしまった。
　バケツで床に水を撒きながら回り込んでいくエレノア。
　そのうえ、莉鳥が射撃しやすい角度には入らないつもりのようだ。
　ゴースト参加者が板を使った即席バリケードを作るも、彼らの足も止められる。
　できあがったのは莉鳥の後方と側面を囲んだ壁。莉鳥を含め、誰もその場から動けない状態だ。
　エレノアはといえば、回り込めば小銃による連射でこちらがやられる状況だ。前方に顔を出すことはしない。
　状況は拮抗したかに思われたが……。
「くっつけるだけが能じゃありませんよ」
　壁から飛び出してくるエレノア。ここぞとばかりに身体を大きくひねる莉鳥。その瞬間、莉鳥を接着していた靴底の液体が蒸発した。
　引っ張り合った人間どうしが突然手を離せば転倒してしまうように。床に接着され身体をひねった莉鳥もまた、接着面を失って転倒した。
　勝機。
　と踏み込んだエレノアを、激しい電流が襲った。
　床に撒いた液体を通じて莉鳥が電撃を放ったのだ。
　その威力は人間を気絶させるに充分なレベルであった。
「奥の手よ。できれば、これナシでも勝ちたかったけど」
　かくして、電撃によって気絶したエレノアと地面へうつ伏せに接着された莉鳥。駆けつけたそれぞれの敵参加者によって撃たれ、ある意味の相打ちとなった。

このページにイラストを設定する