【星幽塔】そしてまた『日常』へ｜リアクション

【星幽塔】そしてまた『日常』へ

【？？？】

　鴻上彰尋には、もう一人、会いたい人物がいた。
　隠し階層の管理人、エリオナイトがその人だった。
「エリオナイトさん。単刀直入に訊きます。シドニウムさんは貴女の息子さんなんですか？」
　本当に直截な彰尋の質問に、エリオナイトは少し驚いたように目を見開くと小さく微笑んで首を横に振った。
「彼は私達の子ではないの。残念ながらね。でも、あながち見当外れともいえないわね。ユグシオンは彼の４・５代前のかに座のアステリズムだったのだから」
「……そうでしたか」
　エリオナイトの答えに、彰尋は少しほっとした。
　彼は、もしシドニウムが彼女の息子なら、夫と同じような形で息子を失わせる悲しみを味わわせずに済んだことを安堵できると思っていた。
　だが、シドニウムが彼女の息子でなかったとしても、彼女なら彼の死を悼むに違いない。
　それを回避できたのだから、よかったと思う。
（俺はもう見たくない。女の人が、母親が悲しむ姿を……）
　礼を言って、出て行こうとする彰尋の背をエリオナイトがふと呼び止める。
「あまり背負い過ぎないようね」
「ええ。エリオナイトさんも」
　あるいは、何かを背負い過ぎてしまうことが、かに座のアステリズムに関わる者の宿命なのかもしれない。
　そんなことを思いつつ、彰尋は隠し階層を静かに後にするのであった。

〔了〕

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あとがき

担当マスター：水月鏡花
ファンレターはマスターページから！

　というわけで、お疲れ様でした。ＭＳの水月鏡花でございます。
　今回は「『塔』が舞台だ！」ということで、第一階層から第十三階層、果ては『？？？』に至るまで縦横無尽に場面が映り変わるリアクションとあいなりました。このような広い範囲を担当することは初めてなのであり、色々と至らぬところなどあったとは思いますが、ご参加頂いたＰＣさん、ここまでお読み頂いた全ての方に、少しでも楽しんで頂けるシナリオとなっていましたらこれに勝る喜びはありません。

　さて、そんなわけで、今回のリアクションで判明した主な事柄などをこちらにまとめておきますので、今後の塔のシナリオに参加される際のご参考にして頂ければと思います。

・ユグシオンはシドニウムの４・５代前のかに座のアステリズムだった

・第二階層のギミック（温泉含む）は健在。また地下水路にときどき謎の深海魚が出る

・第六階層で、過激派義勇軍「鷲の槍団」のリーダー、ヤグロ・サイファが龍の目の前で、今後、先のような暴動を起こさせないようにとの誓いを立てた。また、龍がフローレンスの後見人的役割を務めることになった

・塔にもＢＬはある

・全ての階層で、全ての階層の通貨が利用できるようになった。また全階層で共通の統一通貨が発行されるようになった

・第十三階層の四色の扉は健在。中に入ることができる

　以上となります。

　皆さんのおかげで、塔のてっぺんには灯がともされ、各階層には日常が戻ってきました。
　しかし、それは塔の冒険の終わりではなく、新たなる日常の始まりなのです。
　というわけで、今後とも、星幽塔と寝子島をよろしくお願いします。
　それでは最後になりましたが、ご参加頂いた方、ここまでお読み頂いた方、そして「らっかみ！」に関わる全ての方々に感謝を。
　ではでは、またどこかのあとがきでお会いできることを祈って。

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