推理ゲーム『ねこじま人狼』4th｜リアクション

推理ゲーム『ねこじま人狼』4th

●　全員死亡島

　なんということだろうか。
　まさかの展開で、全員が死亡してしまった。誰も生き残らなかった。
　梢以外、誰も予想しなかった結末。否、梢ですら賭けであった結末に、一同言葉が出てこない。
　ヒューマは書きかけの調合表の手が止まり、サキリもカップを口づけたまま静止している。
　流は「え、何が起こった？」と梢とエムアとの間で視線を彷徨わせる。

「ふふ。まずは結果を発表してしまいましょう」

Result

＜人狼チーム＞
サキリ・デイジーカッター：　人狼
トワ・E・ライトフェロゥ：　人狼

＜島民チーム＞
ヒューマ・ノ・スキッド：　占い師
藤堂静：　霊媒師
水守流：　騎士
屋敷野梢：　パン屋
志波武道：　らっかみ

＜恋人＞
藤堂静、志波武道

　――全員死亡！　ルールに則り、島民チームの勝利です！

「や……、」

「やりましたっ、私たちの大大大逆転勝利ですっ！！」

　梢はヒューマと流に向かってＶサイン。
「お、おおっ？　なんだかよくわからなかったけど、僕たちの勝利なのかい？　やったね」
「まじかー！　うおおおおお、屋敷野、すげーじゃん！　正直俺、屋敷野が人狼だと思ってた。ワリィ」
　味方に褒め称えられ、ぬっふっふと梢はない控えめサイズな胸を張る。
「恋人さんも狼さんもお互いお疲れ様でした。トワさん、すみませんでしたねー。もし私が志波先輩に票を入れてたら人狼の勝利でしたね」
「ぐ、ぐぬぬーなのデス！　最後に立ってるのは　人狼か　島民か　恋人か。リスクを背負いながらの投票になると思ったマスが、まさか、最後に立っている人が誰もいないとは！　しかもそれが島民の勝利条件とmatchするなんて！　悔しいけどトワの負けデスー」
「たしかに、な」
　静は梢に握手を求める。
「最初から冷や冷やさせてくれた敬意を表してってことで、最後の票は屋敷野の嬢ちゃんを選ばせて貰ったが……恐れ入った。最後の最後まで冷や冷やさせてくれたな」
「ふふっ、こちらこそ。恋人達には、目を覚まさせてもらいましたよー。勝負師たるもの、恋人票に逃げてどーする！　これで恋人が勝てば……『志波先輩達の覚悟の勝利』でしたね」
「いや……あれには、正直驚いた」
　静は恋人だった武道を見た。武道はテーブルにつっぷしており、顎だけ上げて静を見る。その眼鏡からは今にも魂が飛び出し、昇天していきそうであった。
「……なんかもう最後は狂人と化してましたよね俺……」
「なに、最後の最後で掻き回して票がばらけるようにするのも、黙ったまま島民か狼どちらかに合わせる風に見せかけて土壇場で票がずれるのを期待するのも博打に変わらないからな。恋人なら地獄まで付き合うさ」
　物静かな黒髪の男はグラスの中身をひと煽りして、ニヒルに笑う。
「静さん……ありがとうすみません！！」
　武道はずさーっとテーブルに頭を擦り付けた。

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