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夢獣逃避行 赤と青
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■ケース3 先の見えぬ時に急げば
急に人生の話をすると年寄りめいてしまうが、古人の言葉に『一寸先は闇』というものがあって人は先が見えているようでも実は明日をも知れぬのだという。
実際明日をも知れない人生になった者は、平和な寝子島にはそうそういないわけだが、似たような経験をした者は少なくない。
「ええ……真っ暗だし……」
白 真白
。女子高生。
今現在、一寸先は闇。
どれだけ長く生きていようと、人間は不安というものに免疫を持てない。
いつも自力で解かねばならず、コピーアンドペーストでは対応できないのだ。
真白が今現在抱いている不安もまた、解消するための手段を自分で編み出さねばならなかった。
想像できようか。
手を伸ばした先すらわからない闇が。
ずっと遠くで飛ぶ虫の羽音が。
狼のような遠吠えと、こちらに近づく足音が。
足音はあちこちから聞こえ、そのどれもがこちらに近づいてくる。
ぐるるという獣のうなりが聞こえるほどの距離になって、真白はパニックを起こした。
とりあえず足音のしない方向へと走る。
足音はこちらをぴったりと捕捉しているかの如く近づいてくる。
その場しのぎだということは頭で理解しているが、ならどうすればいいのかなんてわからない。
走ることが唯一の手段であり、逃げることが唯一の抵抗だった。
そして気づけば……。
「ここ……どこ……?」
本来の道筋すらも、喪失しているものである。
初瀬川 理緒
にとって睡眠不足は大敵である。
なぜならお肌が荒れるからである。
なぜなら太りやすいからである。
なぜなら昼間のハリが落ちるからである。
なぜなら、理緒はグラビアアイドルだからである。
ゆえに。
眠りの中で急に試練を与えられたら、怒るのは当然なのである。
「冗談じゃ無いわ! 撮影に響いたらどうすんのよ!」
おりゃーとばかりに青い扉を蹴り開く理緒。
青を選んだのは消去法である。
赤い扉はなんか熱いとか言っていたので、日焼けや肌荒れを想像したのだ。
グラビアアイドルが真っ黒に焼けたり肌荒れだらけになったりしたら失業だ。
ただでさえ暑いのはイヤな理緒である。
ここは色的にも涼しそうな青の扉を選ぶぜってなもんだったが……。
「寒っ! そして暗っ!」
やっぱいまのナシナシと言いながらふりかえると、既に扉は無くなっていた。
「あ……」
翳した手を下ろす場も無く、暫く掲げたまま沈黙する。
そして、手を握ってゆっくりと前に向き直った。
「始まっちゃったもんは、しかたない、か……」
一般的な女子高生とは違って広い世界を見てきた理緒は、割り切るのも早かった。
先行きの見えない不安や、迫り来る焦り。
そういったものは、理緒のすぐそばにいつもあった。
暗闇の密林や獣の足音なんていう直接的なものは流石に初めてだったが、なにもこれまでの人生が明るくて安定したものだったとは、とても思えない。
「現役バリバリの、女子高生グラビアアイドルを、舐めるんじゃないわよ……」
グラビアアイドルなんていう職業は、この世には存在しない。
金額の決まった契約書にサインをして、写真を撮られる作業があるだけだ。
そこにマニュアルなんてないし、こうすれば成功するなんて段取りも当然存在しない。
明日から見向きもされなくなる可能性は充分にあるし、それを防ぐ手立てに正解はない。
ものを知らぬ男たちはマクラかませば仕事がとれると思い込んでいるようだが、そんな甘い世の中なら誰も挫折なんかしない。
実力も、努力も、時の運も、全て使って突き進むのだ。その先に何が待っているかも分からず、己のカラダひとつを信じてゆく。
タイムリミットだってある。女子高生でいられるのはほんの数年。若さだって刻々と喪われる。だからって焦っておかしなことをすれば、全てを喪うことだってある。
たとえば、闇雲に走り回ってここがどこか分からなくなった真白のように。
「だ、誰!? 狼じゃないよね? 人だよね!?」
「そうよ。そっちは誰?」
呼びかけを察して、理緒は声を上げた。
互いの声を頼りに歩み寄り、手を繋ぐ。
相手の手が強く自分を掴んだ瞬間に、相手の不安を感じた。
似たようなことを、何度か経験したことがある。
その時はどうしたのだっけ……。
「大丈夫。一緒に行こう」
転んでもただでは起きない。
たしか崖から転げ落ちたけどキノコを大量に抱えてあがってきた偉い人の言葉だったと思うが、
響 タルト
にとっては大きく意味が異なる。
例えば変な詐欺師に出会ったとき、妙なシューキョー臭のする人に声をかけられたとき、いかがわしいナンパをされたとき……。人が本来嫌だなあと思う経験を、タルトはむしろ好んで吸収した。
嫌なことにはカタルシスを求めるのが人の性分である。タルトはそれを本能的に感じて、嫌な経験をするたびにその出来事をノートに書き残した。
そうしてたまった嫌なことリストをストーリーのネタにして、同人誌を作るのだ。
だが、だた経験するだけではダメだ。
現実を元にしたとき、8割のリアルと2割のファンタジーを配合するとよいと言われている。そのファンタジーのうち1割は登場人物や背景が美しいことなのだが、残りの1割は『問題が解決すること』だ。
この世におこる様々な問題は解決されないまま放置され、こびりつき、人々を苦しめる。
しかしある程度あがき、もがき、突き進んだ時、『こうすれば解決できたのに』という道筋だけが見えてくることがある。それが成功したさまを描くとき、物語には救いが生まれるのだ。
それを、カタルシスという。
「だから、困難を吸収するにはまずもがかないと!」
腕まくりをして、ペットボトルの水を頭から被るタルト。
するとタルトの身体がうにゃうにゃ変化しはじめ、ネコの耳と尻尾がはえた。
目をぱちぱちと瞬きすれば、小さな明かりから闇を見通すことができた。
つま先立ちで歩けば、足音を殺すことが出来た。
指先や髪の毛先の感覚が鋭くなり、見えないはずの空間がありありと把握できた。
「にゃにゃにゃ、っと!」
木を駆け上り枝に乗る。非常識なほどのバランス感覚で細い枝の上を走ると、別の枝へと着地した。
その調子で次々に木々をわたり、足下をうろつく獣から逃れた。
なかなかの調子だ。
しかしこのまま安全圏を進むのはあまりに味気ない。
「誰か見つけて、一緒に脱出しよう。それがいいかも!」
良いネタにするには、困難が必要だ。
闇雲に走り回って迷った人がいるなら、うってつけである。
そんな彼女の耳に、『ここ、どこ?』という声が聞こえた。
八神 修
の話を、改めてしよう。
冷静沈着、頭脳明晰。生徒会を勤め、富豪の家に住む。
恵まれた容姿や体型もあわさり彼をうらやむものも多いが、逆に言えばそれだけの圧力が常に彼へかかっているということだ。
それゆえ努力をやめることができず、常に最善を考えて生活せねばならない。
暗闇の樹海にたった一人放り出された時でさえ。
「…………さて」
修はまず、身の回りのものを確かめた。
これが長期的なサバイバルであることを仮定して、使えるものはなんでも使うべきだと考えたのだ。
ポケットに携帯電話。やや長い髪を結ぶための簡単な髪ゴムがひとつ。十徳ナイフがひとつ。
それらを出してから、すぐにポケットへと戻した。
「これらは、この環境では役に立たない」
まず携帯電話。震災時には夜間の不安定な道を照らすのに役だったといって、照明利用アプリが流行った時期があった。しかし長期的に暗闇で活動する場合、全方位を20時間以上照らせる装備でないかぎりは逆効果だ。
明暗を分けたせいで暗がりが全く見えなくなる危険や、アクシデントによって証明が消えた時に一切の視力が使えなくなる危険がある。
ならば最初から裸眼で活動するか、常に片目を閉じるくらいの工夫が必要だ。遠くから獣の声がする以上、索敵能力の下がるようなことはしたくない。
となれば、嗅覚や触覚、聴覚といった視覚以外の感覚を研ぎ澄ますことに集中するべきだ。
次にゴムだが、髪を結ぶ程度の伸縮能力ではいざというときに役に立たない。非常に壊れやすく、本当に必要なときに破損してしまったらアウトだ。より原始的な武器を、原始的に活用するべきだろう。
十徳ナイフもそうだ。刃が小さく、直接武器はもちろん木枝を加工するにも向いていない。時間をかければなんでもできそうだが、むしろそれなら……。
「俺の能力を活用した方が、ずっと早いな」
道具を活用するというのは人間の強さだが、活用する道具を選ぶこと、作ること、扱うことを怠ればその強みは失せてしまう。
修が日頃から知識を蓄積し、基礎体力を鍛え、小物を持ち歩いているのはそのためだ。
いざというときに最善の選択をすることが、彼の強みだった。
……さて、語りが遠回しになってしまったが。
「必要なのはこれだけだ」
むしった草。小石。土。へし折った枝。
それらを一旦簡単に組み合わせ、能力を使って一度分解する。
これらの動作を繰り返していくことでより強度の高い、それでいて再生産可能な道具が作成できるのだ。
それも、足を進めながら行なう。
「体力が保つ時間は限られている。最低限必要な道具を作成して、最大効率でこの場を抜ける。それができなければ……」
表情をひどく険しくしたが、それを見ている者はいない。
修ほどの重責を担う者が、この場でなにかを怠るようであれば、未来など切り開けない。
さて、真白へ視点を戻すことにしよう。
狼の声におびえ、来た道すらも分からなくなった真白。
木にしがみついてどこへ行くこともできない彼女を最初に呼び止めたのは理緒だった。
「手を繋いでいればはぐれないわ。何か聞こえたり、苦しくなったりしたら強く掴んで知らせて」
理緒の言葉に、真白はこくんと頷いた。
二人で手を繋ぎ、樹海を進む。
しかしただ進むだけでは許されないのがこの樹海だ。
獣の足音が近づいてくる。
再びパニックになりかけた真白だが……。
「大丈夫、任せて」
理緒はくるっと身を翻し、接近してくる狼めがけて謎のセクシーポーズをとった。
狼といわず、誰だってこんなことをされれば警戒する。
一旦距離を保って凝視する。
その隙に、理緒はパチンをウィンクした。
狼はハッとして周りを見直し、後から来た別の狼へと襲いかかった。
「す、すごい、獣使いだ」
「初めて言われたかも」
「けどこれなら勝ち目があるよね!」
人は単純なもので、どんなに絶望していても希望を見いだすとやる気になってしまう。
真白はその勢いに任せて、スカーフを振って剣のように固定した。
「えいっ!」
素早く振り込み、敵対している狼をはねのける。
「いまのうち。走ろう!」
手を繋いでかけ出す二人。
その両脇から、別の狼が追い詰めるように迫ってくる。
しかし、接近の直前で何かが狼に突き刺さり、悲鳴をあげて飛び退いた。
暗がりから走って現われる修。手にはボウガンの親戚みたいなものが握られている。
「木が本来もつしなりを利用した武器だ。枝を縦に裂いた自然の針を発射する」
「聞いてないけど、それすごいわね」
「行き先は見えているのか?」
「見えてるよ!」
ぴょん、と宙返りしながら目の前に着地するタルト。
猫耳を動かし、指でくいくいと手招きをする。
「皆の様子、観察してたんだ。いいネタ貰ったお礼に道を教えてあげる」
「助かるよ」
修は後ろ向きにはしりながら、後方から追いすがる狼めがけて射撃した。
「走れ。後ろは引き受けるよ」
理緒と真白が頷きあう。
四人は一丸となって樹海を駆け抜け、そして出口となる金色の扉にたどり着いた。
ドアノブをひねり、開く。
彼らの目が覚めたのは、その瞬間だった。
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あとがき
担当マスター:
青空綿飴
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ごきげんよう、青空綿飴です。
人生というのはどうにもツラいことが一杯で、目先の困難を乗り越えても更に大きな困難が待っているなんてこともしばしばでございます。
けれど、だから先に進まない方がいいなんてことはなく、目の前の困難を精一杯乗り越えた時、次の困難を乗り越える力も同時に得られるようで、存外よくできているものです。
キャラクターたちもこのたび突然の困難に見舞われましたけれど、彼らは彼らなりに困難に立ち向かい、そして乗り越えておりました。それが意識してのものか、本能的なものかはさておいて、これからも様々な困難を今日のように乗り越えていくことでしょう。
悪夢を見ることがあれば、またお会いしましょう。
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
6人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年09月01日
参加申し込みの期限
2017年09月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年09月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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