懐かしい遊びに触れてみよう｜リアクション

懐かしい遊びに触れてみよう

御巫時子は通りかかった広場で、昔のおもちゃで遊ぶグループを見かけた。
楽しそうな雰囲気に惹かれて、その輪に入っていく。

「小さい頃からお手玉とかおはじきで遊んでたので、懐かしいですね」

お婆様から昔の遊びを教わったんです、と時子は楽しそうに話す。

「歌を歌いながらお手玉してて、簡単にしてるように見えても凄く難しくて……」
「すごく練習したのを思い出しますね」

そのとき歌っていた歌を口ずさみながら、時子はお手玉を宙へ投げる。
まず２つから始まり、３つ、４つ、５つと段々数を増やしていく。
まるで歌に乗るかのように、お手玉は綺麗な放物線を描きながら踊り続ける。
時子が歌い終わり、お手玉を全てキャッチすると周りから歓声があがった。

時子のお手玉を見て、教えてほしいという人たちがやってくる。
彼女はそれに快く応じた。
時子には懐かしいお手玉だが、この場には初めて触るという人が結構いるようだ。
苦戦する人たちに自分を手本に見せながら、丁寧に教える。

それから、あやとりもやってみる。
ひもの輪を両手でのばして『橋』や『川』などを作る。
これらは『２人あやとり』ができるので、相手を見つけてやり方を話しながら、
『ふね』『田んぼ』『ダイヤ』『かえる』といった風にお互いの手元に交互に現れる。

それを一通り満喫すると、今度は『はしご』に挑戦する。
『一段はしご』から『十段はしご』まで。
ひもを長めにして、教わった事を思い出しながら。

そうして手順を思い出していると、
時子は、まるで目の前にお婆様がいるような感覚になる。

（お手玉もあやとりも、意外と憶えてるものですね）
（小さい頃も昔の遊びは好きだったので憶えるのも苦ではありませんでしたし）
（探せば実家に小さい頃使ってたお手玉があると思います）
（お婆様の手作りで、小さな子どもの手にも収まるような大きさでした）

まるで『はしご』を一段ずつ増やすごとに、小さい頃の記憶が蘇るようだった。
時子は童心に返り、しばらく広場の人たちとそれらの遊びに興じた。
時間が経つのも忘れ、夢中になっていたが、
大人たちが解散の旨とともに道具を片付け始める。
気づけば日も暮れ始めていた。

「また遊びましょうね……」

楽しいときを過ごした場所に一言告げて、帰路についた。

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