懐かしい遊びに触れてみよう｜リアクション

懐かしい遊びに触れてみよう

佐藤瀬莉は用事を済ませ、その周辺をぶらぶらと適当に歩いていた。
すると、なにやら昔のおもちゃで遊んでいる人たちを見かける。

「なんだか楽しそう」

しばらく遠くから眺めていると、視線に気づいたのか、そのうちの１人が声をかけてきた。
誘われるままに、輪の中へと入っていく。

そこには『けん玉』『あやとり』『めんこ』『おはじき』など、昔を思わせるものがずらりと並んでいた。
大人も子どもも夢中になって、それらで遊んでいる。
瀬莉も色々と触ってみたり、試しに遊んでみる。
大人たちは懐かしいと口々に言っているが、瀬莉の場合は未知の遊びを楽しむ感覚だった。

まず興味を惹かれたのはあやとり。
瀬莉は懐中時計いじりが趣味で、時計の分解修理はお手の物。
そのくらい器用なので、あやとりなんて簡単だろうと思いながら挑戦してみる。

「……あれ？」

ところが意外に難しく、面食らってしまった。
でも取り組んでいるうちに段々とコツがつかめてくる。
気づけば『二段はしご』や『ちょうちょ』など、初級のものはだいたいできるようになっていた。

そこからさらに連続技に挑戦する。
『鉄橋』から『かめ』、『ゴム』そして『ヘリコプター』。
まずスタートになる『鉄橋』までの手順をしっかりと覚える。
結構何回もひもを移動させるが、１回覚えてしまえば大丈夫だった。
『鉄橋』をきちんと覚えたら、
『かめ』から『ヘリコプター』までの指の流れを１つ１つ覚えていく。
繰り返すうちに段々と一連の動作が速くなり、流れるように繰り出せるようになった。

（時計とか作れたら面白そう）

思いついて早速やってみる。しかしこれは流石に難しい。
枠から針まで表現するのは、いくら器用とはいえ現段階で出来そうにない。

（でも手先の訓練にはもってこいだから、折を見てやってみようかな。ヒマつぶしにもなるし）

そう思いながら、一旦あやとりから離れる
次に手にしたのはおはじきだった。

硝子でできたおはじき。瀬莉は淡い色彩に心がときめくのを感じた。

（これをはじいても割れないかな？）

おはじきをじっと見てみる。指先に乗るほどの大きさで、だいぶ平たい。
しかし実際に遊んでみると、意外に丈夫なのか、そういった心配はいらないらしい。

台の上に広げたおはじきから１つ選んで、指で別のおはじきを狙う。
狙ったおはじきにあてると、自分のものになって、これが得点代わり。
シンプルなルールながら、瀬莉は結構ハマっていた。

カツン、カツン。
おはじきとおはじきがぶつかる音も素敵だな、なんて思いながら気が済むまで遊び続けた。

このページにイラストを設定する