ともだち１００にんできるかな！｜リアクション

ともだち１００にんできるかな！

●新しい生活の登校風景

　入学式が終わった翌日。
　新１年生はランドセルを背負い、少し緊張した面持ちで登校しています。
　緊張しているのは、どうやら新１年生だけではないようです。

「緊張するな……」
　今日は身体測定があるので、佐藤瀬莉は、この１年でどれくらい成長したのか気になるようです。
　そんなことを考えていると、信号機のない横断歩道の前でオロオロしている子を見かけました。
　赤いランドセルを背負った小さな女の子なので、新１年生でしょう。
「あたしと一緒に渡ろう」
　上級生なんだから下級生の面倒をみないと、という責任感。
　泣きそうな女の子を助けたいという思いが瀬莉を突き動かしたようです。
「おねえちゃん、ありがとう！」
　横断歩道を渡れた女の子は、お礼を言うと走って学校に行きました。

「今日から給食が始まるぜ！」
　学校の楽しみのひとつだもんな！　と白石龍樹は今日の献立なんだっけ？　と思い出しています。
　考え事をして歩いていたので、前を歩いていた曖浜瑠樹にぶつかってしまいました。
「ご、ごめん！　考え事してて、前、良く見てなかったぜ」
「オレは大丈夫だよぉ。気をつけてねぇ」
　ホント、すまねぇ！　と謝ると、龍樹は走って学校に行きました。

　佐藤プリンス雄太は、学校の近くでネコさんと交流タイム。
　可愛い女の子が来ないかな……と期待しつつ、ネコさんとお話しています。
「雄太くん、おはよう」
「プリンス、ネコさん撫でていい？」
　猫に関心を示した女の子が何人か来ました。
「みんなで一緒に撫でよう！」
　遅刻しないように気を付けながら、集まったクラスの子との交流タイムが始まりました。

「ち、遅刻するっす！」
　剣崎一心は、登校中、道に迷って困っているおばあさんを行きたい場所まで案内していました。
　余裕を持って早く家を出たのですが、場所が小学校から離れていたので思わぬタイムロスに。
「good morning！　急がないと遅刻シマスヨー」
　ココが近道デス！　とトワ・E・ライトフェロゥは一心の手を引き、路地裏に入って行きました。
　地図を見ないでいろんなところに行くのが特技、と自己紹介で言っていましたので、近道を知っているかもしれません。
　そう自己紹介していましたが、トワは行動力のある性質の悪い方向音痴でした。
　学校と反対方向に行ったり、全然別の場所に行ったりと迷いながらも、２人はどうにか学校に辿り着くことができました。
「ライトフェロゥさん、地図を見ないでいろんなところに行くのが特技じゃなかったんすか？」
「トワだって、迷うことアリマス。早く教室に行かないと遅刻デスヨー」
　大急ぎで靴を履き替え、教室に行く途中で担任の先生に会ったので２人揃って挨拶をしました。
「オハヨウゴザイマスー！」
「お、おはようっす！」
　元気に挨拶するトワに対し、一心はまだ緊張しているようです。
　年上の女性に対する苦手意識を克服するには、まだまだ時間がかかりそうです。
　あと少し遅かったら、２人は完全に遅刻していました。

　その様子を、教室に着いていた瑠樹と桃井かんなは教室のドアを開け、そっと見ていました。
「女の子と登校しただけで照れるなんて、あの男子、照れ屋さんね」
「あの２人、仲良しさんなんだねぇ」
　
　そうこうしているうちに、授業が始まるチャイムが鳴りました。今日１日の授業の始まりです。

このページにイラストを設定する