Gorilla～君が奏でるレクイエム｜リアクション

Gorilla～君が奏でるレクイエム

●急にゴリラが来たので
　全てのゴリラ達が呪縛を逃れたかに見えた。しかし、荒ぶる怒りを自分ではどうすることも出来ずにいる者も居た――。
「ウホウホウホ、ウホオオオ――ッ！！」
　憎悪の行き場を失い苦悩するゴリラの前へ、その時ふらりと現れたのはヨハン・プレストンである。どう考えても普通じゃない状況でも彼は焦らず、辺りの状況を確認していたのだが。
（……いや、見なくてもわかるな）
　既にヨハンはゴリラ達に囲まれ、今すぐにでも襲われそうだった。しかし彼は無言でばさぁっ、と上着を脱いで鍛え抜かれた上半身を晒す。その肉体に刻まれた無数の傷が、彼らの全てを受け入れると無言で訴えているようだった。
「……来い。お前たちの憎悪。私がすべて受け止める」
　彼が望むのは、ゴリラとのプロレス――略してゴリレスだ。そうしてヨハンの冷ややかな声が響くと同時、ゴリラ達は一斉に飛び掛かって来た。
（速い、だが……）
　加えて彼らの握力はとんでもない為、先ずヨハンは回避に専念する。その上で、つかみ合いにならないよう距離を取りつつ、殴り合いに持ち込むのだ。
（体が耐えられないなど、知ったことか！）
　――しかし、全てを避ける訳では無い。或る程度経ったら自分から受け止めに行く。そうして真正面からゴリラと向き合わねば、彼らの気持ちを変えることなど不可能だ――！
「受け止めると言った以上、すべてを貰う……」
　ぶつかり合う拳と拳、乱れ飛ぶバナナ。ゴリラ達にもみくちゃにされながらも、ヨハンは必死に食らいつき少しでも誠意を見せようと奮戦していた。
（そうすればきっと、彼らゴリラの憎しみと哀しみが理解出来る、出来たらいいな……）
　満身創痍になりながらも戦うヨハンの背には、いつしか夕陽が煌めいていて。言葉にせずとも互いに感じる熱い想いに、彼らは微笑み――やがて、どちらからともなく手を差し伸べる。
「……さあ３位から一気に発表するぜ！　ぶっちゃけ文字数の都合ともいう！」
　遠くから聞こえてくるのは、楓プレゼンツのゴリラ人気投票だった。第三位から順番にゴリラ・ゴリラ・ゴリラ――その名前に「ウホッ！？」「ウホウホ」「ウホホー！」と歓喜の声が重なっていく。
「２位と３位は因縁の決着となったが紙一重、次の投票ではわからないぞ逆転成るか。そしてやはりゴリラは盤石だった。王者の貫禄を見せつけるドラミングで応えたー！」
　人生いろいろ、ゴリラも色々と言う訳かとヨハンは頷いた。もし叶うのならば、次回は自分もノミネートされてみたいもの――圏外の面子を知った彼は、不意にそんなことを思う。

「第１１位から第２０位までは順番に、ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ・ＯＰのゴリラ。それから、ゴリラ・ゴリラ・マスターページのバナナ・ゴリラ・グランギニョルの人形師の順番だ！　沢山の応募ありがとう！」
　あのシナリオの人形師ってゴリラだったの、とか。マスターページのバナナって、マスター名で検索してみると画像のトップに表示されたりするんだよなあ、とか。しみじみ頷いているゴリラが居たが、そいつはマスターページのバナナの隣に居るゴリラそっくりだった。

　――そして最後に、楓ゴリラはとんでもないことをのたまって去っていく。
「因みに夢オチだウホッ、ウホッウホホバナナカーブ！」

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