城柳塾：CMナレーションをやってみよう！｜リアクション

城柳塾：CMナレーションをやってみよう！

　目薬担当の椿美咲紀、八神修ペアが台本の読み合わせをしている。ギガクールという清涼感が売りの目薬だ。

◆目薬：ギガクール台本
A『あなたの瞳、疲れていませんか？』
B『パソコン、勉強でお疲れの目に、シャキッと爽快！　ギガクール！』
A『有効成分が目の隅々まで行き渡る！　疲れた瞳、元気になるよ！』
B『ニャーン製薬』

「セリフっぽいナレーションですねー。私、Aやりたいです」
「わかった。では俺はBを担当しよう」
　美咲紀がA、修がBを担当することに決まったようだ。初めに軽い音読を行う。ふたりとも新聞部で人と話す機会も多いため、人前で話すこと自体に抵抗は少ないようだった。
「この目薬、私も持っているんですよー。スッキリを通り越して染みるくらいの清涼感です。『シャキッと爽快！』の部分はもっと強調してもよさそうですね」
「そうか。意識したつもりだったが、少しおとなしかったかな。もう少し感情をこめてみよう」
　修は台本にメモを書きながら小さな声で練習してみる。渡された台本は多少の演技も必要なものだった。活舌は問題ないが、制限時間15秒を守りながら抑揚をつけるのに苦戦している。
「シュー君お上手ですよ。もっとよくなるってだけです！」
「ありがとう。だが、妥協する気はないからな。学びに来たんだ。気になるところがあれば全力で言ってくれ」
「わかっていますよー。ところで、私はどうです？」
　腕を組み、修は何を伝えるべきか内容を整理する。
「……初めのセリフはゆっくり読んでみた方がいいかもしれない。その方が疲れているのが伝わってくるんじゃないか？」
　修の感想を聞き、美咲紀は「あぁ……」と苦笑した。
「それ、県民性もありそうです。三重のスピードって他県の人からするととても早いらしいのですよー」
　美咲紀は生まれ育ちが三重でイントネーションが関西に近い。方言と標準的なイントネーションを使い分けることはできるが、油断すると地の口調が出てしまうらしい。
「ふふ、新聞部突撃インタビュアーとしては相手が聞き取りやすい発音を心がけたいですからねっ。張り切って行きますよーっ」

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