新年度のはじまりはじまり。芸術科編｜リアクション

新年度のはじまりはじまり。芸術科編

●楽しさはどこまでも

深縹露草は千年杉に到着すると、
そこには寝子島高校の学生と思われる人たちが居た。
スケッチをしている人、写真を撮る人。
ほかにも様々な芸術活動が行われていた。

（素晴らしい……！）

それらの発揮する芸術性に思わず感動する露草。
邪魔にならないように隅のほうで千年杉のスケッチを始める。

スケッチがまとまってきた頃、ふと視線をあげる。
すると学生グループがどこかへ移動するのが見えた。
どうやら、話に聞いた泉があるらしい。
露草もそちらのほうに向かっていく。

「これは……虹色の泉、デースか……？」

色彩豊かなグラデーションを描く温泉、美の泉。
この不思議な泉に露草も衝撃と感動を覚えた。

「紙を浸して乾かす……私もやりたいデース！」

この方法を行うと、紙が泉と同じく虹色に染まるときいて早速試みる。

まずはソーイングセットを取り出す。
手頃な間隔の木々を見つけると、その間に糸を緩めに張る。
木を傷めないように両端に輪を作り、引っ掛けるようにする。

泉に浸した紙の隅に、糸を通した針を通し、一方に結び目を作る。
もう一方を先に張っておいた糸に緩く括るようにして紙を干す。
この工程を何回か繰り返す。
作業を終えると、針を落とさないようにセットのなかへ戻す。

時間が流れ、紙が乾くと、様々な虹色が木々の間に並んでいた。
その光景は、とても綺麗だった。
それに気づいた学生たちも、目を奪われていた。

彼らと少し絵の話などで盛り上がった後、そろそろ帰ろうかと動き出す。
糸を切ってゴミの類は全て回収。

「それでは、私はこれで……。宝物のような１日でしたよ、ふふ」
「皆様のこれからにも、幸運と芸術あれ、デースよ！」

満足そうに山道を下りながら、露草は虹色の紙をどうしようか胸を躍らせていた。

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