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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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そうだ模様替えをしよう ―春の青空―
城山 水樹はここ最近は多忙だった。多忙を極めていた。
最初の一報から立板に水の如く全てが急変し激動に彼女の生活は一変した。契約を交わし晴れて専属モデルになってからこっち撮影やら打ち合わせやらで連日のように東京へ行き、撮影のスケジュールが伸びてモデル友達の家に泊めてもらったりと、まるで激流に揉まれているかのようだった。
一旦うねりに乗ると個人の事情は考慮されない。
春休みだというのに、ちっとも休めない水樹は、それでも毅然と日々をこなしていく。私生活が後回しになるのは当然の事と受け止めている。
受け止めていたが。
スケジュールに穴が開いた。日程の調整という単純な事情で事務所から丸々二日分の休みを通達された水樹は、
「あー疲れた」
と、やっと寝子島の自宅に帰ってこれた安心感に自分がいかに疲れていたのかを実感する。
家族だからできる短い会話でさっさと引っ込んだ水樹は自室へと続くドアを開けて、溜息を吐いた。
「なんか代わり映えしないなあ」
出たっきりそのままの自分の部屋。変化が無いというのは自分で心地のいい空間を作っていただけあって人心地に浸れはするが、どうにも物足りなさを覚える。つまらない、と呟いてしまった。
忙殺される日々に培われたストレスが刺激を求めそう感じさせるのか、それとも業界人に囲まれ感性に変化が訪れたのか、それとも気分屋としての自分の性格が起因しているのか。
「うん。ちょうど休みが二日できたわけだし、二日かけて模様替えでもするかな」
と面倒くさがりな己の短所を引っ込めて、降って湧いたお休みを有効活用できそうだと明るく笑う。
「確かこっちに……あったあった」
取り出した普段は使わない大き目の白紙に大きな四角を書いた。それを部屋に見立てて、模様替えの設計図を描き込んでいく。家具はどこか、小物は、テーブルは、新たに増やすものはないか、またしまうものはないか、図にして、箇条書きにして、用紙の白い面はあっという間に彼女の理想に埋め尽くされていった。
「いいんじゃない？」
ああでもないこうでもないとアイディアを詰め込んでは実行可能かどうか悩むという試行錯誤はそれだけでも結構楽しかった。部屋の大きさもあるし、費用面にも気を使わないといけないし、足元に何枚も落ちている没案を量産するそんな苦心の結果完成された設計図はこれだけでも非常に満足のできるものとなった。
「結構大掛かりになりそう」
ひとりで実現するには二日では足りない。だからと無理は禁物。体が資本の仕事をしている水樹は、これで仕事が出来なくなってしまっては本末転倒過ぎるのだ。しかも売り込み時期である。下手なことはできない。
となれば、取る手段は無くは無い。
部屋から出た水樹は自分の兄と弟からここ二日の予定を聞き出す。聞き出して支障無いと判断すれば「さ、立って」と号令を掛けた。
人手が足りなければ増やせばいい。簡単な話である。
家具類の排出を手伝ってもらう傍ら、水樹は長袖Ｔシャツと軽装に着替え、モデル故に商品である手先に傷等負わないように肘まで包む手袋を着用し、先ずはと掃除から開始した。
元々汚れている部屋ではなかったのでそれはすぐに終わった。口を縛って積み上げたごみ袋の山を指さし兄弟に処分をお願いする。
二人の男手の働きたるや、まるで入居前のワンルームの如く手並みは鮮やかだ。希望通り真っ新（まっさら）になった部屋に水樹は二人にベッドを搬入させる。
ベッドは一番奥にして、今日が終わった。
睡眠を挟んで翌日。
ベッドの頭側の壁には窓があるのだが、その窓を遮らない下方に液晶テレビ、対面する形で置く小さなガラステーブルは部屋の中央。元々持っていた足毛の長いラグを敷いているのでテーブルに座ってテレビ鑑賞をしても足を痛めることはないだろう。隅にはパソコンで作業できるように机と椅子を配し、細々とした小物類を纏める。これで兄に買ってきてもらった間接照明を弟に設置してもらえば、点灯させた際には壁紙の色を反射した淡い色彩に癒しの効果を求めることもできるだろう。
設計図があるのでパズルを組む要領で模様替えは午前中に終了した。
その出来栄えを眺め、まだ何か足りないと唸る水樹は買出しに兄と弟を連れて店へと向かった。
足りない、は、続けたい、である。
部屋を新しくすることで高揚した気持ちは、明日から再び始まる仕事に対しての意欲そのものだ。
模様替えで一新した部屋の雰囲気がが柔和な大人の女性を彷彿とさせるように、彼女も既に新たなスタートを切っていた。
買出しから戻って部屋を完成させた充足感を原動力に変え、水樹の明日は明るくまた輝いたものになるだろう。
最初の一報から立板に水の如く全てが急変し激動に彼女の生活は一変した。契約を交わし晴れて専属モデルになってからこっち撮影やら打ち合わせやらで連日のように東京へ行き、撮影のスケジュールが伸びてモデル友達の家に泊めてもらったりと、まるで激流に揉まれているかのようだった。
一旦うねりに乗ると個人の事情は考慮されない。
春休みだというのに、ちっとも休めない水樹は、それでも毅然と日々をこなしていく。私生活が後回しになるのは当然の事と受け止めている。
受け止めていたが。
スケジュールに穴が開いた。日程の調整という単純な事情で事務所から丸々二日分の休みを通達された水樹は、
「あー疲れた」
と、やっと寝子島の自宅に帰ってこれた安心感に自分がいかに疲れていたのかを実感する。
家族だからできる短い会話でさっさと引っ込んだ水樹は自室へと続くドアを開けて、溜息を吐いた。
「なんか代わり映えしないなあ」
出たっきりそのままの自分の部屋。変化が無いというのは自分で心地のいい空間を作っていただけあって人心地に浸れはするが、どうにも物足りなさを覚える。つまらない、と呟いてしまった。
忙殺される日々に培われたストレスが刺激を求めそう感じさせるのか、それとも業界人に囲まれ感性に変化が訪れたのか、それとも気分屋としての自分の性格が起因しているのか。
「うん。ちょうど休みが二日できたわけだし、二日かけて模様替えでもするかな」
と面倒くさがりな己の短所を引っ込めて、降って湧いたお休みを有効活用できそうだと明るく笑う。
「確かこっちに……あったあった」
取り出した普段は使わない大き目の白紙に大きな四角を書いた。それを部屋に見立てて、模様替えの設計図を描き込んでいく。家具はどこか、小物は、テーブルは、新たに増やすものはないか、またしまうものはないか、図にして、箇条書きにして、用紙の白い面はあっという間に彼女の理想に埋め尽くされていった。
「いいんじゃない？」
ああでもないこうでもないとアイディアを詰め込んでは実行可能かどうか悩むという試行錯誤はそれだけでも結構楽しかった。部屋の大きさもあるし、費用面にも気を使わないといけないし、足元に何枚も落ちている没案を量産するそんな苦心の結果完成された設計図はこれだけでも非常に満足のできるものとなった。
「結構大掛かりになりそう」
ひとりで実現するには二日では足りない。だからと無理は禁物。体が資本の仕事をしている水樹は、これで仕事が出来なくなってしまっては本末転倒過ぎるのだ。しかも売り込み時期である。下手なことはできない。
となれば、取る手段は無くは無い。
部屋から出た水樹は自分の兄と弟からここ二日の予定を聞き出す。聞き出して支障無いと判断すれば「さ、立って」と号令を掛けた。
人手が足りなければ増やせばいい。簡単な話である。
家具類の排出を手伝ってもらう傍ら、水樹は長袖Ｔシャツと軽装に着替え、モデル故に商品である手先に傷等負わないように肘まで包む手袋を着用し、先ずはと掃除から開始した。
元々汚れている部屋ではなかったのでそれはすぐに終わった。口を縛って積み上げたごみ袋の山を指さし兄弟に処分をお願いする。
二人の男手の働きたるや、まるで入居前のワンルームの如く手並みは鮮やかだ。希望通り真っ新（まっさら）になった部屋に水樹は二人にベッドを搬入させる。
ベッドは一番奥にして、今日が終わった。
睡眠を挟んで翌日。
ベッドの頭側の壁には窓があるのだが、その窓を遮らない下方に液晶テレビ、対面する形で置く小さなガラステーブルは部屋の中央。元々持っていた足毛の長いラグを敷いているのでテーブルに座ってテレビ鑑賞をしても足を痛めることはないだろう。隅にはパソコンで作業できるように机と椅子を配し、細々とした小物類を纏める。これで兄に買ってきてもらった間接照明を弟に設置してもらえば、点灯させた際には壁紙の色を反射した淡い色彩に癒しの効果を求めることもできるだろう。
設計図があるのでパズルを組む要領で模様替えは午前中に終了した。
その出来栄えを眺め、まだ何か足りないと唸る水樹は買出しに兄と弟を連れて店へと向かった。
足りない、は、続けたい、である。
部屋を新しくすることで高揚した気持ちは、明日から再び始まる仕事に対しての意欲そのものだ。
模様替えで一新した部屋の雰囲気がが柔和な大人の女性を彷彿とさせるように、彼女も既に新たなスタートを切っていた。
買出しから戻って部屋を完成させた充足感を原動力に変え、水樹の明日は明るくまた輝いたものになるだろう。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2017年05月30日
- 参加申し込みの期限
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- 2017年06月06日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2017年06月06日 11時00分
