桜花寮フルーツバスケット！｜リアクション

桜花寮フルーツバスケット！

○ののこを探して

「新しい部屋になっていよいよ新学年の生活が始まるんだなぁ……」
　佐藤英二は、せっせと引っ越し作業に勤しんでいた。
　２年生になったのを機に、旧３年生が使っていて空いた１人部屋に移って新生活を始めることになった。
　荷物の運搬を終了し、気力が途切れないうちに一気に部屋の内装も整えて、引っ越し作業を完了。
　窓を開けて目新しい風景を眺めながら、のんびりとインスタントコーヒーを飲んでくつろぐ。
「……そういえば野々さんも部屋替えしたのかな？」　
　１年のとき同じクラスだったののこは、笑顔を見てるとスゴク元気になれる気がする存在だ。
　ののこには明らかにただの友達としか思われていないようだが。

　コーヒーを飲み終えた英二は、ののこと遭遇できることを期待して寮内の散歩に出かけた。
（運よく野々さんに会えたら、新しい部屋割を聞いたり他の寮生の部屋割りを教えたりしたいな）
　まずは食堂へ向かう。ののこの姿はなかったが、部屋割りの紙をチェックして情報収集だ。
　不審に思われない程度に女子寮の入り口近くを散歩して時間を潰す。
　平凡で目立たないのもこういうとき役に立つ……かもしれない。
　それから食堂に戻ってみると、運よく見慣れたアホ毛を発見した。
「野々さん、こんにちは」
「あっ、英二くん。こんにちはー！」
　相変わらず元気に屈託のない笑顔を向けてくるののこに、英二はすでに知っている質問をする。
「野々さん、新しい部屋割りはどうだった？」
「うん、さゆちゃんと一緒になったよ～。猫の話ができて楽しいよ！」
「上下さんか。彼女も猫が好きなんだね」
「英二くんは誰と一緒になったの？」
「僕は一人部屋だよ。気楽でいいよ」
「へー。２人のほうがにぎやかでいいのに！　なんなら４人とか５人でもいいのにな♪」
「野々さんらしいね。知ってる？　野菜原くんも一人部屋らしいよ、二人部屋希望だったらしいけど」
「ふーん。残念だね。誰かいい相手が見つかるといいね～」
　それからののこが左右に呼ばれるまで世間話は続き、名残惜しみながらも英二も夕食に向かうのだった。
　　

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