PEEPING　GHOST！！｜リアクション

PEEPING　GHOST！！

●悠月とアカリの話

「お前、何でここにいるわけ……？」
　来島アカリは獅子目悠月の姿を見つけると目を見開いた。
「別に……お前に言う義理は無い」
「あっそ」
　いつも通りの悠月の反応。いつもだったらムッとして言い返す所だが、幽霊の恐怖もあり隣に誰か居るのが少しだけ有難かった。
　二人の間に、暫く無言の間が続いた。
　朝の部活動の健康的な声を聞けば、さっきまでの出来事が嘘のようだと思える。
　だが。
　ガササッ！　と何もない方向から音が鳴り、アカリがビクッと身体を強張らせた。
　アカリの愛猫、ウィルも低い唸り声を上げる。
　悠月がアカリを見れば、アカリの表情から色が消えていた。
「まさか……お前も、何かみたのか」
「な！？　見てねーし！　そんな、幽霊なんて、全然怖くねー、しっ」
　悠月の言葉に頬を赤らめるアカリ。彼が涙目で一息で喋る姿を見れば。
「説得力がない」
　言い捨てる悠月に、名案を思い付いた！とばかりにアカリの表情に色が戻った。
「おい！　お前、歌えるだろ！　ほら、聖歌とか！　成仏させられねーのかよ！？」　
「人の事をなんだと思ってるんだ。そんなことできるわけ……」
　そこで悠月は気がついた。
　昨日、開かれていた楽譜。あれは、鎮魂歌だった。
　そして、慌ててその楽譜を鞄に入れてきていたことを。
「お前も一緒に歌え」
「……なんで俺まで」
　そう言いながらも、アカリは悠月が差し出した楽譜に手を伸ばした。
　悠月とアカリの声、そしてウィルの鳴き声が校舎裏に温かく響いた。

■私の話
（この歌が、聞きたかった……）
　悠月に憑いていた霊は、ホロリと涙を流した。
　男は、不慮の事故で目が見えなくなっていた。
　彼は人生に悲観しこの世から消えようと思っていた。だが、ある日。偶然、済んだ歌声を耳にした。
　それは、悠月が歌う聖歌。

　目が見えなくても、真っ直ぐに心に響く歌。美しい声。
　男は生きる希望を持ち直した……が、不慮の事故でこの世を去ったのだ。
　あの時聞いた曲を、もう一度。
　その願いが叶い、悠月に憑いていた男は光に溶けた。

■俺の話
（歌うアカリたん激萌え！）
　お陰で、アカリに憑く男も無事に成仏したのは言うまでもなく。

　二人と一匹の歌により、寝子島一帯に突如現れたストーカー現象は終息したとかしないとか。

終わり。

このページにイラストを設定する

あとがき

担当マスター：金原りく
ファンレターはマスターページから！

はじめまして、金原りくと申します。
この度はご参加いただき、誠にありがとうございました。

初めてのシナリオ、緊張でいっぱいでしたが
皆様の素晴らしいアクションのお陰でとても楽しく執筆できました。
十人十色とはまさにこのこと！ばりに、様々なシチュエーションが書けて光栄でした。

あと！
【お色気ＯＫ】タグが機能してくれてたことに正直ビックリしました。
恐らくご期待のレベルに添えてないのでは、とも思っております。
シナリオやアクションを優先させていただきました。
精進いたします、申し訳ございません……！

でも、もう少しお色気メインのシナリオガイド出してもいいのね！　と勇気をいただきました。
お色気にしろなんにしろ、またいつかシナリオガイドがお目に留まりました際は
何卒よろしくお願いいたします。

どうかまた皆様とご縁がありますのを楽しみにしております。
ありがとうございました！

↑ページトップに戻る